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診療疾患

肺癌

肺癌は罹患率、死亡率ともに急増しており、21世紀に医療が取り組まなければならない最も重要な癌の一つとされております。肺癌の特徴は、発見しにくく、転移し易いことであります。我々はこれらに対処すべく、CTやPET導入による肺癌の早期発見、診断未確定肺小腫瘤病変への胸腔鏡手術導入による早期診断治療を行っております。また進行肺癌に対しては、術前に微小転移を制御するため術前化学療法を行っております。肺癌の進行している患者さんには全身状態に応じて手術方法の選択のみでなく、術前後の抗癌剤治療を組み合わせて行うというものです。自治医大グループの成績ではIA期肺癌術後5年生存率は80%、IB期60%、II期50%でIIIA期45%となっております。さらに不幸にも再発した患者さんに対しても緩解が得られるよう、手術・放射線・抗癌剤治療を病状に応じて選択し治療を行っております。

1)末梢小型肺癌

小さい肺癌でリンパ節転移がない場合、手術を行えばほぼ完全に治すことができます。しかし我々の経験で直径が2cm以下の肺癌であっても20%が近くのリンパ節に転移しており、これらの患者さんの多くは5年以内に再発する確率が高くなってしまいます。1.5cm以下ではリンパ節転移の確率は5%、1cm以下では0%であり、従って肺癌が小さい時期に診断し、治療を行えばよいのです。しかし小さな腫瘍では気管支鏡で診断をつけることが困難なため、胸に直接内視鏡を挿入するいわゆる胸腔鏡検査で診断し、治療することが必要です。この検査は全身麻酔で行い、検査中にその腫瘍を診断し、肺癌であった場合同時に手術(肺葉切除術)を行っています。診断までが1時間、その後の治療手術が2時間合計3時間程度で終了できます。入院期間は術前2~3日術後7日間程度です。

2)進行肺癌

肺癌が進行し、直径が3cmを超えたり、近くのリンパ節に転移したり、胸壁に浸潤していても切除は可能ですが、再発率が高くなります。これは手術前の検査で診断できない微小な転移がこの時期の肺癌患者さんでは多く見られるためです。このため、当科では手術後に抗癌剤治療をお勧めしています。従来と違って、最近の抗癌剤は薬剤を的確に選択すれば、副作用も少なく、抗がん効果も期待できるようになってきております。

3)再発肺癌

不幸にして肺癌が再発してしまった患者さんも現在では悲観する時代ではなくなってきております。近年登場したイレッサや新規抗癌剤などで治療すれば、改善する患者さんもおられます。また再発部位が一箇所であれば手術療法や放射線療法を併用し、緩解が期待できる方もおられます。

自然気胸

肺から空気が漏れて、肺を包んでいるボックスいわゆる胸腔に空気が貯留し、肺が小さくなってしまう状態です。漏れた空気を胸に挿入した管を通して脱気することで肺は膨らみ気胸は改善します。通常は胸を強打して起こす外傷性気胸が一般的ですが、胸を打たなくても自然に気胸になった場合を自然気胸と言います。漏れる空気の量が多かったり持続したりすれば、脱気を持続して行なわなければならず、その結果入院期間が長期に及ぶため手術が必要になります。自然気胸になる人は、脆弱な肺(ブラ)を持っており、20歳前後から80歳に至るまで発症年齢はさまざまです。胸部CTで原因となるブラが確認されれば胸腔鏡手術をお勧めします。通常手術は30~60分程度で終了し、術後3日程度で退院できます。

縦隔腫瘍

縦隔とは読んで字の如く、胸の中で心臓や肺以外の縦方向の隙間のことを言います。ここに発生する腫瘍の70%は良性ですが、悪性のこともあり、検診などで発見されましたら、早めに相談してください。5cm以下の良性腫瘍であれば、胸腔鏡下手術が可能で、1時間半程度の手術で術後3~5日程度で退院できます。

重症筋無力症

重症筋無力症とは運動神経と筋肉とのコンセント(神経筋接合部)に障害が生じた結果、発生する病気です。多くの方は瞼の筋肉や首の筋肉から発症するため、瞼が下がり眠たそうな目になったり、物が二重に見えたり、食物が飲み込みにくくなって診断されます。重症筋無力症の原因となる神経筋接合部の障害を来たす原因が胸腺(心臓の前に存在するリンパ免疫組織)からの指令で産生されていることが多いため、胸腺を摘出することにより70%の人が改善を、40%の人が完全に治ります。

外来診療

外来日 月(午後)・火・水・木(午後)・金
問い合わせ先 自治医科大学さいたま医療センター 呼吸器外科 遠藤 俊輔
Tel:048-647-2111 内線2230
e-mail:tcvshun@jichi.ac.jp
FAX:048-648-5188

当センターの外来受診は、当センター宛ての紹介状と事前のご予約が必要です。
紹介患者診療スケジュールは、こちらをご覧ください。

診療実績

当施設は埼玉県を中心に幅広い地域から呼吸器疾患の患者様を受け入れております。手術件数は年々増加傾向であり、2017年には500件を超えました。肺癌が最も多く、次いで気胸、転移性肺腫瘍、膿胸と続きます。呼吸器疾患は喫煙や生活習慣を背景に発症するため様々な併存症(持病)を持っている方が多いのが特徴です。当院は大学附属病院のため多くの診療科を有しており、心疾患・腎疾患・肝疾患・自己免疫疾患など様々な併存症(持病)を持つ患者様に幅広く対応できるのが特徴です。特に続発性気胸や膿胸は併存症のため治療に難渋するケースが多く、多くの患者様が治療のため当施設を受診されます。
呼吸器疾患は手術をすれば治療が完了するわけではありません。術後の呼吸状態や日常生活など様々なことを包括的に考慮し治療を進めていく必要があります。そのため当施設では呼吸機能を温存するような低侵襲手術を積極的に行っています。その中の一つが胸腔鏡手術です。胸腔鏡手術とは胸に2cmほどの小さな傷を作り、そこからカメラを胸の中に入れて行う手術のことを呼びます。現在当施設では98%以上の手術を胸腔鏡で行っており、患者様の身体の負担軽減と日常生活への早期復帰に積極的に取り組んでおります。
その一方、胸腔鏡で手術を行えないケースもあります。気管支や肺動静脈に浸潤している局所進行肺癌、悪性胸膜中皮腫、肺アスペルギローマなどの難治性肺感染症に代表される難易度の高い手術は胸腔鏡ではなく開胸手術で行います。近年低侵襲手術ばかりが脚光を浴びていますが、まだまだ開胸手術が必要な患者様がいらっしゃるのも事実です。当施設ではこのような高難易度手術も数多く行っており、胸腔鏡手術から開胸手術まで幅広い手術に対応できるのも特徴です。

手術症例数

疾患別



胸腔鏡手術



研究実績

オプトアウト

臨床研究のうち、患者様への侵襲や介入がなく診療情報等の情報のみを用いる研究は、国が定めた指針に基づき、患者様から個別に同意を得る必要がありません。その代わり研究に関する情報を公開することが義務付けられており、患者様が研究への参加を拒否する機会が保証されています。これをオプトアウトといいます。
当診療科でオプトアウトを行っている研究は以下の通りです。研究への参加を希望されない場合は、下記文章に記載されている担当者までお知らせください。

研究テーマ:    2021年に外科治療を施行された肺癌患者のデータベース研究

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