自治医科大学 循環器内科学部門

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不整脈


不整脈

 不整脈治療として背景となる器質的心疾患の有無についての評価および存在する場合の治療介入、リスク因子の管理・血栓リスクがある症例における適切な薬物療法を行った上で、必要な症例に非薬物療法:カテーテルアブレーション、植込み型電子デバイス(ペースメーカー、植え込み型除細動器(ICD)、心室再同期療法(CRT))手術を実施しております。
 現在、本邦で認可された不整脈手技は全て実施可能となり、地域の患者さんに最善かつ最適な診療を提供出来る体制を確保しております。 若手も複数名が不整脈を専攻、多くの手技に参画し技術を習得しております。 また長年にわたり南会津病院 佐藤彰洋先生、新小山市民病院 西村芳興先生も手技日にご来学頂き侵襲的手技のサポートを頂いております。
 今後さらに地域の診療ニーズに応えるべく不整脈チーム一丸となって取り組んで参る所存でおりますのでどうぞよろしくお願い申し上げます。

臨床アクティビティ 2020年度~2021年度

●心臓電気生理検査・カテーテルアブレーション
 年間261例(内訳)
  心房細動159例(クライオバルーン38件)
  心房粗動61例
  上室頻拍/WPW症候群72例
  心室頻拍・期外収縮27例   他

 全てのタイプの頻脈性不整脈に対しての心臓電気生理検査・カテーテル治療を実施しており2016-2017年頃から全体の6-7割を心房細動治療が占めるようになりました。 丁度この時期:2016年秋にクライオバルーンアブレーションを栃木県での最初の施設として導入、それを大いに活用し全体の2/3近くを占める時期もありました。 しかしここ2-3年は発作性心房細動のみならず持続期間が数年以内の持続性心房細動にも積極的に取り組み、高周波カテーテルアブレーションが多くを占める状況にあります。 このCOVID19感染遷延下にありますが2021年上半期(半年)も150例アブレーションを実施しており年々症例は増加の途にあります。 心房細動治療は両側拡大肺静脈隔離を基本としていますが、症例によって上大静脈隔離、三尖弁・下大静脈峡部ブロックライン作成、左房後壁隔離等を追加し不整脈発作抑制に努めております。クライオバルーンは最近、発作性心房細動のみならず持続性にも適応が拡大となって症例数も盛り返し2021年8月現在においては、症例毎に高周波とクライオを使い分けている状況にあります。
 治療が難しい陳旧性心筋梗塞・心筋症などの器質的心疾患に合併する心室頻拍についても心内膜側からのアプローチのみならず心外膜側からのアプローチを適宜選択しながらアブレーションを行っております。
 不整脈チームのホームグラウンドは2カテ室ですがCARTO(Johnson & Johnson), EnSite(Abbott), Rhythmia(Boston Scientifi c)という3社の3-Dマッピングシステムを擁し症例毎に適切な機材を選択しながら治療成績のさらなる向上と難治例・先天性心疾患・心臓外科術後症例などの複雑例へも積極的に取り組んでおります。
 今日のこのような状況がありますのも本邦のカテーテルアブレーションのリーダーのお一人でおられる土浦共同病院循環器内科部長 蜂谷仁先生のご指導・ご支援の賜物です。 2013年から現在に至るまで月1~2回ご来院頂き、当科の不整脈チームの経験・診療体制等、折々の状況に応じて懇切丁寧にご指導頂き、アブレーションの診療体制が整い充実させることが出来ました。2020年9月から循環器内科客員教授にご就任頂き現在も月1-2回ご指導頂いております。今後も更なるご指導ご鞭撻を賜りたくよろしくお願い申し上げます。

●植込み型電子デバイス植込み・管理
  ペースメーカー 年間89例(新規53、交換36)
  ICD/ CRT手術 年間65例(新規42、交換2)

