下肢閉塞性動脈疾患とは?
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下肢の筋肉は下肢血管を通ってくる血液により酸素の供給を受けます。
下肢血管にプラークと呼ばれる脂質や石灰の沈着により高度な狭窄や閉塞があることで、その血液の供給を妨げられます。
それにより歩行による下肢痛などの症状をきたす場合があります。
どんな症状が下肢閉塞性動脈疾患か?
典型的には、歩行時の下肢の疲労感や重くなる感じです。
また、歩行を止めると改善し、歩くことが再度できるようになります。その症状を間歇性跛行と言います。
腰部脊柱管狭窄症などの整形外科疾患や神経疾患も同様の症状を呈する場合があります。
下肢閉塞性動脈疾患を疑った時に行う検査
- 足関節上腕血圧比(ABI)
両側上肢と両側下肢の血圧を専用の機械で測定し、規定の数値よりも低下しているようであれば、
下肢動脈の狭窄は閉塞の可能性が高くなります。
- 下肢超音波検査
超音波を用いて、血管内腔の狭窄や閉塞を描出する検査となります。非侵襲的な検査法となります。
- 造影CTとMRA
CT検査では造影剤を使用し、血管内腔を評価します。
MRAでは造影剤を使用する場合としないで撮影する場合があります。
非造影MRAは造影CTや造影MRAと比較し、腎機能障害の方にも使用しやすいという特徴があります。
CTやMRAいずれも画像上のアーチファクトにより正しく評価できないこともあります。
- 下肢カテーテル造影検査
動脈に直接カテーテルを挿入し、造影剤を注入し撮影を行います。入院検査となります。
十分な局所麻酔(痛み止め)の後、末梢動脈(橈骨動脈、上腕動脈、大腿動脈)のいずれかを
細い針で刺すところから始まります。カテーテル検査に要する時間は30分~1時間程度です。
検査のみであれば、二泊三日入院(前日入院、カテーテル当日、翌日退院)としています。この検査をもとに治療方針が立ちます。
Jinnouchi H et al., Cardiovasc Revasc Med. 2023 Dec 11:S1553-8389(23)00927-2.
包括的高度慢性下肢虚血とは?
下肢閉塞性動脈疾患が進行すると、包括的高度慢性下肢虚血という状態になります。
包括的高度慢性下肢虚血とは、狭窄や閉塞血管による虚血状態にて安静時痛や下肢の潰瘍や壊死が持続することを言います。
血行再建治療の他に傷の処置、場合によっては下肢切断の可能性がある状態になります。
傷がある状態のため、非常に感染しやすい状態です。