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[医学部]老化造血幹細胞のシングルセル解析による老化とミトコンドリアの関係の解明
研究情報
自治医科大学 分子病態治療研究センター 心血管・遺伝学研究部 松村 貴由 教授、シンガポール国立大学 戸谷 治仁 博士、須田 年生 教授らの国際共同研究グループは、老化造血幹細胞のミトコンドリア量に着目し、シングルセル解析によって造血幹細胞老化とミトコンドリアの関係の一端を明らかにすることに成功しました。
個体の老化とともに造血幹細胞も老化しますが、老化の影響は個々の造血幹細胞ごとに異なり、集団としての造血幹細胞内の不均一性が大きくなることが知られています。松村らの研究グループは、老化造血幹細胞のシングルセル解析により、ミトコンドリアを多く含み、細胞表面にGPR183という蛋白を発現している老化造血幹細胞は、他の造血幹細胞と比べ、高い自己複製能を維持していることを明らかにしました。本研究の成果は、今後の老化研究の新たな知見の一つとして活用されていくことが期待されます。
本研究成果は、「Nature Aging」誌に2025年3月6日付けで公開されました。
(https://doi.org/10.1038/s43587-025-00828-y)
論文情報
論文名:Mitochondria-enriched hematopoietic stem cells exhibit elevated self-renewal capabilities, thriving within the context of aged bone marrow.
著者: Haruhito Totani#, Takayoshi Matsumura#* (#equally contributed, *corresponding author), Rui Yokomori, Terumasa Umemoto, Yuji Takihara, Chong Yang, Lee Hui Chua, Atsushi Watanabe, Takaomi Sanda & Toshio Suda*
DOI: 10.1038/s43587-025-00828-y