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ノロウイルスとは?

冬季に流行する感染症にインフルエンザと感染性胃腸炎があります。今回は、感染性胃腸炎、中でも感染力が強く、しばしば集団感染を起こすノロウイルスについてご説明します。

1.ノロウイルスとは?

ノロウイルスは、人にだけ感染(食品の中では増えません)して下痢やおう吐等を引き起こします。1年を通して発生しますが、12月から2月にかけて多く発生しています。ノロウイルスは感染力が強く、患者の下痢便やおう吐物には大量のウイルスが含まれていますので、その処理には十分注意する必要があります。乾燥したおう吐物や下痢便のかけらが風に乗って舞い上がり、そばを通ったヒトが吸い込んだり、その人の体に付着し最終的に飲み込むことによって感染する場合があります。発症者が身近にいる場合は「3.二次感染を防ぐために」を参考にしてください。

2.ノロウイルス予防策

1)食品の加熱

食品の加熱
ノロウイルスの原因食品としては二枚貝が多く、特にカキが原因となることが多いようです。そこで、加熱用として売っているものは十分な加熱を行いましょう。十分な加熱について「食品の中心温度85℃以上で1分間以上の加熱」と記載されていますが、ご家庭では中心温度を測ることはできないので、内閣府食品安全委員会が作成した『食中毒を防ぐ加熱』(http://www.fsc.go.jp/sonota/shokutyudoku_kanetu.pdf)を参考にしてください。カキフライの場合は14g程度のものであれば3分間、25g程度のものでは3.5分揚げると中心温度が85℃以上になるとあります。また、ゆでた場合は16g程度のものは3分間で中心温度が85℃以上になるとあります。
なお、電子レンジを使用する場合は加熱ムラがあるのでご注意ください。

2)調理時の注意

  • 調理の前、盛り付けの前、肉や魚、卵に触った後、トイレの後には石鹸と水道水を用いて正しい方法で手を洗いましょう。アルコールはノロウイルスには効果がないのでご注意ください。
    効果的な手洗いのタイミング
  • 下痢やおう吐など胃腸炎症状がある時には調理を避けましょう。
  • 調理器具等は洗剤などを使用し、十分に洗浄し、0.02%塩素系消毒液で浸すように拭くか、熱湯(85℃以上)で1分以上の加熱をしましょう。

3.二次感染を防ぐために

  • 患者さんは、トイレの後は、特に念入りに手を洗います。入浴は、一番最後にするか、シャワーのみにしましょう。また、タオルも専用にしましょう。
  • ドアノブや水洗レバー、蛇口など、患者さんが排泄後、手を洗う前に触れたところを0.02%塩素系消毒液に浸したキッチンペーパーなどで、毎日数回ふき取り消毒しましょう。
  • 便やおう吐物(汚物)の処理について
    床などに飛び散った汚物を処理するときは、使い捨てのマスクと手袋を着用し、ウイルスが飛び散らないように汚物を使い捨てタオル等で、外側から内側に向けて、ふき取り面を折りたたむか、タオルを交換しながら、静かにふき取ります(紙オムツをかぶせて水分を吸収させた後ふき取る方法もあります)。ふき取った後は0.1%塩素系消毒液で浸すように床をふき、10分後に水ぶきをします。使用したタオル・マスク・手袋などはビニール袋に密閉して捨てます。ノロウイルスは乾燥すると浮遊して、空気感染することがあるので、処理後は換気をしましょう。また、汚物がついた衣類やシーツ類は、ウイルスが飛び散らないように水の中で静かに下洗いしたうえで、0.02%塩素系消毒液に30分間つけおきした後、通常通りの洗濯をします。汚物の処理には、絶対に掃除機を使わないでください。処理をした後の手洗いとウガイは念入りに行います。
  • 消毒について
    手に入りやすい家庭用漂白剤のハイター(R)やブリーチ(R)(塩素濃度約5~6%)と500mlのペットボトルを用いた方法をご紹介します。
塩素系消毒液使用上の注意
  • 塩素系消毒液は時間が経つと効果が低下するため、消毒液は作りおきせず、その都度使い切ってください。
  • 汚物など有機物が残っていると、消毒効果が著しく低下します。
  • 金属は塩素系消毒液により腐食するので、10分後に水ぶきしてください。
  • 使用する際は換気を充分に行ってください。
  • 塩素系消毒液は皮膚に対する刺激作用があるので、ビニール手袋などを使用してください。
  • 手指・皮膚の消毒には使用しないでください。

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