診療科のご案内

後期専門研修を希望される方へ

専門研修プログラムのご案内

後期専門研修希望者へ

我々の仲間として大歓迎します。当施設は自治医科大学脳神経外科の連携施設であり、自治医科大学脳神経外科プログラムでの脳神経外科専門医受験が可能です。当医局は従来の医局制度にない新しい感覚の教室であると自負しております。スタッフは少数精鋭で指導医は全て脳神経外科の熟練者ですので、研修期間の長短に関らず術者としても積極的に手術に参加していただいております。また、4年後の脳神経外科専門医試験の合格に向け、責任を持ってバックアップいたします。現在、文部科学省科学研究費補助金による基礎研究も行っており、希望があれば臨床のみでなく研究に参加することも可能で、医学博士の取得についても責任をもってバックアップいたします。また希望があれば、国内・国外留学もしていただき、広く知識を見聞していただけたらと考えます。 入局を希望される皆さん、いつでも連絡をください。一緒に仕事できることを楽しみにしております。

学会参加

大学附属の医療施設であり、日本脳神経外科総会をはじめ、多くの学会に、臨床、基礎を問わず幅広く積極的に参加しています。

やる気のある積極的な人を歓迎します。症例数や疾患の種類は大変豊富で、いろいろな方向から脳神経外科を勉強する環境は充分に整っていると考えております。

カンファレンス・連絡会

脳神経外科カンファレンス 月曜 午後6時~7時 症例検討カンファレンス、手術カンファレンス
火・金曜 午前8時より症例カンファレンス、手術カンファレンス
自治医科大学脳神経外科医局
合同カンファレンス
栃木の自治医大付属病院にて年に1回
他科とのカンファレンス 月曜 午後3時よりリハビリテーションカンファレンス
月~金曜 午前8時30分~9時 脳神経外科病棟カンファレンス
その他 埼玉県脳神経外科シンポジウム 〔年1回〕
埼玉県脳神経外科懇話会 〔年1回〕
埼玉県脳腫瘍病理懇話会 〔年2回〕
脳神経外科学会関東地方会 〔年3回〕
手術日 火曜日、木曜日

プログラムの詳細

初期研修を終え、脳神経外科を選択した場合の卒後3-6年目(7年目に専門医試験受験)の脳神経外科カリキュラムにつきて、自治医科大学附属さいたま医療センター脳神経外科の指針を含め研修全般についてご説明します。

1. 自治医科大学付属さいたま医療センター脳神経外科の特徴

国内の脳神経外科施設が症例不足で苦戦しておりますが、当院は多岐にわたる豊富な症例に恵まれて、専門医取得までの充実した臨床研修が可能です。また、動物を用いた血管吻合などの手術トレーニングや、実際に動物実験を行うことができる施設を持ち、実験データを取得して学会発表や論文作成まで、我々脳神経外科医が指導し、脳神経外科医としても意義のある実験を行うことも可能です。
下記に、当科の特徴について具体的に示しますので、将来の進路決定にお役立てください。

1)経験できる症例数・内容が極めて豊富

現在、約20床のベッド数を有します(それ以外に、救急ベッドやICUベッドなども使用します)。手術件数は2019年は年間約270例ですが、脳腫瘍(44例)・脳動脈瘤(15例)・血管吻合術(STA-MCA)や頸動脈内膜剥離術(CEA)(6例)・神経減圧術(5例)・脊髄疾患(26例)などのいわゆるメジャー手術が多く、予定手術日の増加に伴って、さらに手術件数の増加が見込まれます。また、当院救命救急センターには1次から3次救急までの頭部外傷や脳血管障害の患者さんが日夜多数搬入されています。このため、脳外科的救急疾患に関し、通常は一般病院で経験する軽症例や発症超急性期症例、大学病院として要求される高度治療まで幅広く経験することができます。また、近隣諸施設からは脳腫瘍や難易度の高い脳血管障害、脊髄疾患などの患者さんが多数紹介され、救急疾患以外の脳神経外科疾患も多数経験することができます。

