自治医科大学 循環器内科学部門

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重症心不全


重症心不全

心不全の原因は、虚血性心疾患、弁膜症、心筋症、先天性心疾患と様々なものがあり、心不全の病態も軽度なものから重症なものまで多岐に渡ります。

左室の心機能が高度に低下した重症心不全の治療は、一般的に内服薬(ACE阻害薬、アンギオテンシン受容体阻害薬、利尿剤、β遮断薬、強心剤、PDE阻害薬)、ペースメーカーによる左室再同期療法、外科的治療(左室形成術など)が行われています。

しかしながら、これらの治療を行っても改善の認められない治療抵抗性の重症心不全は循環器疾患において最大の難関のひとつです。近年、日本においても本病態に対して補助人工心臓、心臓移植が行われるようになりました。
当院は、補助人工心臓の植え込みができる施設であり、2015年からは植え込み型の補助人工心臓を扱えるようになりました。

これに対応し、循環器内科医師、心臓血管外科医師が共同で重症心疾患治療部を立ち上げ治療抵抗性の重症心不全の診療を行っています。また、重症心不全の治療にあたっては、チーム医療の重症性が増しています。
当院においても、循環器センターの医師だけではなく、精神面をカバーする精神科医師、臨床心理士、看護師、薬剤師、臨床工学技師、栄養士がチームを作り、重症心不全治療にあたっています。 チームとして重症心不全診療に当たる醍醐味を望むスタッフを募集しています。



●臨床アクティビティ 2017年
心不全グループは、標準的な心不全内科的治療を実施するための教室員の教育、心不全患者に対する多職種連携の取り組み、重症心不全に対する治療を行っています。

心不全治療においてはガイドラインに基づいた標準的な薬物治療は必須となっています。毎週月曜夕方には心不全回診を行い、個別の症例を掘り下げて病態や治療方針についての検討を行っています。教室として標準的心不全治療を基礎に個々の症例に対する方針を共有することを目的としています。

心不全患者は疾患以外の問題も多く有しており、家族関係、ADL、認知機能、生活状況などの問題点も同時に介入していく必要があります。これは医師だけでは解決できない問題点であり、コメディカルとの連携が欠かせません。そのため、看護師、理学療法士、薬剤師、栄養士、臨床心理士を加えた心不全チーム医療カンファレンスを開催しています。本カンファレンスで全症例のオーバービューを行うことで、患者さんの非医療的な問題点が明らかになり、退院までにリハビリや地域の福祉サービスとの連携が行えるようになりました。心不全患者へのリハビリオーダーも増加しています。

また、外来においては、外来看護師と栄養士が主体となって、減塩指導を中心とした心不全患者の指導プログラムを運用しております。減塩指導は心不全患者の自己管理において重要なポイントであり、集中的な介入により心不全再入院を回避できた症例も出てきております。これまでに約30名の心不全入院を繰り返す患者に介入を行い、20名に介入を終了しましたが、再入院が回避できている症例は約半数であります。対象患者は非常に重症な患者も含まれており、減塩だけで再入院が防げるわけではありませんが、この介入により、患者さん自身の自己管理意識や疾患への理解が高まったと実感しています。

近年の問題として、重症心不全の増加が挙げられます。低心機能の症例で、心不全入院を繰り返すうちに強心剤が離脱困難となった症例で、心移植を目指している患者に対しては植え込み型補助人工心臓(VAD)が適応になります。2016年には当施設で2例目の植え込み型補助人工心臓の移植術が行われました。現在当施設では植え込みVADを装着しながら移植待機中の症例が2名おり、心臓血管外科外来でフォローされています。VAD症例に対しては、内科・外科・精神科・看護師・理学療法士・臨床心理士から成るVADカンファレンスを定期開催しており、症例の問題点を適宜話し合っています。

●検査
原田顕治准教授、小形幸代講師を中心に、外来・病棟の心エコーを積極的に実施しています。2017年は7,080件の経胸壁心エコー、267件の経食道心エコーを行いました。 核医学検査は河野健准教授を中心に行われています。テクネシウムによる血流シンチ以外にも、MIBG、ピロリン酸シンチなども病態に応じて実施しています。 心臓MRIは心機能低下の鑑別、心サルコイドーシスの鑑別などに近年積極的に行われており、2017年は154件行われました。


心不全チームエコーチーム