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[医学部]GAP43遺伝子変異の知的障害、発達障害への関与を報告

研究情報

 自治医科大学 分子病態治療研究センター 心血管・遺伝学研究部 松本 歩 准教授、松村 貴由 教授、小児科 山形 崇倫 客員教授、田島 敏広 教授、愛知県医療療育総合センター 発達障害研究所 野田 万理子 さん、永田 浩一 先生らのグループは、神経系において重要な役割を果たすGAP43蛋白の不安定性が神経発達障害や骨格異常を引き起こすことを明らかにしました。

 GAP43蛋白は、主に神経系に発現しており、神経軸索の成長や分岐を制御します。これまでにも、この蛋白と神経疾患の関連が報告されていましたが、その詳細には不明な点が多く残されていました。

 今回の研究では、知的障害、神経発達障害、低身長、骨格異常を有する患児の遺伝子の配列を網羅的に解析する全エクソーム解析を実施しました。その結果、GAP43遺伝子の変異を特定し、この遺伝子変異によって、産生されるGAP43蛋白質が不安定になることを培養神経細胞及びマウスの脳内で確認しました。さらに、子宮内電気穿孔法(エレクトロポレーション)という手法を用い、マウス胎児神経細胞のGAP43蛋白を減少させると、脳対側半球への軸索伸長を抑制し、樹状突起の形成も減少させることがわかりました。

 これらの研究結果により、GAP43が脳の発達において重要な役割を果たしていること、そして、遺伝子変異によるGAP43の不安定化が神経発達障害や骨格異常を引き起こすことが明らかになりました。今回の研究成果は、GAP43の異常がどのように人間の疾患に繋がるのかについて理解を深める一助となることが期待されます。

論文情報

掲載誌:Scientific reports
タイトル:An unstable variant of GAP43 leads to neurodevelopmental deficiency
著者: Noda M#, Matsumoto A#, Ito H, Kagami M, Tajima T, Matsumura T*, Yamagata T,Nagata KI*. (# Contributed equally. * Corresponding authors.)
DOI: 10.1038/s41598-024-83445-w