診療科のご案内

患者のみなさまへ・ご紹介いただく先生方へ

外来診療

外来診療は月~金まで毎日行っています。心臓血管疾患で外科治療が必要な方は、当センター宛ての紹介状を持って事前にご予約のうえご相談においでください。 予約が取れない場合は、紹介状を持って来てくだされば、初診枠で拝見いたします。緊急手術は随時受け付けていますので、日中は心臓血管外科外来担当者もしくは病棟担当医、休日・夜間は心臓血管外科の当直者までご連絡ください。心臓血管外科では毎日当直体制をとり、365日24時間緊急症例に対応しております。

紹介患者診療スケジュールは、こちらをご覧ください。

診療実績

2024年の治療実績

自治医科大学附属さいたま医療センター
                         心臓血管外科教授  
                   山口 敦司

 皆様には自治医科大学附属さいたま医療センター心臓血管外科の診療活動に、日頃よりご理解・ご支援をいただき、心から深謝申し上げます。

 当センターで日本胸部外科学会に毎年報告している心臓大血管手術件数は、2024年の集計では447件でした。そして末梢血管等を含めた全手術件数は794件でした。診療実績の統計にありますように、心臓大血管手術の約半数が弁膜疾患であり、弁膜疾患における大動脈弁狭窄症の患者数の増加は驚異的です。この疾患群の増加傾向は、本邦における高齢者人口の比率増加による影響と思われますが、今後数年間は増加傾向が続くことが予想されます。その現れとして、経カテーテル大動脈弁留置術(TAVI)の件数に関しては、この高齢者人口の増加のもと、年ごとに大幅な増加を続けておりますが、対象となる患者がハイリスク群であるにもかかわらず非常に良好な成績を残しております。
 弁膜症手術では、小切開心臓手術(MICS)による僧帽弁形成術・大動脈弁置換術の比率が増えております。大動脈弁狭窄症に対する最も低侵襲な治療はTAVIですが、十分に手術耐容能を持ち合わせている患者さんたちも低侵襲を考慮された手術を希望されるようになっています。僧帽弁手術に関しても、患者さんや紹介してくださる先生方から低侵襲手術を望まれる声が確実に増えており、これまで当センターで標準的に行ってきた鏡視下僧帽弁形成術に加えて、2024年にはロボット支援下僧帽弁形成術を導入いたしました。低侵襲手術へのこの潮流はさらに加速することが予想されます。
 2023年4月の埼玉県大動脈ネットワーク発動以来、救急隊が急性大動脈症候群と判断した場合にはいち早く収容施設に連携をとるようになり、急性大動脈解離の搬送数が確実に増加しております。急性大動脈解離患者の病院への搬送が以前よりも速やかに行われるようになったことが要因と思われますが、その反面で今までは施設にたどり着くことが出来なかった、より重篤な患者さんが増えているように見受けられます。急性大動脈解離による心タンポナーデなどの破裂症状・冠動脈・腹部臓器・脳血管などのmalperfusionを併発している重篤な患者さん達をどのように救命するかが、今後の大きな課題であると考えております。

 2023年の上尾中央総合病院に続いて、2024年4月からは茨城県つくば市にある筑波記念病院の心臓血管外科診療に携わらせていただくこととなり、チームを派遣することとなりました。さいたま市そしてその周辺における循環器診療を円滑に進めるためには、さいたま医療センターのみならず、近郊にあるいくつかの関連施設とも有機的な連携が組めることが非常に重要な命題でありました。埼玉県南部・東京都北部・そして茨城県南部に位置する、さいたま医療センター・さいたま赤十字病院・春日部中央総合病院・上尾中央総合病院・練馬光が丘病院・都立墨東病院・筑波記念病院が、急性大動脈解離や大動脈破裂などの大動脈緊急症をはじめとした緊急症例にallianceとして対応することが確立されつつあります。一方神奈川県では、横須賀市立総合医療センター(旧横須賀市立うわまち病院)が移転となり、新たな施設での診療が始まりましたが、横浜市立みなと赤十字病院と連携をとりつつ、神奈川県東南部地域における循環器診療の要所となりつつあります。
 さいたま医療センターを含めた関連の各施設において、地域の患者様のために、地域の診療にあたる先生方からの診療要請を断ることなく、開設以来当診療科が心がけてきたポリシーを貫くべく、24時間・365日体制を整え、常に救急の要請にも備えております。また、各関連施設がそれぞれ得意とする分野において、低侵襲治療とされている経カテーテル大動脈弁留置術(TAVI)・弁膜疾患に対する小切開心臓手術(MICS)・ロボット支援下心臓手術など、高度でかつ先進的な治療法を、患者様の病態に合わせて提供できるような努力をすすめております。地域の患者様・医療機関の方々のお役に立つことができますよう誠心誠意努力致しますので、引き続き、皆様からのご指導・ご鞭撻をお願い申し上げます。

手術治療数の推移と手術内容

心臓大血管手術症例数の経過、および2024年の手術治療内容をグラフで示しました。

疾患別症例数の年次推移



重複なし

カンファレンス

手術日は毎日(月~金)であり、緊急手術も多いため、毎週月、水、金の朝7時30分より8時30分まで早朝に術前、術後カンファレンスを実施しています。手術執刀医が術後報告を行い、患者受け持ち医が術前症例の呈示を行って、スタッフ全員で検討しています。このカンファレンスで患者さんにとって最も適した手術方針や術式を決定し、手術の担当者も決めています。
術前・術後カンファレンスに引き続いて、診療科長による病棟回診、関連施設症例検討会を適宜行っております。
また、抄読会は月曜日午後7時より行っております。 循環器内科との合同カテーテルカンファレンスを毎週金曜日の夕方に行い、問題症例について検討しています。その他、必要に応じて消化器外科や呼吸器外科とも適時カンファレンスを行っています。

研究活動、学会活動

全国規模の学会や地方の研究会に積極的に演題を応募して発表し、その内容を論文にして報告しています。令和4年には76演題が発表され、29論文(英文26編を含む)、および2編の論説が出版されました。

今後の課題

今後も引き続き、地域の皆さまや医療機関からの期待に応えるべく、患者本位の最適でかつ良好な診療を提供することを心がけております。緊急要請に対しては365日・24時間 断ることなく、最高の治療成績を提供する、これらを実現するために全力を尽くしていきます。

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