小児耳鼻咽喉科

診療内容

小児耳鼻咽喉科では主として、人と人とのコミュニケーションのための、「聴いて」「話す」ために欠かせない聴覚器と発声器、「呼吸をして」「食べる」ための上気道の病変を扱っています。特に、聴覚の障害を改善し「全てのひと(子ども)が、聴くことができる」ようになることを目標としています。
対象疾患は、慢性中耳炎(穿孔性中耳炎、真珠腫性中耳炎)や先天性難聴の鼓室形成術や人工内耳埋め込み手術、滲出性中耳炎、急性中耳炎、側頭骨腫瘍、急性感音難聴、睡眠時無呼吸症、習慣性扁桃炎、顔面神経麻痺、頭頸部腫瘍など多岐にわたります。大学病院併設型の小児耳鼻咽喉科の特色を生かして、大学病院耳鼻咽喉科の各分野専門医師と共に、高度な専門医療を目指しています。

耳鼻咽喉科の診察室には、診察用の大きな機械(診察ユニットや顕微鏡、内視鏡セットなど)や、ライト、金属製の器械が多く、ただでさえ子どもは不安になります。子どもと保護者に、安心して医療を受けていただくことをモットーに、質の高い専門医療を提供します。診察や各種の処置・小手術時には局所の麻酔を併用して、可能な限り痛みのないようにしています。さらに、どうしても必要という場合でない限り抑制帯は使わずに、子どもと保護者の安心と協力を得て、診察と治療を行なうように努めています。また、小児専門病院の利点を生かして、関連する小児系の診療科・スタッフとのチームプレーを大切にしています。

特色

中耳/側頭骨手術(聴力改善手術)

慢性穿孔性中耳炎、真珠腫性中耳炎に対する鼓室形成術など、安全・確実に病変を治すとともに、聴力改善を目指した手術治療を行っています。小児耳鼻咽喉科教授の伊藤は、これまでに3000例を超える中耳・内耳・側頭骨/頭蓋底手術の経験をもち、より安全で確実に遂行できる中耳・側頭骨手術を実践しています。
特に、小児の真珠腫性中耳炎は再発率が高く、手術で完全に摘出しないと何度も再発を繰り返すことがあり、高度な専門性が要求されます。手術中に可能な限り良好な視野と術野を得ることで、再発率を減少させるとともに、良好な術後聴力改善成績を得ています。

高度難聴に対する「人工内耳手術」

特に中・内耳奇形など人工内耳の手術困難例や重複障害のある場合にも、積極的に手術を行ないます。人工内耳によって得られる言語発達面での効果は様々ですが、それまでほとんど聞き取れなかった音が聞こえるようになり、人の言葉を聴き取れるようになってきます。人工内耳は聴力を失った方(あるいは生まれつき聴こえない子ども)にとって、最後のそして最良の医療であるといえます。

小児難聴の最も多い原因である滲出性中耳炎の診断・治療

小児耳鼻咽喉科専門スタッフの伊藤は、わが国の「小児滲出性中耳炎診療ガイドライン」作成委員長として、ガイドライン作成を行いました。子ども医療センターでは小児形成外科を中心とした、「口蓋裂ケアチーム」の一員として、滲出性中耳炎のハイリスク群である口蓋裂児に対する診療を数多く実践しています。

小児の反復性急性中耳炎の診療

抗菌薬だけでは治らない急性中耳炎の難治例に対して、予防を視野に入れた治療を実践しています。伊藤らが開発した漢方治療併用療法は、2018年版の急性中耳炎ガイドラインにも取り上げられ、推奨されています。

側頭骨・外側頭蓋底外科

外側頭蓋底病変(成人の錐体部真珠腫なども含む先天性真珠腫進展例、腫瘍など)に対する手術を行ないます。側頭骨・外側頭蓋底外科手術の世界的権威である、スイスのU. Fisch教授らが主催する、側頭骨手術ワークショップのアクティブ・メンバーとして貢献しています。

日帰り手術

滲出性中耳炎、穿孔性中耳炎の一部、その他の小手術に対しては、入院期間の短縮のため、一泊入院の日帰り手術も行っています。

スタッフ紹介

小児耳鼻咽喉科専門スタッフの伊藤真人(教授)野田昌生(病院助教)を中心に、大学病院耳鼻咽喉科の各分野専門医師と連携し、診療にあたっています。

教授
伊藤 真人
病院助教
野田 昌生
教授
伊藤 真人
病院助教
野田 昌生

外来診療日

(完全紹介制)

午前 伊藤
野田
(手術) 島田
野田
午後 (手術) (手術) 【小児難聴】
(本館外来)
斎藤
島田

実績

各種お問い合わせ・ご相談

TEL 外来 0285-44-2111(代表)
医局 0285-58-7381
FAX 0285-44-5547
E-Mail jibi@jichi.ac.jp