形成外科学講座

トレチノインによるにきび治療

 

トレチノインによるにきび治療の原理

にきびは皮脂線の機能が亢進するとともに、毛孔の入り口に角質が異常に厚くなり蓋をすることにより起こります。トレチノインは、皮脂腺を萎縮させ、皮脂腺の機能を低下させるとともに、毛穴に蓋をしている角質(角栓)をはがれやすくすることによって、にきびを治していきます。トレチノインを始めとするレチノイド(ビタミンAの誘導体の総称)は非常に有効なにきび治療薬として、欧米ではにきび治療の第一選択薬となっています。

にきび治療の基本プロトコール

医師の指示により、1日2回朝と夜、もしくは1日1回夜に、使用する。

  1. 洗顔する。良く泡立てて、ごしごしこすらないようにしましょう。
  2. 化粧水 刺激の少ないもの。適度な保水成分を含むもの。
  3. ビタミンCローション 高濃度のもの。広く使用します。
  4. トレチノインを患部に薄く塗布する。
    しみの治療と異なり、広くうすく使用します。目や口の近くは避けましょう。
  5. 医師の指示がある場合は、患部にAHA(フルーツ酸)ジェルなどを塗布する。
  6. 朝は必ず日焼け止めクリームを使用する。
    化粧は行なってもかまわない。
    夜はナイトクリームなどを使用してもよい。
  7. 医師の指示により必要に応じて、ビタミン剤、抗生物質や抗アンドロゲン剤などの
    内服・外用を並行して行なう。

以上の塗り方は、治療開始時の使い方です。
治療が進むにつれ、薬の内容、塗り方等が多少変わってきます。

 

アドバイス
にきびの治療には①今あるにきびを治す治療、と②これからにきびを出させなくする治療が必要です。①には炭酸ガスレーザーやAHAも効果的です。②には抗アンドロゲン治療が効果があります。トレチノインは、①、②両方に効果があります。

 



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