診療班の紹介

関節・スポーツ班

膝関節専門外来は、毎週水曜日午後に行っています。軟骨が傷んで、O脚変形をきたす変形性膝関節症をはじめ、薬剤でコントロールが困難となった関節リウマチに対する手術治療として、人工膝関節置換術を主に行っております。他にも膝関節を残したまま荷重面を移して痛みを軽減する高位脛骨骨切り術や、スポーツ外傷である膝前十字靭帯損傷や、半月板損傷に対しては関節鏡による靭帯再建や半月板切除・縫合などを行っています。

治療方針に関しては、手術治療や内服や注射、リハビリテーションなどの保存療法まで最適な治療法をひとりひとりの患者さんに合わせて決めていきます。同じ疾患であっても、病状や生活背景、またこれまでに行われてきた治療経過などが皆さん異なります。大学病院として合併症がある方でも他科と相談して、安全面、治療効果、満足度の高い治療を実践していきます。

また、栃木県有数のプロスポーツチームのチームドクターも担当しており、ケガからの選手復帰や必要な療養期間の対応なども行っています。

下肢の要である膝関節に障害があると日常生活にもスポーツなどの趣味にも影響が及びます。膝の痛みなどでお悩みの方は、是非受診をご検討ください。

代表的な対象疾患と治療法

  • 変形性膝関節症
  • 関節リウマチ
  • 半月板損傷
  • 前十字靭帯損傷
  • 後十字靭帯損傷
  • 膝蓋骨脱臼

人工膝関節全置換術(TKA:Total Knee Arthroplasty)

変形性膝関節症や、関節リウマチでは軟骨が消失して、膝を中心に下肢がO脚やX脚変形して歩行に障害をきたします。その痛んだ軟骨を切除して人工の金属をかぶせます。金属間にはポリエチレンでできた人工軟骨を挿入して新しい関節を作ります。下肢の変形も矯正されるためにまっすぐな下肢になり、安定した痛みのない歩行ができるようになります。インプラントの耐用年数も、近年の正確な手術により非常に長くなっています。

高位脛骨骨切り術(HTO:High Tibial Osteotomy)

内側の軟骨が傷んだ初期の変形性膝関節症の患者さんに行うことが多いです。O脚変形になるほど、膝の内側に過重負担がかかりやすくなります。それを下腿骨を切りまっすぐ~ややX脚に矯正した後に金属のプレートで固定する方法です。そのために過重軸が膝関節のやや外側に変移することですり減った内側の関節稔コツへの負担を軽減して痛みを改善させます。60歳以下の若年者で土台となる骨がしっかりした患者さんや、壮年期のスポーツ希望する方に適しています。

関節鏡視下半月板縫合術・切除術

膝の半月板損傷はスポーツ外傷の一つであり、前十字靭帯損傷に合併する事もあります。膝軟骨へのストレスを減らす大切な役割があり、できる限り温存して縫合することが重要です。しかし、術後長期に膝への荷重や負担を避ける必要があるため、良く相談したうえで部分的に切除することもあります。もちろん半月板損傷・断裂が重度の場合は縫合して温存が困難な場合もあります。

肩関節・肘関節

主な対象疾患と診療内容(肩関節)

腱板断裂

加齢とともに腱板が損傷する場合と転倒・転落などの外傷で損傷する場合があります。痛み(引っかかり感)と脱力が主な症状になります。まずは、保存治療(内服、注射、リハビリ)で対応します。症状が改善しない方には身体に負担の少ない関節鏡で腱板縫合術を行っています。

反復性肩関節脱臼

若年者の肩関節脱臼は反復性脱臼に移行することが知られており、日常生活や仕事、スポーツに支障が生じます。MRI・CTによる画像検査を行い、患者さんの脱臼状態を把握して、手術治療を行います。関節鏡下手術で対応していますが、重症度に応じて烏口突起移行術を行います。

関節鏡下バンカート修復術

凍結肩

いわゆる四十肩・五十肩・肩関節周囲炎です。重篤例は強い肩関節可動制限を生じます。自然回復するのに数か月から数年を要するとされる疾患です。早期回復を望まれる患者さんには外来診療で超音波ガイド下にブロックして、肩の痛みを取って関節授動術を行っています。翌日からどんどんリハビリをすすめます。また、難治性の凍結肩には関節鏡下関節授動術を行っています。

