自治医科大学 循環器内科学部門

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教授挨拶


教授挨拶

「目の前の一症例に全力を尽くす」

苅尾七臣

自治医科大学内科学講座
循環器内科学部門
教授 苅尾七臣


自治医科大学内科学講座循環器内科学教室の標語は「創新」です。その意味は、自らが考え、今までにはない新しいものを創り出すということです。自らが思考しゼロを1にする力は、10を1万にする力に勝ると考えます。加えて、当教室の最も重要視する核心的価値観は「目の前の一症例に全力を尽くす」ことです。つまり、一人の人に対する診療から沸き起こる情熱こそが、我々の行動規範の本質的な源としています。教室員が情熱を持ち、それぞれ得意とする「臨床」「教育」「研究」の分野において、創新を積み重ね、その楽しさと重要性を後進に伝えることにより、質の高い社会貢献が継続して達成し得ると考えております。

当科では、自治医科大学の総合医的視点から、進歩が著しい医学と激動する医療情勢に的確かつ機敏に対応し、大学病院の任務である高度先進医療の推進と、次世代の医療を担う優れた医師の育成、加えて近未来の臨床医学に役立つ創造性の高い基礎・臨床研究を精力的に進めています。

自治医科大学循環器内科は、地域医療循環器先端研究開発センター(JCARD)を併設しており、個人の望む将来の多様な医師像に対応できる科であると同時に、臨床専門領域を極めたり、世界へ挑戦する学術研究活動が力いっぱいできる「道場」でもあります。我々、スタッフは皆いきいきと楽しく仕事をしています。新たに研修先を探されている学生ならびに研修医、栃木県で働こうと考えられている医師、さらに産学共同研究を進めようと考えておられる企業研究者の皆さん、新しい力を歓迎いたします。

2017年7月
自治医科大学循環器内科学講座・教授
苅尾七臣


自治医大環器内科学講座の活動概要

【臨床】 当科は心臓血管外科とともにCCU 10床を含む78床を循環器センターとして使用し、栃木県全域、茨城県西部、さらに埼玉県東部より、数多くの循環器病患者さんを受け入れています。ここ数年間の循環器疾患の入院患者数は年間1,700件以上に上ります。急性心筋梗塞患者数(年間158名)やPCI件数(年間547病変)は、日本のトップクラスで、さらに、不整脈に対するカテーテルアブレーション(年間180件)や埋め込み型除細動器(ICD)(年間31件)、重症心不全に対する両室ペースメーカを用いた心臓同期化療法(CRT / CRT-D)(年間25件)、さらに最近では、心房細動に対する手技時間を短縮できる冷凍焼灼術(クライオアブレーション)や、経カテーテル的大動脈弁留置術(TAVI)などの、各領域の高度先進医療技術を駆使した治療も日常診療で数多く行っています。また、大動脈解離の手術や緊急冠動脈バイパス術、弁膜症手術などが必要となる症例も多く、循環器センターの中で心臓血管外科と連携を密にし、重症循環器疾患に対する総合的な一連の治療を行っています。末梢動脈疾患や腎血管性高血圧に対するカテーテル治療も積極的に行っています。さらに、先天性心疾患治療センター、2014年より重症心不全治療センターを併設しており、心房中隔欠損症や大動脈管開存症に対するデバイス治療、職種の垣根を越えた重症心不全管理や埋め込み型左室補助循環治療(VAD)も行っています。薬物治療抵抗性高血圧患者に対する先進医療である腎デナベーションの臨床治験実施施設でもあり、安心して、多岐にわたる循環器疾患の患者さんをお任せ頂けると思います。

【教育】 後進の育成に関しては、全スタッフが一団となり、特に力を入れています。自治医科大学では、新しい専門医制度に対応したカリキュラムを組んでおり、初期研修期間中に多様な疾患を経験できます。医師の基本となる診療の考え方と技術が無理なく身につき、その後は循環器内科後期研修プログラムへと続きます。さらに、当科では大学病院ならではの教育的臨床研修指導体制がきちんと確立しています。これらのプログラムでは、効率的に循環器の専門知識と必要な技術が習得できる具体的症例数と達成目標を明確に決め、それを基盤に臨床研修を実施しています。自治医科大学附属病院の大きな特徴として、大学病院でありながら、地域救急医療も積極的に行っていることから、多岐にわたる循環器疾患を有する患者さんが入院されます。ベッドサイドでは、これら多くの患者さんを、臨床能力に長け、かつ教育力もある循環器専門医とともに受けもつことにより、循環器疾患の診療体系が習得できます。さらに、地域医療を担う「総合医の育成」という自治医科大学の建学精神を認識しているスタッフのもとで、患者管理の総合医的視点もおのずと身につきます。また、当科では女性医師への支援体制が確立しており、子育てを行いながら、ママさん医師として活躍している女性医師もいます。

【研究】 研究内容は、虚血性心疾患、不整脈、心不全、血栓塞栓症など各領域にわたる多施設共同臨床研究をはじめ、特に動脈硬化の成因や心不全の病態などに関わる炎症・血栓の基礎臨床研究、血圧・血糖の中枢神経調節に関する基礎研究、ウェアラブル生体情報モニタリングの開発と臨床応用、グローバルビックデータベースを用いた循環器疾患の人種特性の検討など、多岐にわたる国内外の基礎臨床研究を展開しています。さらに、2015年5月からは地域医療循環器先端研究開発センター(Jichi Medical University COE Cardiovascular Research and Development Cetner: JCARD)を開設しています(図1)。特に腎デナベーション研究拠点(READ)を設置し、腎デナベーションの臨床試験の実施と、その評価法の研究機器開発を行っています。

