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[医学部]社会的交流を避け孤立するように行動変容させる神経回路の発見
研究情報
社会的ストレスがかかると社会的交流を避け社会的に孤立することがあります。社会的孤立はうつ病、認知症、心血管疾患のリスクを上昇させ死亡率を上昇させることが疫学的に示されています。このため、2023 年からWHO は社会的孤立を「差し迫った健康上の脅威」と位置付けています。しかし、社会的なストレス負荷で社会的交流を避けるようになる機構は分かっていませんでした。
今回、自治医科大学医学部 生理学講座 神経脳生理学部門のNaranbat Nasanbuyan研究員、吉田匡秀講師、尾仲達史教授らを中心とした研究グループは、社会的ストレスにより交流を避け孤立を惹起する視床下部神経回路をマウス動物実験モデルで発見しました。
研究グループは、マウスの社会的ストレスモデルを用い、ストレスで強く活性化する視床下部腹内側核オキシトシン受容体発現ニューロンを同定しました。さらに、社会的ストレス時にこの視床下部腹内側核オキシトシン受容体ニューロンが過剰に活性化されると、社会的な交流を避け孤立するように行動が変容することを明らかにしました。今後、このニューロンの活動を操作することで社会的孤立を抑制できるのか、更なる検討が待たれます。
本研究は、米国科学雑誌Biological Psychiatryに9月27日付けでオンライン掲載されました。
論文情報
掲載誌:Biological Psychiatry
タイトル:Differential Functions of Oxytocin Receptor-Expressing Neurons in the Ventromedial Hypothalamus in Social Stress Responses: Induction of Adaptive and Maladaptive Coping Behaviors
著者: Naranbat Nasanbuyan, 吉田匡秀*, 犬束歩, 高柳友紀, 加藤成樹, 日出間志寿, 西森克彦, 小林和人, 尾仲達史*
(* 責任著者)