― 群馬大学との共同研究 ―
自治医科大学医学部整形外科学講座では、群馬大学大学院医学系研究科整形外科学講座との共同研究により、膝関節高位脛骨骨切り術におけるヒンジ骨折発生リスクに関するバイオメカニクス研究を実施し、その成果が国際学術誌に掲載されました。
本研究は、群馬大学整形外科の書上韻先生が自治医科大学整形外科バイオメカニクス研究施設において、自治医科大学整形外科研究チームと共同で実施した研究です。
膝関節高位脛骨骨切り術(High Tibial Osteotomy: HTO)は、変形性膝関節症に対する関節温存手術として広く行われている治療法です。特に内側開大式高位脛骨骨切り術(OWHTO)は代表的な術式ですが、術後の膝蓋骨高位低下などの問題が指摘されています。この問題を改善する方法として、遠位粗面骨切り術を併用した開大式骨切り術(OWDTO)が近年導入されています。
本研究では、ブタ脛骨標本を用いたバイオメカニクス試験により、OWHTOとOWDTOの骨切り部の安定性およびヒンジ骨折発生率を比較しました。また、OWDTOにおいて脛骨粗面固定方法(皮質骨スクリュー固定とロッキングスクリュー固定)の違いが骨切り部の力学的安定性に与える影響について検討しました。
その結果、OWDTOにおいてロッキングスクリューを用いた固定では、皮質骨スクリュー固定と比較してヒンジ骨折の発生率が有意に高いことが明らかとなりました。一方で、軸方向変位や後方脛骨傾斜(posterior tibial slope)の変化には有意差は認められませんでした。
本研究は、OWDTOを施行する際の固定方法がヒンジ骨折リスクに影響する可能性を示したものであり、術式選択やインプラント選択における重要な知見となることが期待されます。
自治医科大学整形外科学講座では、国内外の研究機関と連携した共同研究を積極的に推進しており、本研究もその取り組みの一環として実施されました。今後も基礎研究と臨床研究の双方から整形外科医療の発展に貢献してまいります。
なお、本研究は自治医科大学整形外科バイオメカニクス研究施設において実施されました。
論文名
Comparative Biomechanical Analysis of Hinge Fracture Risk Between Medial Open-Wedge High Tibial Osteotomy and Distal Tuberosity Osteotomy: A Porcine Tibia Study
著者
Hibiki Kakiage, Yoshiya Nibe, Tsuneari Takahashi, Katsushi Takeshita, Hirotaka Chikuda
掲載誌
Journal of Orthopaedic Surgery and Research