自治医科大学 循環器内科学部門

文字サイズ変更
S
M
L

Menu


教授挨拶

「自治医科大学循環器内科2024NOW」

  - 新時代の始まり - 何を大切に、何を追求するか?   
   日々研鑽を積む医学の道場へ


苅尾七臣

自治医科大学内科学講座
循環器内科学部門
教授 苅尾七臣


自治医科大学循環器内科のHPにご訪問下さり、ありがとうございます。
皆様におかれましては、ご健勝のことと存じます。2024年、コロナ禍もほぼ終息し、4月より、いよいよ「働き方改革」の実施が始まりました。自治医大の循環器内科では、病棟の主治医制を廃止して、グループで患者をみるように切り替えました。

これまで、当教室が伝統的に最も大切に引き継いできた核心的精神は、「目の前の一症例に全力を尽くす」です。一人の患者に対する診療から沸き起こる情熱こそが、未解決課題に対する高度先進医療や基礎臨床研究を推進させるプロフェッショナルな執着心を生み出すと考えています。この精神を中心に据え、新時代においても、活躍できる「総合医的視点を持つ循環器専門医」を脈々と生み出す組織でありたいと思います。

当教室の標語に「創新」という言葉を掲げています。「創新」とは、目の前の課題に取り組むキーワードであり、創意工夫をこらし自分にしかできないことを追求する姿勢です。スタッフ一人一人が情熱を持ち、それぞれが得意とする「臨床」「教育」「研究」の分野において創新を積み重ね、その楽しさと重要性を後進に伝えることをモットーとしております。

当院循環器センターでは、心臓血管外科や先天性心疾患センターとの臨床・教育連携体制を整え、循環器専門医をはじめ各サブスペシャルティの専門医が短期間で取得できる臨床プログラムを整備しています。内科部門では、虚血性心疾患、心不全、不整脈、大動脈解離、肺血栓塞栓症、感染性心内膜炎など、多岐にわたる疾患を有する患者を総合医的視点を持ち、冠動脈インターベンションに加え、TAVI、MitraClipなどデバイス治療も取り入れ、さらに一例一例の個別性を丁寧に評価した最適な診療を行います。エビデンスと技術に裏付けられた高度先進医療を行いながら循環器内科医としての臨床能力を短期間で身に着け、循環器学会認定専門医、さらに心血管インターベンション治療学会や不整脈学会など専門分野の専門医取得が可能です。

学術活動では、一例の症例報告を大切にしており、レジデント並びに若手医局員の学術活動教育には医局員全員が総力を挙げて力を入れています。マンツーマン指導を行い、積極的に学会発表の機会を与え学術活動の経験を積んでいます。2023年度は、数多くの発表と受賞の機会を得(下記)、内2本が英文医学雑誌にアクセプトされました。学術研究論文は英文医学専門誌に毎年100本程度を発表しています。また、国内外の学術集会においても積極的に若手医師が演題発表できるような研究指導体制を取り、日々臨床に取り組みながら研究活動も自ずとできる環境を整え、医学博士号取得のバックアップをしております。2017年度に立ち上げた予見バイオマーカー研究拠点(Anticipation Biomarker Center:ABC)では、いよいよエントリーも進み、冠動脈疾患、不整脈、心不全、動脈硬化・高血圧の各循環器領域の臨床研究が加速しています。

新時代においても、スタッフ一同「情熱の連鎖」をもって本来の原点からぶれずに、医療・教育・学術活動を活性化して参ります。新たに研修先を探されている学生ならびに研修医、栃木県で働こうと考えられている先生方、さらに産学共同研究を進めようと考えておられる企業研究者の皆さん、新しい力 を歓迎いたします。

2024年5月吉日
自治医科大学循環器内科学部門
教授  苅尾 七臣


自治医科大学循環器内科学部門の活動概要

(図1)

自治医科大学循環器内科学部門では、上記をコンセプトに診療、教育、研究活動を行っています(図1)。


【臨床】
平成14年(2002)心臓血管外科と共に循環器センターが開設され、初代センター長に島田和幸教授が就任し、平成18年(2006)から心臓血管外科の三澤吉雄教授、平成30年(2018)からは循環器内科の苅尾七臣教授がセンター長を務めています。