(図1)

地域医療循環器先端研究開発センター

臨床研修の間には、このような大学病院ならではの学術研究活動にも触れることができ、さらに一歩踏み込んだ医学研究をしてみたいという方は、将来、大学院博士課程へ進むことも可能です。内閣府ImPACT (革新的研究開発推進プログラム; Impulsing PAradigm Change through disruptive Technologies Program)や, AMED(国立研究開発法人日本医療研究開発機構; Japan Agency for Medical Research and Development)の研究開発プロジェクトにも携わっています。さらに、アジアの各国、アメリカやヨーロッパの大学とも国際共同研究を展開、また、当教室から毎年欧米へ海外留学生を輩出しており、活躍の舞台は海外にまで広がっています。多くの医療関係企業と共同研究を実施しており、最新医療の研究開発に携わることができます。医局員は多忙の中、臨床と両立して、研究活動に励んでおり、アメリカ心臓病学会(AHA)やヨーロッパ心臓病学会(ESC)、ヨーロッパ高血圧学会(ESH)、アメリカ高血圧学会(ASH)、国際高血圧学会(ISH)などの国際学会へ、この10年間、毎年約20-30演題を発表しています。毎年の当科の研究業績は、英語論文で50編以上を発表しています(図2)。

(図2)
英語論文発表の推移(累積)

教授プロフィール

1962年
5月5日生 本籍: 兵庫県
1987年
自治医科大学卒業
1989年
兵庫県北淡町国民健康保険北淡診療所内科
1996年
自治医科大学循環器内科学講座助手
1998年
コーネル大学医学部循環器センター・ロックフェラー大学Guest investigator
2000年
自治医科大学循環器内科学講座講師  
2004年
コロンビア大学医学部客員教授
2005年
自治医科大学COE (Center Of Excellence)教授・内科学講座循環器内科部門教授
2009年~
自治医科大学内科学講座循環器内科部門教授
2014年~
ロンドン大学医学部Cardiovascular Science研究所客員教授(ロンドン)
2015年~
自治医科大学地域医療循環器先端研究開発センター (JCARD)
教授
2016年~
上海交通大学医学院・客員教授(上海)
延世大学校(Yonsei University)・学外教授(ソウル)
2017年~
国家心血管病センター/中国医学科学院阜外医院・Distinguished professor(北京)


所属学会:

日本内科学会(専門医、評議員), 日本循環器学会(専門医、評議員), 日本高血圧学会(理事、日本・中国・韓国部会長、専門医), 日本心臓病学会(代議員、FJCC), ヨーロッパ高血圧学会・心血管変動ワーキンググループ委員,アメリカ高血圧学会・公共政策委員会委員,Fellow of American College of Cardiology (FACC), Fellow of American College of Physician (FACP), Fellow of the American Heart Association and the Council for High Blood Pressure Research (FAHA), Fellow of European Society of Cardiology (FESC)


ガイドライン作成委員

日本高血圧学会・高血圧治療ガイドライン2014 (JSH2014), 中国高血圧学会・ABPMガイドライン2014, ヨーロッパ高血圧学会・ABPMガイドライン2013, ヨーロッパ高血圧学会・家庭血圧ガイドライン2008, 日本循環器学会・睡眠時呼吸障害治療ガイドライ2010, 日本循環器学会・ABPMガイドライン2009


国際医学雑誌編集委員

Editor-in-Chief: Current Hypertension Reviews.
Associate Editor: Circulation Journal, Journal of Cardiology.
Editorial board member: Hypertension, Journal of Hypertension, American Journal of Hypertension, Journal of American Society of Hypertension, Journal of Clinical Hypertension, Blood Pressure Monitoring, Journal of Human Hypertension, International Journal of Hypertension, UK Current Cardiology Reviews, Evidence-based Cardiovascular Medicine, etc.
(他25以上)


JCARD

自治医科大学では、地域医療循環器先端研究開発センター(Jichi Medical University COE Cardiovacular Research and Development Cetner: JCARD)を開設した。 JCARDは、2つの共同研究講座(SurgeとCoCreate)より成り立つ。 加えて、国際血圧解析研究開発拠点(GAP)および腎デナベーション研究拠点(READ)、アジア家庭血圧モニタリング研究拠点(Home Asia)を独立した研究拠点とする。Surgeでは、新規の血圧変動デバイスの開発とICTを用いた医療支援システムの構築をめざしている。CoCreateでは、新規の心血管評価指標の探索を行い、国内全国とアジア諸外国と臨床研究を実施し、アジアのエビデンスを構築する。READでは、より効率的に腎交感神経デナ―ベーションを行うデバイスの開発と高血圧・心不全・不整脈への治療効果を研究する。GAPは、家庭血圧計とABPMのデータ解析プログラムの開発と、国内外の臨床研究データの解析を行う独立した研究拠点である。Home Asiaでは、アジア10か国における家庭血圧をモニタリングし、アジア独自の血圧管理ガイドライン策定を目指す。これらの複合研究開発拠点より、循環器疾患のリスクを早期に検出して、イベントの発症の予防と、重症化の抑制を目的とした測定デバイスの開発から治療効果の評価に至るまで、自治医科大学の地域臨床ネットワークを活かした臨床研究を通じてエビデンスを創出し、速やかに循環器診療ガイドラインへの貢献を目指す。

自治医科大学 地域医療循環器先端研究開発センター