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[大学] 血液科で実施した真菌感染症に関する無作為化比較試験の結果がJ Clin Oncol誌に掲載されました。
研究情報
概要
遷延する好中球減少中の発熱に対しては、発熱の遷延をトリガーとして抗真菌薬を開始する経験的抗真菌治療(empiric therapy)が標準的治療として行われていますが、多くの患者さんにとって過剰治療となることが指摘されていました。一方、画像や真菌マーカーをトリガーとして抗真菌薬を開始する先制治療(preemptive therapy)は真菌症発症の増加につながりました。
そこで、私たちは、好中球減少を評価する新しい指標であるD-indexを用いて、その値によってリアルタイムに経験的治療と先制治療を切り替える新規早期治療戦略を開発し、従来の経験的治療と比較する無作為割付比較試験(CEDMIC試験)を実施しました。
その結果、新規早期治療戦略は、真菌感染症を増加させることなく、無駄な抗真菌薬投与を有意に減少させることが示されました。好中球数の経時変化という、既存の情報を用いるだけで抗真菌薬のコストや有害事象を軽減することができる画期的な治療戦略であると考えられます。
この研究成果は、2020年1月14日に「Journal of Clinical Oncology」にオンライン掲載されました。
論文タイトルと著者
タイトル:D-Index–Guided Early Antifungal Therapy Versus Empiric Antifungal Therapy for Persistent Febrile Neutropenia: A Randomized Controlled Noninferiority Trial.
著者:Yoshinobu Kanda, Shun-ichi Kimura, et al.
掲載雑誌:Journal of Clinical Oncology