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[医学部]脳疾患や老化に関わる分子NAD(H)の高感度測定法を開発―オミクスとデータ駆動型研究〈実践〉―

研究情報

概要

 ニコチンアミドアデニンジヌクレオチドNAD(H)は酸化還元反応の補酵素であり、エネルギー代謝に不可欠な物質です。生体内では酸化型(NAD+)と還元型(NADH)が存在し、あわせてNAD(H)と表記されます。NAD+とNADHの酸化還元バランスは、様々な疾患、細胞分化、老化に影響する可能性が示されつつあります。しかし、これまでの測定法では、NAD+が分解され易い、血液中のNADHが微量であるなどの理由により限界がありました。近年、高精度な測定技術の必要性が高まっています。

 臨床薬理学の石間環博士研究員、相澤健一准教授らは小児科学の小坂仁教授らとの共同研究で、最先端マススペクトロメトリ技術による迅速かつ高感度な測定法を開発し、NAD+とNADHの同時測定を達成しました。この測定法を用いると、脳組織中NAD(H)濃度は血漿中NAD(H)濃度と強い相関があり、脳のNAD(H)濃度が血漿に反映されることが示されました。

 NAD(H)は様々な神経変性疾患や脳虚血、ミトコンドリア筋疾患などの脳疾患に関与していることから、薬剤投与後の血漿中NAD(H)濃度の変化をモニタリングすることは、病勢の把握や治療薬の開発に有用であると考えられます。

 最近、NAD+の前駆体であるNMN(ニコチンアミドモノヌクレオチド)がサプリメントとして注目されており、NADはアンチエイジング分子としても注目度が高い物質です。今回、研究チームが開発した測定法は、製薬を中心としたヘルスケア領域への応用も期待されます。

本研究の成果は国際科学雑誌International Journal of Molecular Sciencesに掲載されました。

論文名、著者名など

論文タイトル: A Simple, Fast, Sensitive LC-MS/MS Method to Quantify NAD(H) in Biological Samples: Plasma NAD(H) Measurement to Monitor Brain Pathophysiology

著者: Tamaki Ishima†, Natsuka Kimura†, Mizuki Kobayashi, Ryozo Nagai, Hitoshi Osaka and Kenichi Aizawa*
(†共筆頭著者、*責任著者)

掲載誌:International Journal of Molecular Sciences (Impact factor 5.6)
https://doi.org/10.3390/ijms25042325

謝辞

 本研究は、日本医療研究開発機構(AMED)の支援を受け、難治性疾患実用化研究事業の課題「アポモルフィンのLeigh脳症に対する治験準備(22ek0109511h0002)」(研究開発代表者 小坂仁)において行なったものです。