自治医大整形外科肩関節班では凍結肩でお困りの方に外来で頸椎神経根をブロック下肩関節授動術を行っています。

超音波を用いて安全に頸椎神経根をブロック麻酔します。

肩関節は麻酔され感覚も無くなります。

麻酔は個人差もありますが約8時間ほど効きます。

麻酔をして約20分後にゆっくり肩関節をストレッチします。

このストレッチで関節内の硬くなった部分を剥がして行きます(麻酔によりほとんど痛みは感じません、突っ張り感などは多少残ります)。

翌日から肩を動かすリハビリを積極的に行います。

この施術の目的は痛みの原因と考えられる微細な炎症血管を破綻させること、硬さの原因となっている関節内の膜に切れ目を入れることです。

関節鏡下関節授動術

この治療のメリット

  • 超音波を用いて麻酔をするので安全です。
  • 外来にて1時間程度の治療で済みます(帰宅時の車の運転は避けてもらっています)。
  • 翌日からリハビリ治療を行うことで大きな可動域改善が期待できます。

変形性肩関節症、関節リウマチ

腱板断裂の進行や肩の軟骨障害により変形性肩関節を生じて、肩の運動時痛、可動域制限が生じることがあります。基本的には、生活指導や内服、注射、リハビリ治療を行いますが、疼痛や関節の変形が強い場合には、人工肩関節などの手術治療を行うこともあります。また関節リウマチによる肩関節の変形、疼痛に対しても保存治療、手術治療を行っております。

スポーツ障害肩

野球肩など投球障害に対しての診断、治療を行っております。基本的な治療は徹底したスポーツリハビリテーションになるため、リハビリの充実した近隣の関連病院と連携をし、治療に当たっています。

その他

上記以外にも、石灰沈着性腱板炎、肩関節不安定症、肩関節拘縮、肩インピンジメント症候群、肩甲帯機能不全など肩に関する疾患の治療に対応しています。

主な対象疾患と診療内容(肘関節)

人工肘関節置換術

変形性肘関節症、リウマチ肘

変形の程度や病期の進行度によりますが、保存治療(内服、注射、リハビリ)から関節鏡下手術、オープン手術、人工関節置換術まで対応しています。

関節リウマチ

肘関節内遊離体(関節ねずみ)

スポーツ肘障害

主にオーバーヘッドスポーツの方が多くなります。野球肘・上腕骨外側上顆炎(テニス肘)・上腕骨内側上顆炎(ゴルフ肘)などがあります。まずは正確な診断をつけることが重要です。時として、手術が必要な場合には最少侵襲を心掛け肘関節鏡を用いて手術を行います。

その後に、適切なリハビリテーションを行います。とくに投球肘障害に関しては、選手の年齢や活動レベルに応じて選手にとってベストなリハビリテーションプログラムを決定します(外来でのリハビリテーションに関しては、近隣の関連病院と連携して行っています)。

また、成長期の野球障害の予防、治療を目的とした「NPO法人野球医療サポート栃木」の事務局を当院に設置しており、栃木県内の整形外科医師、リハビリスタッフとネットワークを作成し、野球障害に対する治療に力を入れています。

上腕骨小頭離断性骨軟骨炎と骨軟骨柱移植術

野球肘診断の様子(2019年撮影)

当院の肩関節・肘関節グループの特徴

  • 凍結肩に対する診断、治療に関して力を入れています。これまでも凍結肩に関する研究を数多く学会、論文報告しています。
  • 肩関節、肘関節ともに関節鏡視下手術を得意としています。また、肩関節、肘関節ともに人工関節置換術による治療も行っています。
  • 大学周囲の関連病院と連携して、一般的なリハビリテーション、スポーツリハビリテーションともに積極的に行っています。
  • 大学では、非常に質の高いCTやMRIなどの画像検査が可能であり、凍結肩に対するdynamicMRI撮影や反復性肩関節脱臼に対する関節造影MRIなど特殊な撮像が可能となっています。

研修案内

研修医・学生の皆様へ
当科でのキャリア形成をご案内いたします。

研究の紹介

当科で行なっている研究・業績の紹介です。

患者さまへ

診療案内・関連病院をご案内いたします。