眞田 幸弘
消化器一般移植外科 移植外科医局長
山形大学 平成15年卒業

移植外科の眞田幸弘と申します。自治医科大学移植外科に入局して18年が経過し、現在移植外科医局長として医局運営に関わっております。今回は、自治医科大学消化器一般移植外科に興味を持って頂いている学生さんや研修医の皆様方に、移植外科(当科)を紹介させて頂ければと思います。

①当科の歴史と現状

移植には様々な固形臓器の移植がありますが、当科は肝移植を中心に行っているグループです。2001年5月に自治医科大学附属病院に新設され、2019年3月まで移植外科は独立していましたが、2019年4月から消化器・一般外科と合併して消化器一般移植外科となりました。当科の科長には佐久間康成教授が就任し、新しいグループとして再出発し、4年が経過しました。 

当科は2015年までは小児レシピエントを担当しており、厳密には小児肝移植外科でした。しかし、2016年1月からドナーも担当し、2017年1月からは成人レシピエントに対する肝移植を開始しました。脳死肝移植に関しては、2010年に小児脳死肝移植施設認定を受け、2022年には成人脳死肝移植施設認定を取得しました。肝移植は生体、脳死を含め年間20-25件を行っており(2022年12月末で384例の肝移植)、肝移植における必要な手術手技のすべて(ドナー手術、レシピエント手術、顕微鏡手術)を経験できます。
なお、現在まで当科における小腸移植の実績はありませんが、当科は脳死小腸移植の認定施設(2011年に取得)となっています。

 

②当科の展望

当院の腎移植の立ち上げに尽力され、膵移植を専門にされている佐久間教授を中心に、現在、腎臓外科との連携や膵臓移植の立ち上げ(膵臓移植施設の施設認定申請書提出中)に着手しております。また、肝移植においても肝腎同時移植が必要な場合や膵臓移植においても膵腎同時移植が一般的であるため、以前より当科スタッフが腎移植手術に参加して研鑽を積んでおります。今後は肝移植以外に、小腸移植や膵臓移植、腎移植(肝腎同時移植、膵腎同時移植時)まで実施可能な科を目指しています。

また、当科は臨床研究をはじめ、学会発表や論文発表を積極的に行っており、アカデミックサージャンを目指す方針です。移植医療は現在一般的医療となっていますが、依然として不明なことが多く、解決すべき課題も多いです。希望者には積極的に大学院進学や学位取得を目指してもらい、これらの課題に対する研究を行ってもらっています。さらに科研費を含めた研究費の取得や大動物を用いた研究や手術トレーニングを行っています。若手の先生においては学会発表を継続的に行ってもらい、発表内容は当科スタッフ指導のもと、積極的に論文化を目指してもらっています。当科における臨床論文(査読あり)は22年間で英語論文185本、日本語論文53本となっています。

③当科の特徴

当科の最大の特徴は、他施設に類を見ないくらい、若手の移植外科医が豊富にいることです。移植医療は継続が必要であり、各世代での革新とともに次世代への継承が必須となります。また、人材が豊富であれば、消化器外科・肝胆膵外科の修練はもちろんのこと、国内外への留学や大学院進学も可能であり、昨今の働き方改革にも対応できます。2023年現在、国内留学者1名(埼玉医科大学総合医療センター国立成育医療研究センター肝胆膵外科・小児外科)、大学院生1名(東北大学大学院)となっています。臨床だけでなく、研究や教育においても希望や意見を聞いて、各自に合ったカリキュラムで進めていくことができます。

また、当科は毎日朝と夕にカンファレンスを行い、臨床に関する問題点をディスカッションしています。各患者さんにとって最適な治療や方針を決定するために、経験年数や職種に関係なく、若手の先生方も積極的に発言する雰囲気があります。

移植外科に興味がある方はぜひ眞田まで連絡を頂き(E-mail:yuki371@jichi.ac.jp)、一度見学においで頂ければと思います。

 

「自治医科大学消化器一般移植外科・移植外科グループ」

左より 大柿薬剤師、移植コーディネーター吉田、平田医師、大友薬剤師、佐久間診療科長、眞田、

移植コーディネーター関谷、岡田医師、堀内医師、大豆生田医師、医療事務海老原、移植秘書小林

                           2022年2月とちぎ子ども医療センター前

 

 

移植外科部門のホームページがあります。
是非ご参照ください。

http://www.jichi.ac.jp/transplant/