専門外来紹介

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専門外来の週間予定は外来診療表に掲載しております。

 

 

角膜外来

 角膜は、いわゆる黒目の部分(図:赤点線)で、眼球の最前面に位置する直径約12mm、厚さ0.5mmの透明な膜で、眼球の屈折力の約2/3を担っています。この角膜に生じる疾患の種類は数多く、点状表層角膜症、角膜びらん、角膜潰瘍(細菌性、真菌性)、周辺部角膜潰瘍、角膜ヘルペス、円錐角膜、角膜ジストロフィ、水疱性角膜症などがあります。

 

疾患の種類が多いゆえに、病態をよく考え、正しい診断を行う必要があります。そして、正しい診断のもとに治療を行います。感染症や免疫反応によって生じる疾患は薬物治療が中心となります。一方、薬物治療で改善できない疾患に対しては、角膜移植などの手術治療を行います。本来透明なはずの角膜ですが、さまざまな理由で混濁します。また、眼内で一番屈折力の強い角膜に病気やケガが生じると乱視が強くなることがあります。そのような場合には、角膜移植が必要になります。全層角膜移植のほか、角膜内皮移植術や深層表層角膜移植などのパーツ移植も行っております。

同じ時間帯にコンタクトレンズ外来も行っており、主に円錐角膜に対するハードコンタクトレンズの処方を行っています。通常ハードコンタクトレンズのほか、円錐角膜専用のハードコンタクトレンズもトライアルレンズを常備しています。一般ハードコンタクトレンズが合わなくなった方に有用です。

 日本の角膜研究は、伝統的に世界のトップクラスにあります。角膜はなぜ透明なのでしょう?角膜に魅了される若い人の活躍を期待しています。

 

緑内障外来

緑内障は眼圧に関連して視神経が障害され、進行性かつ不可逆性の視野障害(視野欠損)をきたす疾患です。40歳以上の日本人における有病率は5%(20人に1人)と、決して稀な疾患ではないうえに、成人の中途失明原因の第一位を占める極めて重篤な疾患です。緑内障に対する唯一の治療は眼圧下降ですが、その眼圧下降治療には、薬物治療(点眼)、レーザー治療、手術治療があります。一般的に手術治療は薬物治療やレーザー治療など他の治療で十分な眼圧下降が得られない場合や、進行が抑制できない場合などに行いますが、そのような手術治療まで必要となる患者さんが一定数います。

当緑内障外来では、主に手術治療が必要と考えられる患者さんや、治療方針に悩んでいる患者さんを近隣の眼科医院などよりご紹介いただき、治療にあたっています。手術治療後も所見が悪化する可能性があるため、定期的な経過観察を行っています。

また成人の緑内障以外にも、小児の先天緑内障や発達緑内障の診断・治療も行っています。場合によっては全身麻酔下での検査及び手術を要することがあります。

 

網膜硝子体外来

網膜硝子体外来は、糖尿病網膜症、裂孔原性網膜剥離、硝子体出血、黄斑円孔や黄斑上膜などの手術を必要とする網膜疾患を対象とした専門外来です。眼底検査や光干渉断層計(OCT)や蛍光眼底造影や超音波断層像などの検査結果をもとにして、治療方針や手術の適応を判断します。裂孔原性網膜剥離などの緊急疾患は当日に入院し手術を行う場合もあります。当科では27G、25Gシステムを用いた小切開で低侵襲の硝子体手術を行ってます。年間800件以上の硝子体手術を行っており、全国トップクラスの件数を誇ります。手術治療を行い、患者さんの視機能の質の維持や向上を目指します。重症例や難治性な疾患を治療対象にすることが多いですが、必要な手術技術を提供して参ります。

 

黄斑外来

眼球の後ろには、外からの光が焦点を結び、その光の像を感じる網膜という神経の膜があり、黄斑はその中心部であり、視力にとって最も重要な部分です。カメラに例えるならフィルムの中心部分であり、その黄斑部に生じた疾患についての専門外来です。この外来に通院する患者さんの大半が加齢黄斑変性(AMD)です。加齢黄斑変性は、加齢に伴う老廃物の蓄積から網膜下の脈絡膜に新生血管を生じることで発症し、出血やむくみをきたし、視力が低下する病気です。欧米では中途失明の第一原因になってます。

この疾患の直接的な原因でもある、黄斑部に生じる新生血管は、血管内皮増殖因子(VEGF)を抑制することでその活動性を抑えることができます。従ってVEGFを中和する薬剤を眼球内に注射する治療が最も効果的です。1ヵ月に1回のペースで、連続3回注射をすることで多くの方は新生血管の活動性が落ち着きます。その後の活動性をみて注射の頻度を調整していきます。そうすることで、視力の維持が可能となります。治療効果の出方には個人差がありますので、一人ひとりに合った治療を提案させて頂きます。

 

 

