頭のかたち外来
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診療内容
2021年6月に開設いたしました「頭のかたち外来」は、おかげさまでたくさんの方に受診していただいています。3年間で900名近い方が受診され、270名ほどの方がヘルメット矯正治療をされました。多くの方がいわゆる「向き癖」による位置的頭蓋変形ですが、中には病的な頭蓋縫合早期融合症の方もおられ、手術+ヘルメットによる治療も行っております。
※診察には必ず予約が必要になりますので、お電話でお問い合わせください。
赤ちゃんの頭のゆがみについて
赤ちゃんの頭がゆがむ原因は、大きく分けて2つあります。
骨が早期にくっついてしまう「頭蓋縫合早期癒合症」に代表される病気によってゆがんでしまう「病的頭蓋変形」と、子宮内、お産時、むきぐせなど外部からの圧力を受けてゆがんでしまう「位置的頭蓋変形」があります。まずは赤ちゃんの頭のかたちのゆがみが病気によるものかの診断が重要です。
病的頭蓋変形について
赤ちゃんの頭の骨は大人と異なり、いくつかの骨に分かれています。成人になるにつれて骨と骨がくっついていき、強固な頭蓋骨が形成されます。乳児期には脳が急速に拡大するため、頭蓋骨も脳の成長に合わせて拡大しますが、骨と骨が早期に癒合して成長を妨げてしまう場合があります。これを頭蓋縫合早期癒合症と呼びます。
早期に適切な診断、治療を受けないと頭蓋骨の正常な発育の障害や、頭や顔の骨の形態異常、手足の異常が起こる可能性があります。
位置的頭蓋変形について
位置的頭蓋変形は子宮内やお産時に頭が変形してしまったり、向き癖などにより圧力によって頭がゆがんでしまうことをさします。位置的頭蓋変形のゆがみについては形に応じて「斜頭症」「短頭症」「長頭症」の3つに分けられます。
斜頭症
斜頭症(しゃとうしょう)は、後頭部が斜めにゆがんでしまい、左右非対称になっている症状です。主な原因は、向きぐせや胎児期の子宮内環境による後頭部への圧力とされています。ゆがみが進行すると耳の位置や顔面が左右非対称になってしまうこともあります。
そのような場合には、治療が必要になることもあります。
短頭症(絶壁頭)
短頭症(たんとうしょう)は、後頭部が丸くならず平坦になってしまう症状です。一般的に絶壁とも呼ばれます。主な原因は、赤ちゃんが仰向けに寝ることで後頭部に圧力がかかることによるものとされています。
長頭症
長頭症(ちょうとうしょう)は、頭部が通常より縦に長く伸び、後頭部が著しく突き出ている症状です。主な原因は、横向きに寝ることによって側頭部に圧力がかかることとされています。長頭症は、病気による変形の特徴と似ているため、注意が必要です。
頭のゆがみの予防方法
赤ちゃんの頭のゆがみ度合いを大きくしないために家庭でできる予防方法もあります。
寝かせる位置の工夫
寝ている赤ちゃんに同じ方向を向かせないことで、片方の後頭部に圧が長時間かかることなく、変形もしにくくなります。
例えば、
・授乳のたびに頭と足の位置を交互に入れ替えて寝かせる
・両親が話しかける方向を変える
まずは、寝ている赤ちゃんの顔の向きを観察してみましょう。
タミータイム
タミータイムは首座りの練習やうつ伏せ練習の方法として用いられますが、頭のゆがみを予防する方法としても有効です。
うつ伏せになることで頭にかかる圧力を防げます。
分娩施設から自宅に戻ったら、1日2.3回、3〜5分くらいからはじめてください。保護者の監視下でおむつ替えの直後や、目が覚めた後に行いましょう。
※ 顔を動かすことのできない時期のうつ伏せ寝は窒息の恐れがありますので注意が必要です。寝かせる際は仰向け寝にしましょう。
ヘルメット治療
頭のゆがみが重度の場合は自然な形に戻るのが難しく、頭蓋矯正ヘルメットを使用しての治療が必要になります。
ヘルメット治療とは
生後2~6ヶ月がヘルメット治療開始の適齢期。なるべく早くご相談を。
ヘルメット治療とは、赤ちゃんの頭のゆがみを改善するために行われる治療のことです。赤ちゃんの頭の骨はやわらかいため、日常生活のちょっとしたことでゆがんでしまいます。こうしたゆがみを改善するために、頭蓋形状矯正ヘルメットをかぶることで、自然な頭の形に頭蓋骨を成長させていく治療が「ヘルメット治療」です。
頭蓋骨がまだやわらかい生後2~6ヶ月の間にこの治療を開始すると、より良い効果が得られるとされています。
ヘルメット治療で重要なこと
ヘルメット治療では「治療開始後のサポート」が重要になります。
赤ちゃん一人ひとりの成長や治療の進捗を見極め、適切なメンテナンスを施すために、経験豊富な医師とメーカーの協同が不可欠です。
メーカーの豊富なノウハウやデータにより、正確な診療を実現しています。
頭蓋矯正ヘルメット
当院ではジャパン・メディカル・カンパニーの日本製ヘルメットを用いてヘルメット治療を行います。
最先端3Dプリンタによる、強度と軽さを両立したヘルメットは、赤ちゃん一人ひとりに合わせた完全オーダーメイドで、日本人の骨格や、高温多湿な日本の気候を考えぬいた設計になっています。
13,000症例を誇るジャパン・メディカル・カンパニーのスタッフが常駐し、安心安全の医療サービスの提供をしています。
ジャパン・メディカル・カンパニー:https://japanmedicalcompany.co.jp/helmet/
Qurum Fit(クルムフィット)
「一般社団法人日本頭蓋健診治療研究会」の理事を中心とした、多岐にわたる領域の医師と、国産矯正ヘルメットのメーカーが共同開発したヘルメットです。
赤ちゃんにフィットする理想のヘルメットを目指して、ヘルメットからクッションまで、ゼロから設計されました。
ヘルメット本体はもちろん、クッションの水洗いも可能で清潔な状態を保てます。
日本頭蓋健診治療研究会:https://jcmets.securesite.jp/
ヘルメット治療の流れ
Step1 レントゲン検査をする
レントゲン撮影により、病的な頭蓋変形(頭蓋縫合早期癒合症)でないかを確認します。
Step2 適応診断をする
診察では、視診・触診を通して、変形の診断と重症度を判定し、診察時の月齢を考慮した上でヘルメット治療の適応を判断します。
Step3 ヘルメットをつくる
3Dスキャナー撮影データをもとに、現在の変形した形から、矯正後の最終的な頭の形を想定したオーダーメイドのヘルメットを作成します。
Step4 治療スタート
治療申し込み時から2週間前後、ヘルメット装着開始。基本的には入浴以外の1日23時間、6ヶ月前後の装着を推奨しています(個人によって期間が異なります)。
Step5 定期的な診察
約4週間ごとに診察、装着から1ヶ月、卒業時に3Dスキャン検査を行い、ヘルメットの装着状況や矯正による頭蓋変形を確認し、また頭の成長や矯正された改善度に合わせてヘルメットの再調整を行います。
Step6 治療終了
治療終了時期は、矯正された頭蓋変形の改善度、頭蓋成長の度合い、治療に必要な装着時間の確保の有無などを基に、専門医が判断します。
診療受付時間(頭のかたち外来)
初診 | 毎週 | 金曜日 午前・午後 |
再診 | 隔週 | 金曜日 午後 |
担当医師
小児脳神経外科 五味 玲
小熊 啓文