臨床での医療の高度化・複雑化はめざましく、新人看護職員が看護基礎教育で修得した知識・技術だけでは安全な看護ケアを提供するのは困難な状況です。看護専門職業人として、根拠に基づく看護実践のために必要な基礎的知識・技術・および社会人・専門職業人としての態度を卒後1年間で修得し、ベッドサイドケアが安全・確実にできることを目指したプログラムです。
この新人教育が基盤となり、状況を適切に判断できる力や応用力を育成するとともに、看護の社会的な使命を認識して生涯に亘り自己啓発できる看護実践者としての成長を目指します。
1 看護基礎技術研修 (4月,5月/6月~8月)
基礎教育とのつながりをスムースにするための実践に即した看護技術の集合研修です。4月中は集合研修を毎日行い職業人としての生活を整えながら学習習慣を身につけます。点滴管理、感染防止、排泄援助などの技術全般に加え、フィジカルアセスメント、コミュニケーションや看護倫理も学びます。6月からは注射レベルⅡの技術研修が始まります。
2 部署異動研修
5カ月・3カ月・4カ月合計12か月の3クールの中で、2クール目は他病棟で研修し、3クールは1クールの病棟に戻ります。基礎教育や集合看護基礎技術研修での学びを実際の看護場面で患者さんと触れあいながら実践します。各部署の指導者が、しっかりサポートします。院内共通の部署課題研修で、看護実践の根拠を深めます。
3 重症救急部門研修 ~患者さんの回復過程に沿ったチーム医療を知る~
特定機能病院であり、高度先進医療を担う本院では、専門性の高い各部署・部門が連携しチーム医療を提供しています。
救命救急処置や急変時の対応、人工呼吸器装着時の看護は、主にERやICU,CCUで行われており、モニタリングや呼吸・循環管理などの看護技術を経験できる場です。また一般病棟では経験できない全身麻酔下にある患者へ倫理的配慮や合併症予防などの手術室看護は、術前の心身の状態を整えたり、術後の疼痛コントロールやドレーン管理、合併症予防の看護を実践したりする際に大いに役立てることができます。
チーム医療の一員として患者を全人的に捉え回復過程をふまえた看護を実践するうえでもこうした重症救急部門での看護を経験しておくことは重要です。
4 他部門研修 ~専門性の高い多職種の仕事に触れ、患者の生活を多面的に理解する~
チーム医療の推進、多職種連携が求められる中、高度医療を担う当院では様々な職種の医療スタッフが、各々高い専門性を活かし、患者の状況に的確に対応した医療を提供しています。 他部門を見学し他の職種の業務内容や専門性に触れることは、互いの連携への理解を深めことや、患者の生活の流れや患者が受ける検査の状況をよりイメージしやすくなることにつながります。組織の中で看護の役割を考え協働する大切さを実感することを期待します。