自治医科大学 循環器内科学部門

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教授挨拶


教授挨拶

「自治医科大学循環器内科2018 NOW」

苅尾七臣

自治医科大学内科学講座
循環器内科学部門
教授 苅尾七臣


2018年新たな年度が始まりました。皆様にはご健勝のことと思います。 本年度のご挨拶をさせていただきます。
これまで、自治医科大学内科学講座循環器内科学教室では、「目の前の一症例に全力を尽くす」を合言葉に、全員が臨床の研鑽を積み重ねてきました。 一人の人に対する診療から沸き起こる情熱こそが、未解決課題に対する高度先進医療や基礎臨床研究を推進させる執着心を生み出すと考えます。目の前の課題に取り組むキーワードが、「創新」です。自分の頭で考えて、新たな工夫をこらし、自分しかできないと思えることが、創新です。メンバーが情熱を持ち、それぞれ得意とする「臨床」「教育」「研究」の分野において、創新を積み重ね、その楽しさと重要性を後進に伝えています。
自治医大循環器センターでは、心臓血管外科や先天性心疾患センターとの臨床・教育連携体制も整え、循環器専門医や各サブスペシャルティの専門医が短期間で取得できる臨床プログラムを整備しています。内科部門へは、虚血性心疾患、心不全、不整脈、大動脈解離、肺血栓塞栓症、感染性心内膜炎など、多岐にわたる疾患を有する患者が1週間で35~60名入院されてきます。一例一例を大切にした高度先進医療を行いながら、循環器内科医としての十分な臨床能力を短期間で身けられます。
学術活動では、一例の症例報告を大切にしており、学術研究論文は医学専門誌に毎年50本程度をコンスタントに発表しています。アメリカ心臓病学会や日本循環器学会などにおいて若手から順に発表する研究教育体制も整備されており、日々の臨床を行いながら、研究活動も自ずとできる環境にあります。さらに、本年度から新たに予見バイオマーカー研究拠点(Anticipation biomarker Center:ABC)を立ち上げ、冠動脈疾患、不整脈、心不全、動脈硬化・高血圧の各循環器領域の臨床研究を促進します。
我々、スタッフは皆いきいきと楽しく仕事をしています。新たに研修先を探されている学生ならびに研修医、栃木県で働こうと考えられている医師、さらに産学共同研究を進めようと考えておられる企業研究者の皆さん、新しい力を歓迎いたします。

2018年6月
自治医科大学循環器内科学講座・教授
苅尾七臣


自治医大環器内科学講座の活動概要

(図1)

自治医科大学循環器内科では、上記をコンセプトに診療、教育、研究活動を行っています(図1)。

【臨床】
当科は心臓血管外科とともにCCU 10床を含む78床を循環器センターとして使用し、栃木県全域、茨城県西部、さらに埼玉県東部より、数多くの循環器病患者さんを受け入れています。ここ数年間の循環器疾患の入院患者数は年間約1,800件以上に上ります。急性心筋梗塞患者数(年間128名)やPCI件数(年間539件)は、日本のトップクラスで、さらに、不整脈に対するカテーテルアブレーション(年間208件)や埋め込み型除細動器(ICD)(年間38件)、重症心不全に対する両室ペースメーカを用いた心臓同期化療法(CRT / CRT-D)(年間24件)、さらに、心房細動に対する手技時間を短縮できる冷凍焼灼術(クライオアブレーション) (年間74件)や、経カテーテル的大動脈弁留置術(TAVI)(年間22件)などの、各領域の高度先進医療技術を駆使した治療も日常診療で数多く行っています。
また、大動脈解離の手術や緊急冠動脈バイパス術、弁膜症手術などが必要となる症例も多く、循環器センターの中で心臓血管外科と連携を密にし、重症循環器疾患に対する総合的な一連の治療を行っています。末梢動脈疾患や腎血管性高血圧に対するカテーテル治療も積極的に行っています。
さらに、先天性心疾患治療センターと重症心不全治療センターを併設しており、心房中隔欠損症や大動脈管開存症に対するデバイス治療、職種の垣根を越えた重症心不全管理や埋め込み型左室補助循環治療(VAD)も行っています。薬物治療抵抗性高血圧患者に対する先進医療である腎デナベーションの臨床治験実施施設でもあります。