2)多彩な専門性

脳腫瘍(髄膜腫、グリオーマ、下垂体腫瘍、頭蓋底腫瘍など)や脳血管障害(脳動脈瘤、脳動静脈奇形、脳内血腫、内膜剥離術やSTA-MCA吻合術)、外傷(硬膜外血腫、硬膜下血腫など)といった脳神経外科の基本的疾患はもとより、三叉神経痛、顔面痙攣などの外科的治療を中心とする機能的脳外科、脊髄血管障害や脊髄腫瘍、脊椎疾患などの外科治療も数多く行っています。近年は脳血管内治療部が開設され、血管内治療の件数も増加傾向です。また、訓練施設にはγナイフセンターもあり、幅広い研修が可能です。従って、将来脳神経外科専門医取得後の選択肢も豊富であり、日本脳神経外科学会専門医の他に、下記のような専門医や認定医が取得可能です。
 日本脳卒中学会専門医
 日本脊髄外科学会認定医
 日本血管内治療専門医
 神経内視鏡学会認定医

2. 研修医指導方針

1)専門医認定試験の合格

6年間の研修期間の後に脳神経外科専門医認定試験があります。脳神経外科に関する高度な知識と経験を必要とする本試験の合格が研修の大きな目標となります。多数の患者さんを幅広く経験できる当科の研修は専門医試験合格には最適ですし、受験前に術者として脳動脈瘤クリッピング手術や脳腫瘍摘出術が経験でき、自立できるレベルが目標になります。

2)専門性を備えた脳神経外科医の一貫的育成

当科で研修期間を過ごせば、自然に脳神経外科疾患全般に対応できる能力を身につけることができます。さらに研修期間終了後、脳神経外科専門医を取得した後も助教として科内に残り、脳腫瘍や脳血管障害、機能的脳神経外科、血管内治療といった専門性を深めてゆく場合がほとんどです。前述のように、全国的に見れば取得できる施設が極めて限定される、脊髄外科や血管内治療の専門医になることも可能です。この為、研修期間中から各人の希望に応じ、専門性を意識した育成を行っています。
当科は自治医科大学脳神経外科プログラムの連携施設となっており、充実した研修が可能です。

3)学位取得・論文作成能力の養成

研修期間終了後、数年間で学位を取得することが出来ます。助教以上の全員が学位を取得していますが、研修期間後半より、各人の興味に応じ、基礎的あるいは臨床的研究にも従事してもらい、実験技術そのものの習得や実験結果に基づく論理的思考や論文作成能力を養成します。
当科では、現在も日本学術振興会 科学研究補助金などの公的研究基金による研究が複数進行中です。

現在、当科で行っている研究:
【基礎研究】
  1. 脳血管攣縮の発生機序の基礎的研究と診断
  2. くも膜下出血急性期の血小板白血球動態の生体蛍光顕微鏡を用いた検討
  3. くも膜下出血急性期のアンギオテンシンの関与と治療
  4. 脳梗塞モデル・高脂血症モデルを用いた脳微小循環障害のメカニズム
  5. 脳循環における生体内ガス(一酸化窒素・一酸化炭素・硫化水素)の役割
【臨床研究】
  1. 近赤外線光トポグラフィーによる脳虚血診断法
  2. 脳血管攣縮の早期診断法の開発
  3. 脳虚血疾患へのバイパス手術の高次脳機能へ与える影響の研究
  4. くも膜下出血急性期のNa代謝の研究
  5. 頸動脈プラークと白質病変の脳梗塞発症予測に関する研究
  6. 脳神経外科術中電気生理学的モニターに関する研究
  7. 腰椎変性すべり症に対する腰椎固定術の手術方法の研究
  8. 頚椎症に対するハイブリッドケージを用いた前方固定術の手術成績の調査
  9. ABRとCNAPの術中モニターの意義
  10. 術中モニターとしての下肢運動誘発電位の測定
  11. 虚血再灌流のSSEPによる評価
  12. Blink reflexの術中モニターへの応用

