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[大学]モンゴルでは多くの血友病患者がAAVベクターによる遺伝子治療を妨げるAAV中和抗体を保有

研究情報

概要

 自治医科大学医学部生化学講座病態生化学部門、およびモンゴル国立医科大学の国際共同研究グループは、遺伝子治療で広く用いられるアデノ随伴ウイルス(AAV)に対する中和抗体の保有状況をモンゴルで初めて詳細に解析し、抗AAV中和抗体の保有率が高いことを明らかにしました(図)。

 血友病は血液凝固因子の欠乏による出血性遺伝性疾患です。近年、AAVベクターを用いた遺伝子治療が実用化され、一度の投与で長期間にわたり凝固因子を産生できることが期待されています。モンゴルでは血友病患者さんに十分な治療薬が行き渡っておらず、AAVベクター遺伝子治療は大きなメリットがあります。また、AAVベクターを用いた遺伝子治療は脊髄性筋萎縮症やデュシェンヌ型筋ジストロフィーや目の先天性疾患などで、すでに日本国内においても上市され、臨床における治療選択肢となっています。これらのAAVベクターを用いた遺伝子治療薬は、AAVの既感染に伴う中和抗体が存在すると、その効果が減弱することが知られており、治療は中和抗体陰性の患者に限られることが殆どです。

 本研究では、我々が過去に日本人血友病患者や健常人を対象とした解析と同様の手法でAAVに対する中和抗体力価を測定し、モンゴルの血友病患者の約80%以上の方がAAVに対する中和抗体を保有しており、日本人集団よりも高頻度であることを明らかにしました(図)。また、中和抗体は幼少期からすでに獲得されており、複数のAAV血清型に対して中和活性を示すことが分かりました。

 本研究は、遺伝子治療の社会実装において地域ごとの免疫学的背景を考慮する重要性を示しています。これらの地域を念頭において、今後は抗AAV中和抗体を回避する新規ベクターや、脂質ナノ粒子など、次世代遺伝子送達技術の開発も重要と考えられます。

論文

Baatartsogt N, Batchuluun K, Kashiwakura Y, Amarbayasgalan M, Nordog M, Altangerel O, Otgonbayar P, Tegshee U, Batjargal K, Togashi T, Hayakawa M, Unurbat E, Otgon-Uul Z, Ganbaatar E, Boldbaatar D, Nyamdavaa K, Chimeddorj B, Tsogbadrakh O, Ohmori T. High prevalence of preexisting neutralizing antibodies against adeno-associated virus capsids in Mongolian people with hemophilia. Human Gene Therapy 2026 Jul 27:10430342261459805. doi: 10.1177/10430342261459805. Online ahead of print.

問い合わせ先

〈研究に関する問合せ〉
自治医科大学 医学部 生化学講座 病態生化学部門
教授 大森 司(おおもり つかさ)
Tel:0285-58-7324 E-mail:[email protected]
〈報道に関する問合せ〉
自治医科大学 研究推進課
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