医学部 School of news

ニュース&トピックス

News & Topics

[医学部]生成AIによる中耳疾患診断への有用性を、開発した最適プロンプトと医師との精度比較により検証

研究情報

概要

2022年より生成AIの開発が進み、その活用がすすんでいます。

2023年にはChatGPTがアメリカ医師国家試験(USMLE)で合格レベルに達したという報告がされて以降,専門分野においてもその有効性が検証され、生成AI の医療・ヘルスケア分野における活用可能性が世界的に大きな注目を浴びるようになりました。

さらに、2023年9月よりGPT-4Visionが発表され、画像認識もできることが報告されました。これまで、著者らは大規模言語モデルGPTについて、日本医師国家試験や耳鼻咽喉科専門医試験への有効性について報告をしてきました。

(Tanaka et al. 2024 PLOS Digital Health, 野田ら. 2023 日耳鼻, Noda et al. 2024 JMIR Med Educ )

本研究では、耳鼻咽喉科の野田 昌生助教らのグループが、信州大学の吉村 豪兼講師らとの共同研究を行い、生成AIの中耳疾患分類における有用性を検討するために、鼓膜画像と患者情報に対するGPT-4Vision(GPT-4V) のパフォーマンスを検証しました。

今回の研究では、主な中耳疾患(急性中耳炎、滲出性中耳炎、真珠腫性中耳炎、慢性穿孔性中耳炎)の190データに対するGPT-4Vの回答能力と精度を評価しました。

鼓膜画像と患者情報を入力するマルチモーダルAIによって、診断分類精度は82.1%を達成しました。疾患によって分類精度の高いものや低いものがあり、疾患特異性があることがわかりました。

また、医師との比較では、耳鼻咽喉科医よりは劣るものの、非耳鼻咽喉科医より高い精度であり、とくに全体の正答率の低い症例に対して有効であることがわかりました。

この研究はAIの医学分野における応用の研究として、耳鼻咽喉科領域、特に中耳疾患における活用方法の可能性を示すとともに、AIの安全な使用方法に関する今後の考慮においても重要と考えられ、本研究の結果を発信しています。

本研究の成果は国際科学雑誌JMIR AIに掲載されました。

論文名、著者名など

論文タイトル: Feasibility of Multimodal Artificial Intelligence Using GPT-4 Vision for the Classification of Middle Ear Dise ase: Qualitative Study and Validation

著者:
野田昌生*、 吉村豪兼*、 大久保卓哉、 甲州亮太、 内山 裕貴、 野村章洋、 伊藤真人、 工穣
(*責任著者)

掲載誌:JMIR AI