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[大学]日本における新型コロナウイルスの無症状感染の動向を解明
研究情報
自治医科大学の永井良三学長、相澤健一准教授(臨床薬理学)は東京大学医科学研究所の鈴木亨特任教授、および内閣官房新型コロナウイルス感染症対策推進室AIシミュレーション事業AIアドバイザリボードの委員(※)らとともに、2021年の新型コロナウイルスパンデミック時に内閣官房が実施した「感染拡大の予兆の早期探知のためのモニタリング検査」のデータを解析し、日本における新型コロナウイルスの無症状感染と流行の動向を明らかにしました。
(※)内閣官房新型コロナウイルス感染症対策推進室AIシミュレーション事業AIアドバイザリボード
委員長 黒川清(東京大学名誉教授)
委 員 安西祐一郎(元慶應義塾大学塾長)
永井良三(自治医科大学学長)
山中伸弥(京都大学教授)
日本では新型コロナウイルス(SARS-CoV-2) パンデミックのはじまりの頃、欧米と比較して患者数が少なく報告されていました。しかし、無症状感染の実態は不明でした。
研究チームは、2021年の2月から12月の間に政府(内閣官房)が実施した、無症状者100万人超の唾液PCR検査のデータを用いて疫学調査を行いました。その結果、一般人口における新型コロナウイルスの無症状陽性率が、日々報道される新規患者数と高い相関を示すことが明らかになりました。また、PCR検査のCt値(遺伝子増幅のサイクル数)に着目すると、日本の陽性者数は欧米の基準(Ct 25)では十分の一以下になること、また、感染拡大に先立ち、PCR検査陽性者のうち低Ct値の割合、つまりウイルス濃度が高い陽性者が増えること、さらに、ワクチン接種による無症状陽性率の低下が明らかになりました。
一般人口の唾液PCR検査は、市中感染の動向把握、感染地域におけるハイリスク集団の同定、感染予防行動の指針として有用と考えられます。クラスター対策に加えて、日本の感染症対策の基本として活用されることが期待されます。
本研究成果は2022年12月27日(米国中部標準時)、米国医師会雑誌「JAMA Network Open」に発表されました。
・プレスリリース: 日本における新型コロナウイルスの無症状感染の動向の解明
論文名、著者名など
雑誌名:「JAMA Network Open」(12月27日)
論文タイトル:Prevalence of Asymptomatic SARS-CoV-2 Infection in Japan
著者:Toru Suzuki#, Kenichi Aizawa#, Kenji Shibuya, Shinya Yamanaka, Yuichiro Anzai, Kiyoshi Kurokawa, Ryozo Nagai*
#:筆頭著者
*:責任著者
DOI:doi:10.1001/jamanetworkopen.2022.47704