医学部 School of Medicine

医学部

School of Medicine

インタビュー

(2020年度 取材)

地域における総合医療の実践と地域で継続する学術活動の両立

石岡秀基

岩手県立千厩病院 総合診療外科

外科医長石岡秀基 岩手県

2015年、自治医科大学卒業。
岩手県立大船渡病院で初期研修後、岩手県立久慈病院外科を経て、2019年より現職に就く。

総合診療を通して在学中の恩返し

義務年限6年目の現在は昨年着任した岩手県立千厩病院の総合診療外科に引き続き勤務しています。当病院はこれまで初期研修を含めて働いた2カ所の地域中核病院と異なり、常勤の医師が少ない小規模の医療機関。総合診療外科という名称が示す通り、外科系疾患の全般を診ることはもちろん、大病院であれば内科系の診療科が担当する循環器、呼吸器、神経などの疾患にも対応します。患者さんの訴えに応じて病気を幅広く診療するため、着任後に勉強し直した領域もありました。千厩病院は自治医大の6年次、フリーコース・スチューデントドクター(FCSD)制度を活用した実習先としてお世話になった医療機関。地域医療の現場で活かせる外科の知識と技術の習得を目的とした実習の中でいくつもの手術を見学し、縫合技術の指導も受けました。医師となった今はさらに幅広い医療を提供し、当時学んだことを地元に還元したいと考えています。

患者さんから教えられた地域医療

もちろん中核病院でも、地域医療の実践を数多く学びました。特に同規模の病院が医療圏内にない大船渡病院では、他院で対応困難な患者さんを全て受け入れる“断らない医療”の使命感と価値を体験的に理解することができました。また、地域医療の意義を患者さんから教えられたこともあります。症状説明の際にある患者さんが発した「生まれ育った地域で最期を迎えたい」というひと言に、たとえ高度な先進医療を提供できなくとも、地域病院には果たすべき役割があることを教えられ、地域医療にこそ求められるものに直接応えるやりがいも学びました。
こうした地域医療とあわせて、臨床を通した研究にも力を注いでいます。そのきっかけも在学中のFCSD制度でした。実習の一環として学会発表をしたり、英文による論文を作成したりした経験が自信となり、学術活動への意欲が高まりました。今後も地域のニーズに応える総合医療に取り組みつつ、地域にいても学術活動を継続できることを、実践を通して証明したいと考えています。

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