教授挨拶
Offenem Geist(オフェネム ガイスト)
われわれの教室のモットーとしている言葉で、初代の故宮本忠雄教授より受け継いだものです。ハイデルベルク大学の講堂入口に掲げられている文字で、学問が「開かれた精神」に差し向けられているものであることを告げています。
Offenem Geistの考え方のもと、私達は患者さんを師として謙虚に学びつつ、教室員各自の個性と感性を自由に伸ばし、優れた臨床家・研究者が育つ学びの場をしつらえることを旨としています。自治医大の卒業生だけでなく、全国様々な大学、病院より教室員、研修医、大学院生、研究生が集まってきています。
現在、精神医学は大きな転換期を迎えようとしています。かつて、精神疾患は不治の病であり、精神科医の間でも積極的な治療を諦めてしまうことが一般的であった時代がありました。当時は、座して待つことが治療でした。しかし、近年の研究では未治療期間が短いほど向精神薬の治療反応性がよいことが明らかになっています。これは、病状が持続すればするほど、脳の障害が進行する、ということを意味します。また、薬物療法の効果が乏しく治療が困難であると考えられていた症例が、早期の認知リハビリテーションにより改善した、という報告も相次いでいます。効果的な治療を進めるためには、出来るだけ障害が進行していない段階から十分な治療を開始し、早期の回復を目指すことが肝要です。すなわち、脳を護るためには必要な治療をラジカルに行う、という攻めの姿勢が現代の精神医療に求められています。
われわれの教室は、初代の故宮本忠雄教授のもとで“Offenem Geist”(開かれた精神)をモットーに日々研鑽を続けてまいりました。20年前に私が当教室への入局を決意しましたのも、その教室の精神に強い感銘を受けたからであります。その伝統は前任の加藤敏名誉教授のご尽力により脈々と受け継がれ、現在の教室の根幹を成しています。私達は“Offenem Geist”の基本理念を軸に、「攻めの精神医療の展開」を目指して頑張っていきたいと考えております。志を同じくする多くの皆様の教室への参加を心よりお待ちしています。
精神医学講座 教授 須田史朗
教授のひとりごと(同門会誌の巻頭言などをアップしていきます)
- 2020年12月09日
- 僕が大学への勤務を続けている理由
- 2017年09月07日
- 新任教授挨拶とこれまでの懺悔
- 2017年09月07日
- 僕がobesityを自虐ネタに使う理由(改)
- 2017年09月07日
- 某雑誌に投稿した巻頭言がrejectされてしまった理由についての考察と反省
教室紹介
自治医科大学 精神医学講座
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