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[医学部]肝臓の中性脂肪合成を制御するGR-KLF15経路の発見

研究情報

概要

 食事から過剰に摂取された炭水化物は、エネルギー貯蔵物質である中性脂肪に変えられ、脂肪組織などに蓄えられます。炭水化物から中性脂肪への合成は食後に増加し、逆に空腹時には顕著に減少します。この合成経路が食事状況に応じてどのように調節されているのかについては、未知のことが多く残されていました。

 内科学講座内分泌代謝学部門の武内謙憲客員研究員(筑波大学・助教)、矢作直也教授らは、以前に、転写因子KLF15を中心とする転写複合体が重要な役割を担い、中性脂肪合成経路全体の遺伝子の発現を制御するスイッチの働きをする転写因子SREBP-1の発現を空腹時に抑制することを見出していました(Cell Rep. 2016)。今回、このKLF15のさらに上流の発現制御機構を探索する中で、糖質コルチコイド受容体(GR)の重要な役割を解明しました。

 空腹時には視床下部-下垂体-副腎皮質経路(HPA axis)が活性化されるために血中の糖質コルチコイド濃度が上昇しますが、これがKLF15遺伝子周辺のエンハンサー領域上で糖質コルチコイド受容体(GR)と結合することでKLF15の発現誘導をもたらし、さらにそこからSREBP-1の発現抑制へと至る、GR-KLF15-SREBP-1経路が発見されました。

 本研究成果は1906年に創刊された生化学領域で有数の伝統を誇る欧州生化学連合の機関誌「FEBS Journal」(2023年Impact Factor 5.622)のオンライン版に2023年9月13日付で公開されました。

自治医科大学医学部:肝臓の中性脂肪合成を制御するGR-KLF15経路の発見

論文名

GR-KLF15 pathway controls hepatic lipogenesis during fasting.
Yoshinori Takeuchi, Yuki Murayama, Yuichi Aita, Zahra Mehrazad Saber, Samia Karkoutly, Duhan Tao, Kyoka Katabami, Chen Ye, Akito Shikama, Yukari Masuda, Yoshihiko Izumida, Takafumi Miyamoto, Takashi Matsuzaka, Yasushi Kawakami, Hitoshi Shimano, Naoya Yahagi.
DOI: 10.1111/febs.16957. PMID: 37702262

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