小児班では、小児の脊椎、骨、関節、筋その他の運動器に生じる疾患や外傷に対する診療を行っています。小児整形外科疾患は基本的に保存治療が第一選択となることが多く、当科は装具やギプス治療にも力を入れております。疾患によっては、患児の身体・精神発達状況を考慮して手術治療も幅広く行っており、小児における整形外科疾患を広く専門的に対応いたします。

主な対象疾患

• 上肢疾患

  外傷(上腕顆上骨折、上腕骨外側顆骨折、モンテジア骨折など)、Sprengel変形、強剛母指、先天性握り母指症、多指症、合指症など

• 下肢疾患

  ペルテス病、大腿骨頭すべり症、発育性股関節形成不全、単純性股関節炎、先天性膝関節脱臼、O脚・X脚、うちわ歩行、脚長不等、先天性内反足、外反扁平足、麻痺性足部変形など

• 体幹の疾患

  筋性斜頚、環軸関節回旋位固定、脊柱側弯(後弯)症、腰椎分離症・すべり症など

• 腫瘍性疾患

  骨嚢腫、類骨骨腫、骨軟骨腫、好酸球性肉芽腫など

• 全身性疾患

  脳性麻痺、二分脊椎、骨系統疾患、骨代謝疾患、多発性関節拘縮症など

• その他

  骨関節感染症(骨髄炎、化膿性関節炎)、骨端症など

股関節疾患

こちらも基本的には保存治療を第一選択としておりますが、発育性股関節形成不全に対する観血的脱臼整復術や骨盤骨切り術、ペルテス病に対する大腿骨内反骨切り術の治療経験も豊富です。特に、学童期に好発するペルテス病に関しては、術後早期に活動できる安静度を考慮した術式を取り入れており、患児およびご家族の身体的・心理的なご負担の軽減に努めております。また、近年では脳性麻痺に伴う麻痺性股関節脱臼の手術件数も増加しており、他県からの紹介も受け入れております。

足部疾患

先天性内反足に対しては、生後2-3週よりギプス矯正を開始し、週1回で10回程度ギプスを巻いた後に、篠田式装具による装具治療を行っております。重症例では軟部組織解離術を行いますが、基本的に早期のアキレス腱切離は行わず、保存治療の効果を見て手術適応を決定しております。年齢に応じて、Evans手術、足三関節固定術などの骨性手術も取り入れており、乳幼児期のみならず、学童期以降の足部変形にも対応可能です。また、脳性麻痺や二分脊椎に伴う麻痺性足部変形に対しても、積極的な保存・手術治療を行っております。その他、うちわ歩行に対する下腿回旋骨切り術も当科の特色の一つです。