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[大学]光で遺伝子発現を制御する内耳遺伝子治療技術を開発

研究情報

概要

 耳鼻咽喉科・小児耳鼻咽喉科の野田昌生講師と神経遺伝子治療部門の村松慎一客員教授のグループは、東京大学大学院総合文化研究科の佐藤守俊教授らとの共同研究により、光照射によって内耳の遺伝子発現を制御する新しい遺伝子治療技術の有効性をマウスで実証しました。

 難聴は世界で4億人以上が罹患する主要な感覚障害であり、高齢化社会においてさらに増加が予測されています。また、難聴は認知症の重要なリスク因子の一つとされています。近年、原因遺伝子を直接修復・補完する内耳遺伝子治療が注目されていますが、内耳は側頭骨の奥深くに位置するため、低侵襲かつ安全に遺伝子発現を制御する方法の確立が課題でした。

 本研究では、青色光を照射したときのみ活性化する「光活性化型Cre酵素(PA-Cre)」をアデノ随伴ウイルス(AAV)ベクターで内耳に導入し、その後に光を当てることで標的遺伝子をオンにする“PhotoSwitch技術”を用いました。

 さらに光の照射方法を工夫し、外科的に直接内耳へ照射するだけでなく、鼓膜に小孔を開けての照射や外耳道から鼓膜越しに非侵襲的に照射する方法を検証しました。鼓膜経由および外耳道経由の方法でも95%以上の高い遺伝子活性化効率を達成しました。

 本研究は、遺伝子を導入した後、必要なタイミングで光により発現を制御できるという新しい概念を内耳で実証したものであり、将来的な臨床応用に向けた重要な基盤的成果です。今後は、大型動物での検証を進め、ヒトへの応用を目指します。

掲載論文

Masao Noda, Takahiro Otabe, Ryota Koshu, Naomi Takino, Mika Ito, Makoto Ito, Fuun Kawano, Takahiro Nakajima, Moritoshi Sato, Shin-ichi Muramatsu
“Less Invasive Light Irradiation Methods for Inner Ear Gene Therapy Based on Photoswitch Technology: Toward Clinical Translation”
Human Gene Therapy. Published online February 3, 2026.
DOI:10.1177/10430342251415191