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[医学研究科]老化腎の進展にリン過剰摂取による腎臓でのリン酸カルシウム結晶析出が関与することを明らかに
研究情報
1.研究概要
健康な人でも30歳をこえると次第に腎臓が壊れていき、70歳から75歳までに腎臓の機能が約4〜5割低下し、70歳をこえると約半数が慢性腎臓病の基準をみたすようになります。しかし、老化とともに腎臓の機能が低下する老化腎の原因や機序についてはこれまでは不明でした。
自治医科大学抗加齢医学研究部の黒尾誠教授らの研究グループは、「リンが老化を加速する」と仮説をたて、自治医科大学循環病態・代謝学研究部、組織学、循環器内科、腎臓内科、臨床検査医学、および東京大学大学院総合文化研究科の村田昌之教授（研究当時、現東京工業大学特任教授）らの研究グループとともに、マウスを用いて、高リン食を負荷することで腎臓（尿細管）からのリン排泄を増加させると、腎臓（尿細管）内に微細なリン酸カルシウム結晶が生じ、腎臓（尿細管）を障害することを明らかにしました。当研究は、リンが老化腎（腎臓病）を加速させ、リンが大量に含まれている食品添加物に依存する現代の食生活に警鐘を鳴らすとともに、リン酸カルシウムの結晶化を標的とした腎臓病の新規治療につながることが期待されます。
本研究成果は「The Journal of clinical investigation」のオンライン版に2021年06月29日付けで公開されました。
2.掲載論文
論文タイトル：
Calcium phosphate microcrystals in the renal tubular fluid accelerate chronic kidney disease progression
著者：
Kazuhiro Shiizaki, Asako Tsubouchi, Yutaka Miura, Kinya Seo, Takahiro Kuchimaru, Hirosaka Hayashi, Yoshitaka Iwazu, Marina Miura, Batpurev Battulga, Nobuhiko Ohno, Toru Hara, Rina Kunishige, Mamiko Masutani, Keita Negishi, Kazuomi Kario, Kazuhiko Kotani, Toshiyuki Yamada, Daisuke Nagata, Issei Komuro, Hiroshi Itoh, Hiroshi Kurosu, Masayuki Murata, & Makoto Kuro-o (Corresponding author)