診療の特色

周産期

2016年から2020年までの総分娩数は4676件、年平均930件、多胎分娩数は459件、年平均90件でいずれも症例数は全国の大学附属病院の上位に数えられています。総合周産期母子医療センターを併設し、切迫早産、前置胎盤、妊娠高血圧症候群、合併症妊娠などの管理を得意としています。同じフロアーに新生児集中治療部があり、新生児仮死、早産児、低出生体重児、先天異常、外科疾患などの管理、治療を行っています。隣接した「とちぎこども医療センター」には小児の様々な分野の専門家がいますので関連疾患を持った胎児が北関東全域から紹介されてきます。胎児超音波や胎児MRI検査を行い、母体・胎児管理から出生後の新生児治療につなげています。産科危機的出血、子癇発作などの母体救急搬送も年間約150件受け入れています。新型出生前検査(NIPT)をはじめとした周産期遺伝診療も行なっています。これら多岐にわたる周産期症例を周産期母体胎児専門医・指導医10名、超音波専門医3名、遺伝専門医2名の元で経験、研修できます。

周産期画像1
周産期画像2

婦人科

婦人科腫瘍の3大悪性疾患である卵巣癌、子宮体癌、子宮頸癌の症例数は、いずれも全医大の上位にランクされます。2020年の症例数は卵巣癌(卵管癌、腹膜癌・境界悪性含む) 90例、子宮体癌(子宮肉腫含む)79例、子宮頸癌50例でした。当科では手術、化学療法、放射線療法を組合せ、患者さん個人にとって最適な治療法はなんであるかを常に考えながら治療を行っています。近年手術においては腹腔鏡手術、ロボット手術にも力を入れており、患者さんにとって低侵襲な手術を心がけています。また全国の病院と連携した臨床研究も盛んに行っており、エビデンスに基づいた新規治療の実現に協力しています。その中には当院が立案し主導している臨床研究も複数あります。また、緩和医療も積極的に取り入れ、全人的に患者さんをケアする体制が出来上がっています。婦人科腫瘍専門医4名、細胞診指導医2名、内視鏡技術認定医1名、ロボット外科学会専門医2名が常勤しており、臨床研修に適した環境になっています。

婦人科1
婦人科2

生殖内分泌不妊

2007年4月に本学附属病院に生殖医学センターを開設し、産婦人科外来から独立して不妊症・不育症診療を行っています。不妊症診療は夫婦各々を診察し、泌尿器科と連携しながら不妊症の原因を明確にしたうえで治療する方針としています。不妊治療は一般不妊治療から生殖補助医療 (体外受精、顕微授精、受精卵凍結)まで網羅し、幅広い不妊症例を経験することができます。2020年は採卵222周期、新鮮胚移植5周期、凍結融解胚移植321周期と、全国の大学附属病院の上位に数えられています。現在、生殖医療専門医が当科3名、泌尿器科1名在籍し生殖医療専門医制度認定研修施設にも認定され、生殖医療の研修に適した環境です。また、2016年から若年がん患者さんに対する妊孕性温存目的の未受精卵凍結も開始し、がん・生殖医療にも力を入れています。さらに全国で初めて開設された伝統ある思春期外来を有し、思春期女性の諸問題に対するトータルケアを研修することもできます。

以上、婦人科腫瘍、周産期、生殖内分泌不妊ともに、当科の症例数は全国大学病院のトップレベルを保っており、かつ3部門いずれも多数の症例を有している大学は他にはほとんどありません(3分野のどれかに傑出した大学は他にもありますが、3分野いずれも同程度に頑張っている大学はとても少ないのです)。

レジデントのうちはどれか1分野に片寄ることなく、3分野万遍なく学ぶことが必要であり、この点、当科は初期研修・後期(産婦人科専攻医)研修には最高です。

以下、診療実績等は附属病院ホームページ各アニュアルレポートをご覧ください。

生殖内分泌不妊1
生殖内分泌不妊2