と多くの植込み手技を実施しております。さらにリード・デバイス感染に対してはリード抜去を含む全システム抜去が推奨されておりますが、エキシマレーザーを用いたリード抜去について2019年度から心臓血管外科・麻酔科のご支援のもと実施しており、その治療成績も良好です。このリード抜去は栃木県内では当院が唯一実施可能な施設となっております。また植込み型除細動器は従来、経静脈リードによるものが唯一の選択肢でありましたが、ペーシングが必要ない方には皮下ICDという選択肢があり、当院でも実施可能となっております。また除細動器(ICD あるいはs-ICD)植え込みまでのつなぎとしての着用型除細動器WCDを積極的に導入しており致死的不整脈のハイリスク症例においてブリッジ治療として積極的に適用しております。
 コロナ感染下にあってデバイスの点検は従来、半年程度に1回外来に通院頂いて点検をするというのが通常のスタイルでしたが、患者の来院回数を減らしつつ高品質なマネージメントを達成すべくICD/CRT/ペースメーカーの機種によらず積極的に遠隔監視(機械の情報を専用の小型通信機を用いてウェブ上に情報送信)を導入し不整脈デバイス担当スタッフが管理業務を行っています。
 ご存じの通り、ペースメーカーの治療選択肢としましてリードレスペースメーカーが保険収載され久しいわけですが、VVI(R)作動のみである(最近VDD作動デバイスが登場)ため高齢者で心室ペーシングのみで良いという患者に限定し(高齢者の徐脈性慢性心房細動、上大静脈閉塞例など)当科では植込みを行っています。ヒス束ペーシングも循環器・不整脈領域ではトピックスの一つですが、今後の課題として取り組んで参りたいと思います。

研究アクティビティ 2020年度~2021年度

  2020年度におきましてCOVID19感染拡大の影響で学会が中止・延期あるいはweb開催になるなど大きな制約がありましたが、日本循環器学会、日本不整脈心電学会および関連学会(アブレーション、デバイス)等で不整脈疾患・手技に関する症例報告・臨床研究、不整脈と血圧・血行動態に関する臨床研究について学術発表を行っており、心房細動患者における血圧管理・血圧計のアルゴリズムの工夫による検出性の向上・家庭血圧計を応用した新たな不整脈管理に関する研究成果が論文化されております。
 毎週月曜日に不整脈カンファランスを開催し症例検討会を行い、不定期ですが研究についてのミーティングを行って特に各スタッフが活用する共用の診療データベース構築がこの1年で進みました。基礎研究としましては東京医科歯科大学主幹の心房細動原因遺伝子の全ゲノム領域を検索する研究に自治医大病院不整脈グループも参画しており、今後、心房細動発症・進行に関与する新たな疾患感受性遺伝子群が捉えられることが期待されます。
 後進の指導については発作性心房細動も含めた主に上室性不整脈に対するカテーテルアブレーションおよびペースメーカー植え込みを責任もって実施できる若手医師を育成できる指導体制を敷いています。また小児科・心臓血管外科とも連携しつつ、心臓手術術後、先天性心疾患合併の不整脈にも対応しております。

今後の目標

 新館南棟の新しいカテーテル室に移り3年となりますが、今後この環境を有効活用し放射線の被ばく量を低減化に努めるとともに、カテーテルアブレーション手技のさらなる安全性と治療成績さらなる向上を図りたいと考えております。また心室頻拍は時として致死的となる可能性が高い重大な不整脈であり、その治療成績の向上は国内外を問わず不整脈診療の課題でありますが、さらなる研鑽を積みたいと思います。
 植え込みデバイスについては全国的に見ましてもハイボリューム施設の一つで、かつリード抜去可能となっておりますが、この体制を維持さらに強化し、デバイス植込みに関して外部からの見学・研修の受け入れなどCOVID19感染が抑制された近い将来に実施出来る体制を構築したいと考えます。
 また近年増加する成人先天性心疾患の関連した頻脈性不整脈に対しても最新の3次元マッピングを用いて複雑な頻拍回路の同定が可能となり、積極的にアブレーション治療を進めてきました。加えて小児科・循環器チームと密に連携し小児頻拍性不整脈に対するカテーテルアブレーション治療にも取り組んでおります。小児科から循環器内科に継承される先天性心疾患術後症例が近年著増し、成人先天性心疾患患者のQOL/予後改善のため不整脈という専門性を通じて診療へ積極的に参画したいと思います。
 最後になりますが、不整脈グループとして重ねた診療実績も臨床データとして集積され、我々にとって大きな財産となりました。今後この診療データを活用した臨床研究、血液検体を活用したバイオマーカー研究・心電図/血圧あるいは新たな生体情報収集のモニタリング、更にそれらを遠隔的に統合集積・管理する応用研究を2021年度広く展開して参りたいと思います。今後もご指導ご鞭撻のほどよろしくお願い申し上げます。



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