など、多数の研究を行っています。

3.カリキュラムの特徴

病棟では、教授・准教授・講師からなる指導医と共に5人から10人の入院患者さんを受け持ちます。手術は原則として主治医が行うので、豊富な手術症例を自ら執刀医として経験することができます。

専門研修1年目
  1. 腰椎穿刺、気管内挿管、気管切開、中心静脈ライン挿入など救急・病棟処置
  2. 脳血管撮影の基本的手技の習得(特殊例を除き一人でできるレベル)
  3. 手術ナビゲーションや術中ICGアンギオグラフィ-を理解して使用する
  4. 術中電気生理学的モニター(ABR, SEP, VEP,MEP, 各種脳神経機能モニター)を理解して行う。
  5. 慢性硬膜下血腫や脳室外ドレナージなど局所麻酔下の基本的な手術
  6. V-Pシャント手術や頭蓋形成術、主要手術での開閉頭など、全身麻酔下の基本手術
  7. 脳内血腫に対する開頭血腫除去術
専門研修2年目
  1. 脳表の髄膜腫や転移性脳腫瘍など脳実質内の操作を行う顕微鏡手術
  2. 専門研修1年目で行ってきたことを正確に安全に行う。
専門研修3,4年目 -専門医試験を意識して顕微鏡手術を行う-
  • 脳動脈瘤クリッピング手術
  • 脳腫瘍摘出術
  • 内頚動脈内膜剥離術(CEA)
  • 浅側頭動脈―中大脳動脈吻合術(STA-MCA anastomosis)
  • 頚椎の手術(椎弓切除術、椎弓形成術、前方固定術)
  • 腰椎の手術(椎間板ヘルニア摘出術、脊柱管狭窄症に対する脊柱管拡大術)
専門医取得後
  • 頭蓋底腫瘍摘出術
  • ハイフローバイパス手術
  • 脊髄腫瘍摘出術
  • 腰椎椎弓根スクリューを用いた固定術

脳神経外科手術の特徴は、顕微鏡を用いた手術であり、顕微鏡下での細かい操作に慣れ、自信を持って手術に臨むことが重要です。当院では、顕微鏡下でゴムの縫合練習を行ったり、血管吻合の練習を10-0の血管縫合糸を使って練習することができます。また、動物を用いての血管吻合の練習も指導します。
専門研修が進んできた段階で、マウスやラットを用いて、頚動脈や大腿動静脈にカテーテルを挿入したり、中大脳動脈閉塞モデルやくも膜下出血モデルの作成、マウスやラットの硬膜切開など、顕微鏡手術訓練を兼ねて実験を開始することができます。これらは、臨床の手術よりも細かい操作であり、臨床顕微鏡手術の最もよい練習となるだけではなく、実験で得られた結果を学会で発表したり論文を作成して、学位の取得へつなげることが可能となります。(当科での研究は、雑誌 Neurosurgery, J Neurosurg, Stroke, Am J Physiolなどの雑誌に掲載されるレベルです。)
われわれスタッフの実体験に基づいた指導により、専門医前に臨床力をつけ、その後の研究やさらに難易度の高い手術への発展につながるよう検討しております。
また、希望者には、我々脳神経外科スタッフが今でも交流をもつ欧米への研究留学や臨床留学の道も開かれております。

このように、より実践的な診療を頭と体で身につけてゆくことができるのが、当科の研修の特徴と言えます。現在、4人の脳神経外科指導医の他、今年専門医受験の7年目の医師が1名おります。当院脳神経外科でともに働き、ともに学び、将来、世界に羽ばたく脳神経外科医の育成をめざしています。一度当院当科の見学にぜひご来院ください。

研修指導医(いずれも日本脳神経外科学会専門医)
草鹿 元(教授:研修指導医 gkusaka@jichi.ac.jp
渡部 剛也(講師:研修指導医 tkwatabe@jichi.ac.jp
内山 拓(講師:研修指導医 m01010tu@jichi.ac.jp)
伊古田 雅史(助教:研修指導医 m.ikota-nov6@jichi.ac.jp

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