【教育】 
後進の育成に関しては、全スタッフが一団となり、特に力を入れています。自治医科大学附属病院では、新しい専門医制度に対応したカリキュラムを組んでおり、初期研修期間中に多様な疾患を経験できます。医師の基本となる診療の考え方と技術が無理なく身につき、その後は循環器内科後期研修プログラムへと続きます。
さらに、当科では大学病院ならではの教育的臨床研修指導体制がきちんと確立しています。これらのプログラムでは、効率的に循環器の専門知識と必要な技術が習得できる具体的症例数と達成目標を明確に決め、それを基盤に、専門医が最短で取得できる臨床研修プログラムを実施しています。
自治医科大学附属病院の大きな特徴として、大学病院でありながら、地域救急医療も積極的に行っていることから、多岐にわたる循環器疾患を有する患者さんが入院されます。ベッドサイドでは、これら多くの患者さんを、臨床能力に長け、かつ教育力もある循環器専門医とともに受けもつことにより、循環器疾患の診療体系が習得できます。さらに、地域医療を担う「総合医の育成」という自治医科大学の建学精神を認識しているスタッフのもとで、患者管理の総合医的視点もおのずと身につきます。また、当科では女性医師への支援体制が確立しており、子育てを行いながら、ママさん医師として活躍している女性医師もいます。

【研究】
研究内容は、虚血性心疾患、不整脈、心不全、血栓塞栓症など各領域にわたる多施設共同臨床研究をはじめ、特に動脈硬化の成因や心不全の病態などに関わる炎症・血栓の基礎臨床研究、血圧・血糖の中枢神経調節に関する基礎研究、ウェアラブル生体情報モニタリングの開発と臨床応用、グローバルビックデータベースを用いた循環器疾患の人種特性の検討など、多岐にわたる国内外の基礎臨床研究を展開しています。
さらに、2015年5月からは地域医療循環器先端研究開発センター(Jichi Medical University COE Cardiovascular Research and Development Center: JCARD)を開設しています(図2)。特に腎デナベーション研究拠点(READ)を設置し、腎デナベーションの臨床試験の実施と、その評価法の研究機器開発を行っています。2018年度からは予見バイオマーカ研究拠点(ABC)を設置し、さらに研究を加速します。

(図2)
地域医療循環器先端研究開発センター

臨床研修の間には、このような大学病院ならではの学術研究活動にも触れることができ、さらに一歩踏み込んだ医学研究をしてみたいという方は、将来、大学院博士課程へ進むことも可能です。 内閣府ImPACT (革新的研究開発推進プログラム; Impulsing PAradigm Change through disruptive Technologies Program)や, AMED(国立研究開発法人日本医療研究開発機構; Japan Agency for Medical Research and Development)の支援を受け、新規デバイス開発プログラムプロジェクトを実施しており、最新医療の研究開発に携わることができます。 さらに、アジアの各国、アメリカやヨーロッパの大学とも国際共同研究を展開し、海外留学生の輩出・受け入れを行っており、活躍の舞台は海外にも広がっています。 皆、多忙の中、臨床と両立して、研究活動にも励んでおり、アメリカ心臓病学会(AHA)やヨーロッパ心臓病学会(ESC)、ヨーロッパ高血圧学会(ESH)、国際高血圧学会(ISH)などの国際学会や、日本循環器学会、日本心臓病学会などへ、この10年間、毎年約70演題以上を発表しています。毎年の当科の研究業績は、英語論文で50編以上を発表しています(図3)。

(図3)
英語論文発表の推移(累積)

