小児肝移植
自治医科大学では2001年5月より肝移植を開始し、2023年12月までに333例の小児生体肝移植(分割ドミノ肝移植1例含む)と6例の小児脳死肝移植を行ってきました(本邦3番目の症例数)。また、先天性門脈体循環シャント(先天性門脈欠損症含む)12例に対しては、生体肝移植を5例、シャント閉鎖を6例、経過観察を1例に行っております。2017年には成人肝移植プログラムを開始し、2022年には成人の脳死肝移植施設に認定されました。2023年12月までに64例の成人生体肝移植と1例の成人脳死肝移植を行い、施設として400例以上の肝移植の経験を有しており、日本でも有数の肝移植施設となっております。
肝移植の適応評価に関しては、急性肝不全や代謝性疾患は小児科消化器グループや小児集中治療部と、胆道閉鎖症や肝芽腫は小児外科と密に連携を取りながら診療を進めており、その他の希少疾患(新生児急性肝不全、メープルシロップ病症、メチルマロン酸血症、シトルリン血症、糖原病、重症複合免疫不全症、肝紫斑病(ミオチュブラーミオパチー)、一過性骨髄異常増殖症など)を含めて様々な疾患に対応できる体制が整っております。肝移植の周術期管理においては、移植外科医のみならず、移植コーディネーター、薬剤師、感染制御部、集中治療医、腎臓内科医、精神科医と日々カンファレンスを行っており、専門性の高い診療を行っております。血管・胆管合併症においては経験豊富な放射線科医と消化器内科医(小児に対する小腸鏡下治療は本邦最多の症例数)がおり、迅速かつ適切に治療を行う体制が整っております。また生体ドナーに関しては、適応評価、手術、術後管理から永続的な外来管理まで当施設が責任を持って行っており、2022年4月から腹腔鏡下ドナー手術を開始しましたが(3例)、整容性を含め経過良好です。
移行期医療が注目される昨今、成人胆道閉鎖症の患者さんに肝移植が必要となっております。当院では大学病院附属の子ども医療センターである点においても成人移行期の患者様もシームレス、かつ永続的に管理を行っていくことができます。また、移植後の成人移行期の患者様においても様々な問題(服薬アドヒアランス、就職活動、妊娠・出産など)が起こり得ますが、当院は通院患者(約450名)の30%以上が18才を超えてきており、隔年で開催している患者会を通じて交流を深めており、患者同士で悩みを分かち合い、解決できる環境が整っています。小児肝移植医療は移植手術だけではなく、生涯に渡って診療を続けなければいけません。自治医科大学附属病院はそのような診療ができる数少ない施設であると自負しております。さらに、長期滞在用の施設(ドナルド・マクドナルド・ハウス とちぎ、構内住宅)や院内学級もありますので、遠方の患者様においても受け入れの体制が整っています。
これまでの当院のデータや具体的な受診方法に関して提示させて頂きました(詳しくは当科ホームページを参照してください)。
当院への受診を希望する際の参考にして頂ければと思います。
2024年4月
自治医科大学附属病院移植外科科長 佐久間康成
成人肝移植責任者 大西康晴
小児肝移植責任者 眞田幸弘
ドナー責任者 脇屋太一
②主治医の先生と相談の上、紹介状を書いてもらってください。
*注意事項:
ご不明な点、ご確認事項などありましたら、遠慮なく移植コーディネーターまでご連絡頂ければと思います。
自治医科大学附属病院移植外科
自治医科大学とちぎ子ども医療センター小児移植外科