虚血性心疾患・心臓弁膜症カテーテル治療
当院の虚血性心疾患治療は、生命予後を改善させることを目標とし、冠動脈カテーテルインターベンション(PCI)治療を行っており、低侵襲PCI治療も継続して行っております。このほか高度石灰化病変に対しては積極的なロータブレーター(高速回転式経皮経管的アテレクトミーカテーテル)治療、最近はDiamondbackによる治療も行っております。特に急性冠症候群に対する緊急PCIに関しては、日本心血管インターベンション治療学会(CVIT)専門医
3名と認定医11名を中心としてチーム内で協力・連携しながら、24時間365日対応可能な診療体制を構築しています。
手術リスクの高い大動脈弁狭窄症患者に対す る経カテーテル的大動脈弁留置術(TAVI)が ハートチームによって順調に運用されており、 2017年に施設認定されてから、2023年6月末ま
でに190症例を施行しております。
更にIABPやPCPSで循環が維持できない重症左心不全に対し、2021年2月より高難度新規医療技術として、補助循環用ポンプカテーテル インペラ(IMPELLA)の導入治療を行っております。対象患者13症例に対し、内科としてIMPELLA CP 11件の挿入治療を行いました。
また、若手のスキルアップに注力しており、治療はもとより、臨床研究や学会発表、論文作成等に積極的に取り組んでおります。
臨床アクティビティ 2023年度~2024年度
● 冠動脈カテーテルインターベンション(PCI)
・細径カテーテルによる低侵襲な撓骨動脈アプローチ
・積極的な冠動脈内イメージングの活用
・Physiology Guided PCI
・高度石灰化病変に対するロータブレータ+Diamondbackならびにエキシマレーザー冠動脈形成術による治療
●下肢閉塞性動脈硬化症に対するカテーテル治療(EVT)
●腎血管高血圧症に対する腎動脈ステント留置術(PTRA)
●経カテーテル大動脈弁置換術(TAVI)
●補助循環用ポンプカテーテル(IMPELLA)
PCI, TAVI共にNCD(National ClinicalDatabase)への全例登録、IMPELLAについてはJ-PVADへの全例登録を行っています。
今後の目標
① 急性冠症候群に対する迅速なカテーテル治療の実践として,全症例で door-toballoon 時間90分以内の達成
② Poly-vascular diseaseの増加に伴う全身血管の包括的インターベンションの実践
③ ハートチームによる手術リスクの高い大動脈弁狭窄症患者に対する経カテーテル的大動脈弁留置術(TAVI)に
ついて、今後も地域連携を強化し良好な成績を目指す。
④ 2023年度新規技術として、
◇ 石灰化病変へのインターベンションの革新的技術であるショックウエーブ
◇ カテーテルワイヤーの必要でない非侵襲的虚血診断法であるquantitative flow ratio(QFR)を導入します。
研究アクティビティ 2023年度~2024年度
カテーテルチーム全員でバイオマーカー研究を行っており、炎症・石灰化の視点からみた冠動脈病態に関する臨床研究、冠動脈イメージングに関する臨床研究を継続しています。
また、自施設内のカテーテルインターベンションのデータベース構築を行っており、今後臨床研究に展開させる予定です。
他施設共同研究である下記の研究にも参加します。
◇エベロリムス溶出性プラチナクロムステント留置後の抗血小板療法をP2Y12阻害薬単剤とすることの安全性と
有効性を評価する研究(PREMIUM研究)
◇栃木県初のレジストリー研究である非高齢冠動脈疾患患者に対するステントレスPCI治療効果についての検討
スタッフの動き
コロナ禍の3年間に、日本インターベンション治療学会認定カテーテル専門医を2名、また6名が新たにカテーテル認定医の資格を取得致しました。 若手医師および新入局医師を含めたスタッフと共にウィズコロナ時代に適応し、他医療機関で対応できない重症症例を受け入れて引き続き最後の砦としての診療を担っていきたいと思います。