細谷 好則
消化器・一般外科 鏡視下手術部 教授
山形大学 平成2 年卒業

食道,胃疾患の診断・治療を行っております.食道癌手術、鏡視下手術、肥満手術など難易度 が高い手術を数多く扱っています。一方で、標準的開腹手術では若い先生には積極的に参加し ていただき、指導助手のもと術者を経験できるのも特徴です。手術療法のみならず、化学療法、 放射線治療、緩和治療など、集学的治療を行っています。 大学病院の性質上,合併症を数多 く持った症例をご紹介いただくことが多くあります.専門科と緻密な連携をとりつつ,安全な 手術を心がけております.癌の手術はもとより、良性疾患や先進的治、緊急手術にいたるまで、幅広く、多くの患者を 経験できます。内視鏡検査、治療内視鏡も研修できます。

臨 床

◆ 食道疾患
①食道癌
手術療法を中心に,化学療法,放射線療法を専門科と連携しつつ,治療しています.T1症例は内視鏡治療,CRT、胸腔鏡下手術を行っております. T2-3症例は術前化学療法としてDCF療法を行っております.従来のFP療法に比べ,DCF療法は抗腫瘍効果,生存率,無再発生存率で優位に良好な結果を出しております.手術は鏡視下手術を標準としています

②食道良性疾患
アカラシアに対するHeller-Dor手術,食道裂孔ヘルニアに対するNissen手術,平滑筋腫に対する部分切除などを鏡視下に行っております.特発性食道破裂の緊急手術対応も行っています.

◆ 胃疾患
①胃癌
D2郭清を伴う標準的な胃癌手術を基本としています.現在,腹腔鏡下胃癌手術はT3, N1まで適応を拡大し,腹腔鏡下胃全摘,幽門側胃切除,噴門側胃切除を行っています.鏡視下手術トレーニングコースを定め,若手のstep upを図っています.開腹胃癌手術は,消化器外科医として必ず身につけておかなければならない基本術式であり,定型化した手技で、根治性と安全性向上に努めています.

Robotic surgery
準備段階を経て、Da Vinci Siを用いた胃切除術を導入しました.附属病院では2023年1月よりXiの2台体制に更新されました.安全で先進的な外科治療を目指します.

 

 

 


②肥満手術(減量・代謝改善手術)

肥満治療の一つである減量手術は,体重減少
だけでなく,糖尿病や心臓病などの肥満合併症を改善,完治させることができる治療として世界で行われております.本邦での肥満手術は世界的にみてかなり遅れていましたが、当院では2010年から高度先進医療の枠組みの中で胃縮小術(スリーブ状胃切除)を開始しました。2014年に保険適応となってからも施設基準を満たし,継続して行っております.現在までに150例以上のスリーブ状胃切除を行い,良好な結果をあげております.また、2019年には日本肥満症治療学会を主催いたしました.

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③腹腔鏡内視鏡合同手術(LECS:Laparoscopy Endoscopy Cooperative Surgery)
胃GISTなど粘膜下腫瘍に対して,腹腔鏡内視鏡合同手術を行っています.内視鏡治療と腹腔鏡手術を同時に行うことで、必要最小限の侵襲で腫瘍切除を可能とする新しい手術方法です。内視鏡下にESDのテクニックを応用し、粘膜下層までの剥離を行い,さらに一部,全層切開した後,腹腔鏡下に超音波凝固切開装置で全周を切開し腫瘍を摘出しています.胃の変形をほとんど来さずに摘出することが可能です.

④腹膜播種に対する腹腔内化学療法
北山教授、山口教授を中心として、胃癌腹膜播種に対する腹腔内化学療法の臨床研究を行っています。予後の改善が期待されます。

 

◆ 内視鏡検査

毎週水曜,金曜の午前に内視鏡検査を行っています.年約1000件以上の上部消化管内視鏡検査を施行しました.Stent挿入,PEGおよびPTEGなどの処置内視鏡も多数しております.

◆ 認定施設

食道外科専門医認定施設 ・肥満症外科手術認定施設・胃癌学会認定施設

研 究

①臨床研究

    • 食道癌DCF術前化学療法、食道癌術後補助療法
    • 切除不能胃癌(臨床腫瘍科)
    • 食道癌術後機能障害評価
    • 腹腔鏡下胃切除および腹腔鏡下Sleeve状胃切除の術後機能評価
    • 周術期栄養管理

②基礎研究

    • 腹腔内遊走細胞の解析・機能研究
    • 胃癌腹膜播種治療
    • 食道癌進展の基礎研究
    • 胃全摘後の食欲不振機序の解明と克服