必要な検査として、眼底検査、光干渉断層計(OCT)検査、フルオレセイン蛍光眼底血管造影検査があります。

VEGFを中和する薬剤では効果不十分な方には、光に反応する薬剤を点滴してから眼底にレーザーを当てる光線力学療法(PDT)も行っています。これらの検査・治療を総合して行える施設が限られているため、当黄斑外来には近隣の眼科医療機関からの紹介患者さんが多数来院されています。

 

斜視弱視外来

弱視斜視外来は自治医大開設の1974年から現在に至るまで「両眼視機能を大切に考えて」という一貫した治療方針のもと、脈々と続いている専門外来です。 専門外来は生後間もない乳児から高齢者まで幅広い受診があり、平均外来患者数は1日40例、入院手術は週1例、外来手術は多い時は週4例と増加傾向にあります。

眼科一般検査に加え、視機能・両眼視機能を伸すための検査や訓練を行なっています。
弱視・斜視の分野では画期的な発見や新たな手術手技が続々と出るということはあまりあるわけではありません。また、治療成績の評価は多くの症例を長期にわたり経過観察することで、はじめて論ずることができる、いわば息の長い特殊性があります。その中で、泣いてしまって検査もなかなか困難だった子どもたちがいつの間にか立派に検査ができて成長してゆく姿や、外見的に気になっていた斜視が改善して前向きになれたとお話していただける患者さんに接することができるのはとてもうれしいことです。

弱視・斜視といっても患者さんごとに、視機能や悩んでいることはさまざまです。専門外来では一人一人の患者さんの視機能を正しく評価し、長期にわたりよい状態で維持することを目標に日々診療にあたっています。  

眼科診療を視機能の面から支えているこの分野に興味を持ってくれる若い力を期待しています。

 

未熟児外来

新生児集中治療室 (NICU) にて、未熟児網膜症の疑いのある新生児の眼底検査を施行します。

未熟児網膜症とは、在胎週数34週未満、出生体重が1800g未満の低出生体重児が、生後3~6週ごろに発症しやすい網膜の血管の未熟性に基づく疾患です。網膜血管は、胎生9ヶ月頃にほぼ完成するとされていますが、それ以前に出生した場合、眼球内での酸素濃度を含めた環境の変化で、網膜血管の異常成長をきたし発症します。悪化すると網膜剥離に進行し失明する可能性があります。 診察は、小児科医の全身管理の下で未熟児網膜症の国際分類に従って診断し、悪化進行の危険があると判断された場合は治療を行います。未熟児網膜症の進行を止めるための治療として、抗VEGF薬の硝子体内注射やレーザー光凝固治療を行います。本症は、治療時期の判断が重要であり、治療効果の適正時期を逃さぬよう細心の注意を払い網膜専門家が診療に取り組んでおります。

 

ロービジョン外来

当院初診の方は、一度一般外来を受診して、必要な検査を行ってから、予約を取らせていただきます。

身体障害者手帳の有無に関わらず、見えにくさがあり、生活において何らかの不便を感じている方、困っていらっしゃる方全てを対象としています。治療中(手術直後、硝子体注射中など)の患者さんも受診可能です。

当院のロービジョン外来では、患者さんの保有する視機能を最大限に活用できるよう、眼科医(渡辺)と視能訓練士で、それぞれの目の状態や使用目的に合わせて、必要な視覚補助具(ルーペ、拡大読書器、遮光眼鏡、単眼鏡など)を選定します。


また、身体障害者手帳、障害年金、難病申請、介護保険などの情報提供を行っており、スマートサイト(栃木県ロービジョンケア紹介リーフレット)を中心として、各福祉機関・教育機関とも連携しています。白杖歩行について歩行訓練士への紹介や、ハローワーク担当者と連携して、求職中、休職中の方の就労相談も行ってます。未就学児から学童~大学生まで、見えづらくて困っている児やその家族の教育相談もお受けしています。

 

ぶどう膜外来

ぶどう膜とは虹彩・毛様体・脈絡膜の総称です。当専門外来では、このぶどう膜を病巣とした眼内の炎症性疾患であるぶどう膜炎を主な診療対象とし、最新の知見と科学的根拠に基づき診療しています。
ぶどう膜炎は、充血や眼痛、流涙、羞明、霧視などの視力障害をきたします。サルコイドーシス、原田病、ベーチェット病など全身の免疫異常が原因である場合もあれば、細菌性眼内炎やヘルペス性虹彩毛様体炎など、細菌やウイルス感染などが原因となることもあります。また、眼内悪性腫瘍や外傷などでもぶどう膜炎をきたすことがあります。原因特定と治療には、眼科的検査だけでなく病歴の聴取や全身検査なども重要ですので、疾患によっては他科と連携しながら診療を行います。国内のぶどう膜炎患者のうち、約37%が原因不明となっており、治療に難渋してなかなか完治には至らない場合も多く、「うまく付き合っていく」必要がある疾患とも言えます。
時には失明をきたす危険性もあるため、早期診断・早期治療が大切になります。皆様と一緒になって、より良い診療をご提供して参ります。