現在まで、イギリスでの生活事情について記載させて頂きましたが、今回は研究環境についてご紹介させていただきます。
1: 英語力 – IELTS6.5以上(英検準1級~1級相当)⇒私は英語能力が低いためこちらは達成できず、実際に患者さんを診察し手術まで行うような研修は諦めました。臨床ではなく、研究目的であればビザの申請は容易ですが、就労はできず、ビザも1年までの短期しかおりません。
2: 身元確認 – DBS (Disclosure and Barring Service) 「無犯罪証明書」と言われています。イギリスなど、主要先進国では、子どもや高齢者など弱者に関わる仕事につく人に、この証明を提出することを求める制度があります。日本の警察署で犯罪歴証明書なるものを取得(英語の翻訳もしてくれる)して持参しましたが、ほぼ関係ありません。渡英してから身元確認の手続きを一つずつ済ませていく必要があります。(事前申請はできません。)パスポートやビザの提出だけで済めばいいのですが、厄介だったのが、住所確認です。ギリスには住民票なるものが存在しません。本人確認は、銀行口座証明書や電気・水道など公共料金の支払い伝票(原本)などが必要になります。ただ、イギリスは住民票が存在しない = 誰がどこに住んでいるか郵便局は知る術がない = 似ている住所が多く郵便配達場所をよく間違えるという状況になっており、私の銀行口座開設所も周囲の家を何件か確認してようやく見つかるよう状態でした。配達間違いが当たり前なので、間違えた郵便はそのまま、その家の郵便受けや室内に山積みになっていました。日本のような宛先不明で返送という制度は存在しないようです。銀行口座開設証明書は公的な書類(配達住所と氏名があることが重要)として認められていますが、身元確認には原本に相違ない書類(偽造していない)であることを証明する必要もあります。郵便局でこのサービスを有料で実施していました。
3: 身体検査 – 日本と同じように予防接種歴や免疫状態(結核、麻疹、風疹、B型肝炎など)を細かくチェックされます。なんなら母子手帳に記載してあるレベルの予防接種 歴まで確認されますが、分からなければ分からないで、保健室?のような場所で採血されて免疫状態を確認されます。問題は、この保健室の業務が日本とは比較にならない、のんびり感で進んでいきます。お願いしても「予約が空いていないから、空いている日が分かったら連絡するね。で終了します」。私は大学手続き後、2週間ほどしてから突然「この日に予約確定してあるから遅れずに来てね。」とメールが届きます。しかも予約日はメールの2週間後のため、結局採血したのは、渡英後1か月ほどしてからです。
他にもいくつかの手続きを経てようやく、Horonary contractなる契約書が届きます。私の現在のメインテーマは下肢のアライメント調査になります。患者さんと触れ合うこともなく、生物や感染リスクもない研究テーマであるため、正式な許可が下りる前から研究をスタートできていましたが、実臨床や生物を扱う研究、感染リスクのある研究の場合は研究開始までに、それなりの時間がかかるかもしれません。
次回以降、私が現在行っている研究について少しずつ紹介していきたいと思います。
現在、アライメントの解析にDeep Learning, AIを取り入れていく計画としており、リーズ大学のcomputer science部門にメインで出入りしています。
プログラミングやAIについてまったく勉強してこなかった私ですが、イギリスの指導教官の推薦もあり、日本のサイトとyou tube、computer science部門の学生に指導してもらいながら少しずつ学んでいます。整形外科とAIはまだまだ未開拓な分野であり、伸びしろがあると考えております。自分が思っていた以上に画像解析やデータ解析におけるAI活用の研究は進んでいるんだなと学生の研究テーマをみて感じております。内視鏡などの画像解析の分野が特に進んでいるようですが、エコーの画像解析などにおけるAI活用を研究している学生もおり、整形外科分野にもどんどん広まっていきそうな気配を感じています。
フランスからリーズ大学に研修で来たメキシコ人を歓迎するBBQに呼ばれて参加してきました。
日本、ネパール、メキシコ、ポーランド、イギリス、インドが揃っており、イギリスの国際力を痛感しました。