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[大学] 多発性骨髄腫の予後を悪化させる髄外病変がヒアルロン酸によって誘導される機序を解明し有効な治療法を開発
研究情報
概要
多発性骨髄腫は高齢者に多く発症する血液がんの一種です。今後、高齢化社会の進展に伴う医療ニーズ増大が予想されています。主な治療法は骨髄移植と薬物療法ですが、5年生存率は約40%とその予後は不良です。中でも、抗がん剤耐性の強い難治性症例がアンメットニーズとなっており、髄外病変発症例はその代表例です。髄外病変は骨髄腫細胞が主な病巣である骨髄から転移し、臓器や皮下で細胞塊を形成しながら増殖したものです。しかしながら、発症機序の解明と有効な治療法の開発は進んでいませんでした。
今回、分子病態治療研究センター・幹細胞制御研究部の菊池次郎准教授・長田直希助教・古川雄祐教授らは、国際骨髄腫先端治療研究センターや秋田大学、東京大学医科学研究所、諏訪赤十字病院、オスロ大学等との国際共同研究により、多発性骨髄腫の髄外病変発症機序を解明し、有効な治療法の開発に成功しました。
菊池准教授らは、骨髄ストローマ細胞が産生するヒアルロン酸と血流によるシェアストレスが骨髄腫細胞同士を凝集させ、形成した細胞塊が骨髄外に転移して増殖した結果、髄外病変が発症する機序を明らかにしました。また、抗がん剤耐性獲得におけるγセクレターゼの作用を明らかにし、マウスモデルを用いてγセクレターゼ阻害剤が髄外病変に有効な治療薬となることを明らかにしました(図参照)。
本研究成果は2022年8月5日、血液学関連で最も著名な米国血液学会誌Bloodの姉妹誌「Blood Advances」オンライン版に掲載されました。
論文名と掲載先
Kikuchi J, Kodama N, Takeshita M, Ikeda S, Kobayashi T, Kuroda Y, Uchiyama M, Osada N, Bogen B, Yasui H, Takahashi N, Miwa A and Furukawa Y. EMD originates from hyaluronan-induced homophilic interactions of CD44 variant-expressing MM cells under shear stress. Blood Advances, 2022 Aug 5:bloodadvances.2022007291. doi: 10.1182/bloodadvances.2022007291. [Epub ahead of print].