センター開設後20年間で循環器疾患の疾病構造は大きく変化し、診断治療法は革新しました。冠動脈疾患の発症年齢幅は30歳代から90歳代までと極めて大きくなり、心室頻拍や心房細動など、不整脈や他の血管疾患を合併する重症患者、多様な病態を持つ高齢者、急性心不全患者が増加しています。それに合わせて、心臓血管外科をはじめとする他科との連携をとり、大学病院循環器センターが要求される高度先進医療技術を駆使した循環器専門診療を行っています。

当科では循環器救急医療に力を入れてており、平成30年(2018)からは心臓カテーテル検査室が3室となりました。24時間365日対応可能な「断らない医療」を実践しております。令和5年(2023)においても、入院患者数は1750名に上っており、月平均145名、平均在院日数は9.7日でした。急性心筋梗塞155例、狭心症382例を受け入れ、緊急カテーテルは282件に上ります。

狭心症を含めた冠動脈疾患に対する心臓カテーテル検査は1640件、冠動脈カテーテルインターベンションは482件、末梢動脈疾患は38症例で、59病変のカテーテル治療を行いました。特にIVUS・OCTを用いたイメージングを積極的に取り入れ、個々の症例の局所病変をリアルタイムに可視化することにより、的確な病態把握や治療戦略の組み立てや、さらに興味深い症例報告も発表できるようになりました。 また、平成29年(2017)から手術リスクの高い大動脈弁狭窄患者に対し、心臓血管外科と共にハートチームを形成して開始した経カテーテル的大動脈弁留置術(TAVI)は、2024年5月で233例に達し、2024年からは経皮的僧帽弁クリップ術(MitraClip)を始めています。

不整脈に対するカテーテルアブレーションは、令和5年(2023)には年間291例に達しており、その内訳は心房細動191例(クライオバルーン63件)、心房粗動48例、上室頻拍・WPW症候群38例、心室頻拍24例などで、CARTO、EnSite、Rhythmiaなど3社の3Dマッピングシステムを適宜使い分け、全てのタイプの頻脈性不整脈に対して心臓電気生理学的検査・カテーテル治療を行っています。埋め込み型デバイス治療は、ベースメーカ年間115例(新規64例)、ICD/CRT64例(新規35例)と症例数も続伸しています。令和元年(2019)からは、エキシマレーザーを用いたリード抜去が可能となり、現在県内唯一の認定施設のため、他院からの要請にも積極的に対応しています。また、皮下埋め込み型除細動器(S-ICD)、着用型除細動器(WCD)、リードレスペースメーカ、ループレコーダーなど先進医療機器を導入して、診療に生かしています。

心不全入院も235名と多く、僧帽弁疾患18名、大動脈弁疾患78名と弁膜症も増加しており、大動脈解離15例、肺塞栓症45名、感染性心内膜炎17名、心筋炎4名、心臓サルコイドーシス13名、心筋症30名と多岐にわたる患者の治療を行っております。経胸壁エコーは7379件、経食道エコー223件、心臓MRIも198件実施しています。特にMRIやPETによる画像診断、心筋生検を取り入れたサルコイドーシスやアミロイドーシスの早期診断治療に力を入れ、ECMOやIMPELLA、LVADなどの重症心不全治療を日常的に行っています。

平成20年(2008)に開設された成人先天性疾患センターは、令和元年(2019)に日本成人先天性心疾患学会が新たに設けた専門医制度の総合修練施設に認定され、ASDやPDAのデバイス閉鎖術や不整脈アブレーションを行っています。高血圧領域では、新規革新的治療法として注目を集める経カテーテル腎交感神経デナベーションの国際臨床試験と臨床導入を推進しています。専門外来としては、血管外来、ペースメーカー・ICD/CRT外来、心臓リハビリ外来、冠疾患外来を開設しており、高血圧・睡眠時無呼吸外来では、治療抵抗性高血圧や睡眠時無呼吸症候群を有する循環器患者の診断と治療を行っています。


