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[医学研究科]クリオピリン関連周期熱症候群における寒冷感受性の機序を解明
研究情報
クリオピリン関連周期熱症候群(CAPS)は自然免疫に関与する遺伝子NLRP3の変異によって引き起こされる自己炎症性疾患であり、難病に指定されています。この疾患には、軽症型の家族性寒冷自己炎症症候群(FCAS)、中等症のMuckle-Wells症候群、重症型のCINCA症候群の3症候群が含まれ、FCASでは寒冷刺激によって炎症が惹起され、発熱や蕁麻疹様の発疹、関節痛等を伴う発作が引き起こされる特徴があります。いずれにおいてもインフラマソームと呼ばれる分子複合体の形成と、それによって引き起こされる炎症性サイトカインIL-1βの産生が自己炎症の原因と考えられてきましたが、その分子機序は明らかになっていませんでした。
自治医科大学 分子病態治療研究センター 炎症・免疫研究部 唐澤 直義 講師、高橋 将文 教授らの研究グループは、CAPSにおける炎症の原因として、変異NLRP3タンパク質が形成する凝集体がインフラマソームの形成を引き起こしていることを明らかにしました。また、この凝集体形成には寒冷感受性があり、寒冷刺激が凝集体の形成とIL-1βの産生を引き起こすことがわかりました。FCAS における寒冷感受性の機序はこれまで未解明のままでしたが、変異NLRP3の寒冷感受性の凝集が寒冷刺激によって誘発される発作の原因でもあると考えられました。本研究の成果は、CAPSの新たな治療法の開発につながると期待されます。
本研究成果は、「eLife」オンライン版に2022年5月26日付けで公開されました(https://doi.org/10.7554/eLife.75166)。
論文名:Cryo-sensitive aggregation triggers NLRP3 inflammasome assembly in cryopyrin-associated periodic syndrome
著者名:Tadayoshi Karasawa, Takanori Komada, Naoya Yamada, Emi Aizawa, Yoshiko Mizushina, Sachiko Watanabe, Chintogtokh Baatarjav, Takayoshi Matsumura, Masafumi Takahashi