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[医学研究科]世界初の好塩基球分化系譜のシングルセル解析

研究情報

 自治医科大学 分子病態治療研究センター 炎症・免疫研究部 松村 貴由 講師、高橋 将文 教授、熊本大学国際先端医学研究機構 須田年生 教授らの研究グループは、世界で初めて骨髄における好塩基球の一連の分化過程をシングルセル解析で明らかにすることに成功しました。 好塩基球はアレルギー疾患、寄生虫感染のみならず自然免疫、臓器形成にも重要な働きをもつ細胞ですが、末梢血中に1%程度しか存在せず細胞の数が極めて少ないこと、また、特異的な表面マーカーが存在しないことから、骨髄内の好塩基球の分化について単一細胞(シングルセル)レベルでの網羅的解析は難しいと考えられていました。

 松村らの研究グループは血液細胞の分化に重要なMYBという転写因子の転写制御領域(エンハンサー領域)の解析を進める中で、Myb -68と名付けられた領域が好塩基球・肥満細胞特異的な活性をもつことを見つけました。この領域を利用したGFP(緑色蛍光蛋白)レポーターマウスを作成し、その骨髄細胞をシングルセルRNAシークエンシングで網羅的に解析することにより、好塩基球の分化過程でどのような遺伝子がどのようなタイミングで発現するかを詳細に検討することが可能となりました。本研究の成果は、今後の好塩基球分化に関する研究の基礎的データとして活用されていくことが期待されます。

 研究成果は、「Nature Communications」誌に2022年11月18日付けで公開されました (https://rdcu.be/cZXE4)。

論文名:A Myb enhancer-guided analysis of basophil and mast cell differentiation.
著者名:Takayoshi Matsumura, Haruhito Totani, Yoshitaka Gunji, Masahiro Fukuda, Rui Yokomori, Jianwen Deng, Malini Rethnam, Chong Yang, Tze King Tan, Tadayoshi Karasawa, Kazuomi Kario, Masafumi Takahashi, Motomi Osato, Takaomi Sanda, and Toshio Suda