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自治医科大学循環器内科の苅尾七臣教授の研究チームは、疾患治療用プログラム医療機器（治療アプリ®）を開発する株式会社CureApp（本社：東京都中央区）と共同で、高血圧症に対する治療アプリ®の治験において、有効性（降圧効果）と安全性を確認しました。高血圧領域の治療用アプリの治験で降圧効果を明らかにしたのは、当チームの成果が世界初となります。（４．研究概要　をご参照ください。）
この結果については、2021年8月の欧州心臓病学会で苅尾教授が発表し、ESCの機関誌である『European Heart Journal』にオンライン公開されました。また、この研究成果は国内外の多数メディアに掲載されました。

１．学会発表と掲載論文

【学会発表】
ESC Congress 2021 Late Breaking Trials in Hypertension (2021年8月29日)

【掲載論文】
Kario K, Nomura A, Harada N et al. Efficacy of a digital therapeutics system in the management of essential hypertension: the HERB-DH1 pivotal trial. European Heart Journal, ehab559

２．論文掲載先

https://doi.org/10.1093/eurheartj/ehab559

３．メディア掲載先

【掲載メディア一覧】2021年9月24日現在
（１）国内
　　　国内一覧表(172KB)
（２）海外
　　　海外一覧表1(360KB)
　　　海外一覧表2(167KB)

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４．研究概要

【高血圧治療アプリ HERB®】（図１）（以下、本治療アプリという）
本治療アプリは、患者ごとに個別最適化された治療ガイダンスを自動で直接提供し、行動変容を促して患者様の正しい生活習慣の獲得をサポートすることで、降圧効果を導きます。アプリ内では日々の血圧モニタリングと生活習慣ログから分析し、各自に適した知識や行動改善を働きかけるメッセージを発信します。また、医師側においても、患者様の生活習慣の修正状況が医師アプリによって確認でき、より適切な指導やサポートに繋げられます。その結果、本治療アプリを通した患者様と医師の双方向コミュニケーションに基づき、効率的・効果的な生活習慣の改善が期待されます。

図１：高血圧治療アプリの概念図

（株式会社CureApp作成）

【治験の結果】（図２）
本治療アプリの国内第Ⅲ相多施設共同無作為化比較試験（以下、本治験）は2020年1月から12月に行われ、本態性高血圧症かつ治療薬を服用していない患者様を対象に、本治療アプリの有効性と安全性を、アプリを使用した介入群と使用しない対照群で比較検討しました。両群ともに標準的な高血圧治療として、高血圧治療ガイドライン2019に沿った生活習慣の修正指導を行い、その上で本治療アプリの効果を評価しています。
その結果、主要評価項目である治療12週時における24時間血圧測定（ABPM）に基づく24時間平均の収縮期血圧において、本治療アプリを使用した介入群は、対照群に対して有意な降圧効果を示しました（群間差※1：-2.4mmHg）。さらに、治療12週時における家庭血圧、特に起床時の収縮期血圧においても、本治療アプリの降圧効果が明らかとなりました（群間差1：-4.3mmHg）。本邦の心血管リスクのある者を対象としたJ-HOP研究では、朝の収縮期家庭血圧の10mmHgの増加は脳卒中リスクを36%増加することが示されています※2。したがって、本治験により本治療アプリの臨床的意義が明らかとなり、アプリによるデジタル療法が、高血圧治療の選択肢の一つとして有効であることが示唆されました。
※1 群間差は調整平均
※2 Hoshide S, Yano Y, Kario K, et al. Morning and Evening Home Blood Pressure and Risks of Incident Stroke and Coronary Artery Disease in the Japanese General Practice Population: The Japan Morning Surge-Home Blood Pressure Study. J-HOP Study Group. Hypertension. 2016;68:54-61.
https://www.ahajournals.org/doi/10.1161/HYPERTENSIONAHA.116.07201?url_ver=Z39.88-2003&rfr_id=ori:rid:crossref.org&rfr_dat=cr_pub%20%200pubmed3

図2：登録後12週時におけるABPM、家庭血圧及び診察室血圧の、ベースラインからの変化量（調整平均（95%信頼区間））及び群間差

＜出展＞
Kario K, Nomura A, Harada N et al. Efficacy of a digital therapeutics system in the management of essential hypertension: the HERB-DH1 pivotal trial. European Heart Journal, ehab559,
https://doi.org/10.1093/eurheartj/ehab559