どのようなことがわかっていないのか,明らかにしていく

高橋 礼

自治医科大学 平成 21年卒業

現在大学院2年生の髙橋礼と申します.自治医大を卒業し,出身地である青森県でへき地医療に従事した後,自治医大に入局しました.大学病院や関連病院で,指導医の先生方から手術や術前・術後管理,外来,検査,化学療法など多くのことを教えていただき,日々充実していました.また臨床のみならず,学会発表や論文作成においても指導を頂くことができました.この時に,論文を書くということ自体がとても勉強になることに気づき,論理的に考える力を磨きたいという気持ちが芽生えました.これからの数年間で臨床能力の向上を優先するか,論理的思考力の向上を優先するか迷い,先輩に相談したり考えた結果,大学院に進学することにしました.

 実際に入学してみるとがん免疫学について全く知識がなく,まずは勉強が必要でした.しかしその都度教えを頂くことができ,また毎週の研究室会や抄読会を重ねることで,少しずつではありますが研究に必要な知識を得ることができていると感じています.また実験はうまく行かないことも多いですが,なぜうまく行かないのかを考察し,再び計画を行うとうまくいくということもあり,失敗もまた前進であるということを感じ始めています.実験を行う前に多くの文献を読み,計画し,実際に行ってみてその結果を考察する,そのプロセスを学んでいるところです.この過程を一つ行うだけでも初めは膨大な時間がかかりますが(もちろん今もですが),それでも繰り返していると,少しずつ慣れてきたことが実感できます.文献を読んで整理している過程でわからないことを明らかにして,それが小さなことでも時には実験結果によってわかるということは楽しく,またわからないことを調べるための方法論を学べることはとても貴重なことであり,こうしたことは生涯にわたり財産になると思えました.

これらのことから,まだ1年と少ししか経っていませんが私は大学院に進学して良かったと思っています.臨床と同じく研究も,人が集まることによりそれぞれの分野をそれぞれの方が追求し,お互いに共有することで自らの分野をさらに深めることができると思っております.何より同級生や先輩がいることで技術的・精神的にとても助けられ、過ごせた1年間です。大学院入学について興味がある方にはぜひお勧めしたいです.

 

 

模索し悩む日々、ある意味それも研究の醍醐味

松宮 美沙希

筑波大学 平成28年卒業

こんにちは、医師8年目、大学院2年目になりました松宮です。外科専門医を取得してから進学しました。医学研究科大学院生の中には、病院で常勤勤務をしながら就学する社会人大学院生もいれば、非常勤勤務をしつつ就学する一般学生もいて、私もその一人です。また、大学院と聞くと、一般的には博士前期課程2年(修士)+博士後期課程3年(博士)が浮かぶかと思いますが、医学科(他にもあります)卒業の場合は後期課程4年が就学期間になります。

私の所属する外科研究室では、マウスを用いた研究のほか、患者さんから頂いた検体(腹水・血液・標本等)を用いて臨床に即した研究も行っています。何人もの先生たちが業績を残して卒業しており、その研究を引き継ぎながら日々奮闘しています。私自身、学部生の頃から大学院に興味を持っていたものの、いざ入学すると研究の右も左もわからない状態でしたので苦労が続きました。それでも、指導医の先生方や院生の先輩方、スタッフの方々に助けられ、無事1年目を終えました。手術と異なり、すぐに結果が出るとは限らないのが研究であり、模索し悩む日々ではありますが、ある意味それも研究の醍醐味だなと感じます。

さて、このページを見ているのは、同じように(?)悩める20代半ばの先生が多いのではないでしょうか。いまはSNSの発達で様々な情報が飛び交い、さらに2024年の働き方改革に向けて医師の生活も多様化してきているなと感じます。入局する/しない、専門医有/無、学位有/無…と、地域差はあるにせよ色々な意見があるかと思います。最近は、出産・育児が先か専門医取得が先かといった話題も見かけました。人生に正解はないですし、個々人の最適解を見つけるのが人生ではありますが、外科医として生きるにはどんな選択肢があるか知りたくありませんか?当科は多くの医師が所属しており、いろんな答えを聞くことができるかと思います。ぜひ、足を運んでみてください。