医学部

　私達の研究部では、ミネラルが老化のプロセスに及ぼす影響について研究しています。ヒトは加齢とともにさまざまな病気に悩まされるようになりますが、私達が特に注目している病気が「慢性腎臓病」です。慢性腎臓病とは、腎機能の低下が3ヶ月以上継続した状態を指します。その原因として糖尿病や高血圧が注目されていますが、実は腎機能の低下は万人に起きる「老化現象」であり、本当は「加齢」こそが慢性腎臓病の最大の危険因子です。高齢化が進む本邦では、今や慢性腎臓病は成人の5人に1人が患う国民病となりました。慢性腎臓病になると、心血管病（心筋梗塞、脳卒中、心不全など）に罹りやすくなりますし、進行して腎不全に至ると透析が必要になります。私達の研究部では、慢性腎臓病を加速する物質としてCPPを同定しました。CPPとは、ミネラル（リン酸カルシウム）を主成分とするコロイド粒子で、慢性腎臓病になると血中や尿中に出現し、血管や腎臓を障害したり、炎症を引き起こしたりします。私達はCPPを標的とした新しい慢性腎臓病の予防法と治療法の開発に取り組んでいます。
　ミネラル代謝研究部は、自治医大と株式会社Broad Bean Scienceの共同研究講座として、2025年4月に設置された新しい研究部です。Broad Bean Science社は、私達が慢性腎臓病の研究成果を社会実装するために起業した自治医大発ベンチャーです。Broad Beanとは「そら豆」のことで、腎臓の形がそら豆に似ていることから会社の名前としました。ミネラル代謝研究部では、慢性腎臓病の学術研究をさらに深め、その科学的根拠に基づいた確かな医療とヘルスケアの開発を目指しています。

• 教員業績データベース

分子病態治療研究センター
ミネラル代謝研究部
TEL： 0285-58-7449　ダイヤルイン
FAX： 0285-44-7322
E-mail： mineral@jichi.ac.jp