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[医学部] プリオン遺伝子変異により難治性食道アカラシアが発症することの発見
研究情報
これまでプリオン遺伝子の変異では、脳や脊髄を中心とした中枢神経に限局して病気が起こると考えられてきました。しかし、松薗助教 (現自治医科大学内科学講座神経内科学部門所属) らは2013年にプリオン遺伝子変異D178Efs25Xで遺伝性の自律感覚末梢神経障害が起こることを当時世界で初めて報告しました。その後、イギリスやイタリアでも様々な種類のプリオン遺伝子変異により、同様の病態が起こることが分かりました。
2016年に松薗助教らが「PrP systemic deposition disease」として新たに提唱したこの病態は、特定のプリオン遺伝子変異により発症し、全身に異常なプリオン蛋白が沈着することが分かっています。しかし、国内・海外ともに報告数が少なく、その詳細な病態や治療法は未だ確立していません。
今回、自治医科大学内科学講座神経内科学部門 (松薗助教) の研究チームは、東北大学大学院医学系研究科病態神経学分野、九州大学大学院医学研究院神経病理学との共同研究により、プリオン遺伝子変異Y162Xにより難治性食道アカラシアが発症することを新たに発見しました。
本発見により、これまで原因不明とされてきた食道アカラシアなどの消化管運動障害の一部で、特に治療抵抗性で家族性を認める場合にはプリオン遺伝子変異による可能性があり得ることが示唆されました。
本研究成果は米国消化器病学会 (ACG) の機関誌である『American Journal of Gastroenterology』に2020年11月3日付けで公開されました。詳細は下記をご覧下さい。
“Prion Gene PRNP Y162X Truncation Mutation Can Induce a Refractory Esophageal Achalasia”
DOI: 10.14309/ajg.0000000000001044.