形成外科学講座

トレチノイン(レチノイン酸)療法-東京大学-

トレチノインとは

トレチノイン(オールトランスレチノイン酸)とはビタミンA(レチノール)の誘導体で、生理活性はビタミンAの約50-100倍であり、ビタミンA類の体内での生理活性の本体そのものであります。このトレチノイン(レチノイン酸)は、誰でも血液中にごく微量流れているものですから、抗原抗体反応を起こしたり、アレルギー反応を起こすことはありません。

トレチノイン(レチノイン酸)は米国ではしわ・にきびの治療医薬品として、FDAに認可されており、非常に多くの患者さんに皮膚の若返り薬として使用されています。日本では認可されておりませんが、本院では米国の製品にさらに改良を加えたものを処方しております。

(注)現在、多くの化粧品会社からしわに効果があるとしてレチノールやレチニールエステル配合のクリームが1-2万円程度で市販されておりますが、レチノールやレチニールエステルは外用ではレチノイン酸の約100分の1の生理作用しかないため、実際には臨床効果がなく、単なる保湿クリームという位置付けになります。

トレチノイン(レチノイン酸)の皮膚に対する作用には以下のようなものがあります。

  1. 角質をはがします。
  2. 表皮の細胞をどんどん分裂・増殖させ、皮膚の再生を促します。
    (約2週間で表皮が置き換えられます。)
  3. 皮脂腺の働きを抑え、皮脂の分泌を抑えます。
  4. 真皮でもコラーゲンの分泌を高め、長期的には、皮膚の張り、小じわの改善をもたらします。
  5. 表皮内でのヒアルロン酸などの粘液性物質の分泌を高め、皮膚をみずみずしくします。

トレチノイン(レチノイン酸)外用によるしみ治療は、原則的に患者さんご自身により、軟膏を塗布するという方式を取っていますので、患者さんがこの治療をよく理解されているということが重要です。トレチノイン軟膏を手にされた患者さんがトレチノイン治療を実践される際の手助けとなれば幸いです。

《注意》 トレチノイン(レチノイン酸)療法は臨床結果を保証するものではありません。

 

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