教授プロフィール

1962年
5月5日生 本籍: 兵庫県
1987年
自治医科大学卒業
1989年
兵庫県北淡町国民健康保険北淡診療所内科
1996年
自治医科大学循環器内科学講座助手
1998年
コーネル大学医学部循環器センター・ロックフェラー大学Guest investigator
2000年
自治医科大学循環器内科学講座講師  
2004年
コロンビア大学医学部客員教授
2005年
自治医科大学COE (Center Of Excellence)教授・内科学講座循環器内科部門教授
2009年~
自治医科大学内科学講座循環器内科部門教授 
2015年~
自治医科大学地域医療循環器先端研究開発センター (JCARD)
教授


客員教授・学外教授

2014年~
ロンドン大学医学部Cardiovascular Science研究所客員教授(ロンドン)
2016年~
上海交通大学医学院・客員教授(上海)
延世大学校(Yonsei University)・学外教授(ソウル)
2017年~
国家心血管病センター/中国医学科学院阜外医院・Distinguished professor(北京)


所属学会:

日本内科学会(専門医、評議員), 日本循環器学会(専門医、評議員), 日本高血圧学会(理事、日本・中国・韓国部会長、専門医、指導医), 日本心臓病学会(代議員、FJCC), ヨーロッパ高血圧学会・心血管変動ワーキンググループ委員,アメリカ高血圧学会・公共政策委員会委員,Fellow of American College of Cardiology (FACC), Fellow of American College of Physician (FACP), Fellow of the American Heart Association and the Council for High Blood Pressure Research (FAHA), Fellow of European Society of Cardiology (FESC)


ガイドライン作成委員

日本高血圧学会・高血圧治療ガイドライン2014 (JSH2014), 中国高血圧学会・ABPMガイドライン2014, ヨーロッパ高血圧学会・ABPMガイドライン2013, ヨーロッパ高血圧学会・家庭血圧ガイドライン2008, 日本循環器学会・睡眠時呼吸障害治療ガイドライ2010, 日本循環器学会・ABPMガイドライン2009


国際医学雑誌編集委員

Editor-in-Chief: Current Hypertension Reviews.
Associate Editor: Circulation Journal, Journal of Cardiology.
Editorial board member: Hypertension, Journal of Hypertension, American Journal of Hypertension, Journal of American Society of Hypertension, Journal of Clinical Hypertension, Blood Pressure Monitoring, Journal of Human Hypertension, International Journal of Hypertension, UK Current Cardiology Reviews, Evidence-based Cardiovascular Medicine, etc.
(他25以上)


JCARD

自治医科大学では、地域医療循環器先端研究開発センター(Jichi Medical University COE Cardiovacular Research and Development Cetner: JCARD)を開設した。 JCARDは、2つの共同研究講座(SurgeとCoCreate)より成り立つ。 加えて、国際血圧解析研究開発拠点(GAP)および腎デナベーション研究拠点(READ)、アジア家庭血圧モニタリング研究拠点(Home Asia)を独立した研究拠点とし、2018年より新たに予見バイオマーカー研究開発拠点(ABC)を加えた。 Surgeでは、新規の血圧変動デバイスの開発とICTを用いた医療支援システムの構築をめざしている。CoCreateでは、新規の心血管評価指標の探索を行い、国内全国とアジア諸外国と臨床研究を実施し、アジアのエビデンスを構築する。READでは、より効率的に腎交感神経デナ―ベーションを行うデバイスの開発と高血圧・心不全・不整脈への治療効果を研究する。GAPは、家庭血圧計とABPMのデータ解析プログラムの開発と、国内外の臨床研究データの解析を行う独立した研究拠点である。Home Asiaでは、アジア10か国における家庭血圧をモニタリングし、アジア独自の血圧管理ガイドの策定を目指す。2018年度に新たに設置したABC(予見バイオマーカー研究拠点:Anticipation biomarker Center)では、新規血液・生理学的バイオマーカーの臨床研究を行い、さらに生体情報を統合して、個人のリスク予見を行う循環器予見医学(Anticipation Medicine)の確立をめざしている。

自治医科大学 地域医療循環器先端研究開発センター