【教育】 
後進の育成に関しては、全スタッフが一丸となり特に力を入れています。当院では、新しい専門医制度に対応したカリキュラムを組んでおり、初期研修期間中に多様な疾患を経験できます。医師の基本となる診療の考え方と技術が無理なく身につき、その後は循環器内科後期研修プログラムへと続きます。

さらに当科では、大学病院ならではの教育的臨床研修指導体制がきちんと確立しています。これらのプログラムでは、効率的に循環器の専門知識と必要な技術が習得できる具体的症例数と達成目標を明確に決め、それを基盤に、専門医が最短で取得できる臨床研修プログラムを実施しています。当院の大きな特徴として、大学病院であると同時に、地域救急医療にも積極的に携わっていることから、多岐にわたる急性期循環器疾患の患者が入院します。ベッドサイドでは、これら多くの患者を専門医資格を有する経験豊富な上級医と共に受け持つことにより、循環器疾患の診療体系が習得できます。

地域医療を担う「総合医の育成」という自治医科大学の建学精神を認識しているスタッフのもとで、患者管理の総合医的視点も身につきます。また、当科では女性医師への支援体制が確立しており、ママさん医師として家庭と仕事を両立し活躍している女性医師も在籍しています。

加えて、特筆すべき当科の特徴は、一例一例の患者の多彩な病態を最新技術と新規学術視点で丁寧かつ詳細に検討し、多くの症例報告を英文医学学術誌に発表している点であります。特に、レジデントや若手医局員の学術活動教育には医局員全員が総力を挙げています。マンツーマン指導で積極的に学会発表の機会を与え学術活動の経験を積んでいます。2023年度は、数多くの発表と受賞の機会を得ました(下記)。その内2本が英文医学雑誌にアクセプトされました。


<2023年度レジデントの当科における学会発表>
2023年6月17日 第268回日本循環器学会関東甲信越地方会 Resident Award最優秀賞 弓田馨之
2023年6月17日 第268回日本循環器学会関東甲信越地方会 Resident Award優秀賞 栗原綾乃
2023年7月 9日 第688回日本内科学会関東地方会 奨励賞、指導医賞 田中裕郷
2023年7月 9日 第688回日本内科学会関東地方会 市丸夕乃
2023年9月 2日 第269回日本循環器学会関東甲信越地方会 Clinical Research Award優秀賞 宮崎彩花
2023年9月 2日 第269回日本循環器学会関東甲信越地方会 Resident Awardノミネート 永嶌貴樹
2023年9月 2日 第269回日本循環器学会関東甲信越地方会 岩間春佳
2023年9月16日 第689回日本内科学会関東地方会 奨励賞、指導医賞 黒木安優香
2023年9月16日 第689回日本内科学会関東地方会 朝日善治
2024年3月 9日 第88回日本循環器学会学術集会 JCS EARLY CAREER CHAMPIONSHIP 関東支部代表 弓田馨之


【研究】
2015年から地域医療循環器先端研究開発センター(Jichi Medical University COE Cardiovascular Research and Development Center: JCARD)を開設し(図2)、世界最先端の小型ウェアラブル血行動態モニタリング、ICTを用いた複合医療機器の臨床研究開発、新規臨床指標の探索、新規血液バイオマーカーの臨床的意義の確立をテーマとして、国内トップメーカと産学国際共同研究を実施しています。また、全国に卒業生を輩出している自治医科大学の特性を活用し全国多施設ネットワーク研究を展開しています。さらに、平成29年(2017)より立ち上げたバイオマーカーセンターでは、冠動脈疾患、心房細動、心不全、高血圧患者を対象に、血圧変動特性、血管特性、心臓電気特性、血液因子の4つの要素のマルチバイオマーカーに基づくイベント予見を最終目標とした研究が行われています。


(図2)
地域医療循環器先端研究開発センター


加えて、国際共同研究も精力的に行っており、米国コロンビア大学や英国ロンドン大学への留学や、イタリア・ミラノ大学、中国上海交通大学、中国国家心臓病センター、韓国延世大学の研究者と数多くの学術論文を発表することが可能です。これらの研究業績は国内外の学会で発表され、New Engl J Med, Lancet, Circulation, Eur Heart J, Hypertensionをはじめとする国際専門学術雑誌に掲載され、コロナ禍の英文論文数は2020年109編、2021年135編、2022年127編、2023年114編でした(図3)。

