自然気胸の治療について
胸腔というボックスをアコーデオンのように膨らますことで肺は膨らみ、息を吸っています。気胸は肺から空気が胸腔内に漏れてしまい、肺が萎んで呼吸がしにくくなる状態です。気胸が進行すると日常生活ができなくなるばかりでなく、場合によっては長期の入院治療を要します。


当センターは、気胸手術数については年間100例以上の経験があり、全国5位以内と手術治療経験豊富な施設です全国気胸手術ランキング (全国の気胸の治療実績・手術件数【QLife病院検索】)。
何ら問題のない社会生活を送っている方に突然発症するのが気胸です。気胸の原因・状況を迅速に診断治療し、患者様の一日でも早い社会復帰に努めています。
受診の流れと社会復帰
- 診療所病院でレントゲン診断
- センター受診
- 重症度診断と治療
CT検査で破裂部位診断
問診
発症前の社会生活状況チェック
復帰(試験や仕事)までのスケジュール相談
軽症 自宅安静
中等度以上
胸腔ドレナージ
手術(胸腔鏡手術)が必要な場合には受診日から72時間以内に手術
空気漏れが多いとき
破裂した部位が顕著な時
術後経過
空気漏れが停止しているのが確認されたら胸腔に留置した管を抜去し、
当日または翌日に退院。空気漏れが持続しているときは再度手術することもあります。
退院後10日前後に外来でチェックし治療終了します。
センター受診してから社会復帰までの時間 (患者さんにより状況は異なります)
若年 1-3日間
中年以降 3-5日間
気胸の原因
(1)外傷性 胸部を打撲したりとがったものが刺さったりして発症する場合
(2)自然気胸
原発性気胸
20歳前後の細身の男性に多く、成長期に急激に大きくなった胸郭の中で健常肺が伸展し、肺の先端部の脆弱な部分に嚢胞(風船のような状態)が形成され、何らかの契機で破裂し発症します。
続発性気胸
高齢男性に多く、肺気腫(喫煙などで黒色に汚染され破壊された肺の状態)が悪化すると誘因もなく破裂し発症します。肺が痛んでいるため、呼吸が突然苦しくなる頻度が高い気胸です。
治療
安静
空気漏れが少ない軽度の気胸であれば激しい運動をしないだけでも改善します。
脱気
空気漏れが多く肺が虚脱してしまった場合には、胸に管を挿入し、胸腔に漏れた空気を吸引することで肺を膨らませる治療で、多くは入院が必要です。
空気漏れが続いた場合の治療
癒着療法 胸腔の中に薬剤を注入し、肺と胸腔の壁を癒着させ肺が虚脱しないようにする治療で、気胸にならなくても治療後の息がしづらくなる後遺症が問題となります。
胸腔鏡手術
胸腔というボックスに肋間から内視鏡を挿入し、破裂している部位をカッターで切除し再発しないようにシートで補強する方法です。破裂している部位が小さければ、1時間程度で手術は終わります。胸腔に留置した管から空気漏れがなければ翌日管を抜去し退院できます。退院後10日前後に外来でチェックし治療終了します。