医学博士学位取得者は、2011年からの13年間で35名になりました。 当科のスタッフは、臨床と両立して研究活動にも励んでおり、臨床研修の間には、このような大学病院ならではの学術研究活動にも触れることができます。さらに一歩踏み込んだ医学研究をしてみたいという方は、将来、大学院博士課程へ進むことも可能です。


(図3)
英語論文発表の推移(累積)



教授プロフィール

1987年
自治医科大学卒業
1989年
兵庫県北淡町国民健康保険北淡診療所内科
1996年
自治医科大学循環器内科学講座助手
1998年
コーネル大学医学部循環器センター・ロックフェラー大学Guest investigator
2000年
自治医科大学循環器内科学講座講師
2004年
コロンビア大学医学部客員教授
2005年
自治医科大学COE (Center Of Excellence) 教授
2009年
自治医科大学内科学講座循環器内科学部門教授(現職) 
2015年
自治医科大学地域医療循環器先端研究開発センター (JCARD) 教授(現職)
2018年
自治医科大学附属病院循環器センター・センター長(現職)


客員教授・学外教授

2014年
英国・ロンドン大学医学部Cardiovascular Science研究所客員教授
2016年
中国・上海交通大学医学院・客員教授
韓国・延世大学校(Yonsei University)・学外教授
2017年
中国・国家心血管病センター/中国医学科学院阜外医院・Distinguished professor


所属学会:

日本内科学会(専門医、評議員), 日本循環器学会(専門医、評議員), 日本高血圧学会(副理事長、Hypertension Research編集長、指導医), 日本心臓病学会(代議員、FJCC), 国際高血圧学会理事, ヨーロッパ高血圧学会・心血管変動ワーキンググループ委員, アメリカ高血圧学会・公共政策委員会委員, 韓国心臓病学会名誉会員, Fellow of American College of Cardiology (FACC), Fellow of the American Heart Association and the Council for High Blood Pressure Research (FAHA), Fellow of European Society of Cardiology (FESC) 


ガイドライン作成・評価委員

日本高血圧学会・高血圧治療ガイドライン2019(JSH2019)/ 2014(JSH2014), 国際高血圧学会ガイドライン2020, 中国高血圧学会・ABPMガイドライン2014, ヨーロッパ高血圧学会・ABPMガイドライン2013, ヨーロッパ高血圧学会・家庭血圧ガイドライン2008, 日本循環器学会・睡眠時呼吸障害治療ガイドライ2010, 日本循環器学会・ABPMガイドライン2009


国際医学雑誌編集委員

Editor-in-Chief: Hypertension Research (Official journal of Japanese Society of Hypertension), Current Hypertension Reviews.
Associate Editor: Journal of Cardiology, Pulse, Circulation Journal, Journal of Clinical Hypertension.
Editorial Board: Circulation Journal, Hypertension, Current Cardiology Reviews, Evidence-based Cardiovascular Medicine, Expert Review of Cardiovascular Therapy, Renin Angiotensin system in Cardiovascular Medicine, Journal of Clinical Hypertension, Blood Pressure Monitoring, Current Hypertension Reviews, American Journal of Hypertension, Recent Patent Reviews on Cardiovascular Drug Discovery, Journal of Japanese Society on Thrombosis and Hemostasis, Journal of American Society of Hypertension, Journal of Cardiology, Journal of Human Hypertension, International Journal of Hypertension, World Journal of Cardiology, Journal of Hypertension, Current Cardiology Reviews, Cardiology Research, Heart and Vessels, International Heart Journal, Internal Medicine, Hypertension Research, Current Hypertension Reports, PLOS ONE , Clinical Hypertension, Cardiology Discovery, JACC: Asia.


JCARD

地域医療循環器先端研究開発センター(JCARD)は、2つの共同研究講座(SurgeとCoCreate)、国際血圧解析研究開発拠点(GAP)および腎デナベーション研究拠点(READ)、アジア家庭血圧モニタリング研究拠点(Home Asia)、予見バイオマーカー研究開発拠点(ABC)から構成されています。

↓Click Here↓
自治医科大学 地域医療循環器先端研究開発センター