医学部 School of Medicine

医学部

School of Medicine

修学の流れと卒業後の勤務

1・2・3年次

授業風景

自治医科大学は優れた総合医を育てるため、1、2年次は効率よく学んでいくようカリキュラムが組まれています。また、基礎科学だけでなく、基礎医学も早い時期から組み込まれていますが、これにより、早く医学の一端に触れたい学生の学習意欲の向上を図っています。2年次からは、各診療科に関する系統講義もスタート。基礎科学から基礎医学へという一連の流れと同時に、心の部分も学び、医師としての基盤を固めていきます。

4年次からの2年間をBSL(臨床実習)に充てる本学のカリキュラムの中で、特にポイントとなるのが3年次です。これまで、どの病気がどのような症状を引き起こすのかを学んでいたのに対し、症状から疾病を考えるPBL(Problem Based Learning)も実施。より医療現場に即した知識を身につけていきます。

Point 1早期から基礎医学を学び 医学生として自覚を深める

Point 2地域医療を数多く体験し コミュニケーションを学習

Point 3自発的学習を習慣づけ 臨床実習参加の準備を

カリキュラム

  • 1年次
  • 2年次
  • 3年次

1年次

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2年次

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3年次

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1・2・3年次のCloseup

総合教育科目
人文社会、自然、外国語系科目で調和のとれた医師を目指す

1年次のカリキュラムには、地域医療学、基礎医学といった医学系科目以外に総合教育科目が設けられています。その目的は、学生がさまざまな学問分野に触れて多様な視点や接点を獲得し、医師として、心と体、そして知性、すべてにわたって調和のとれ、個性あふれる自己形成を図ることにあります。
総合教育科目は、人文社会系、自然系、外国語系の3つに分類されています。
一定の単位を履修することが必要となり、必修科目と選択科目の両方で必要単位数を取得します。

既修得単位認定制度

本学入学前に他大学において履修した科目で、本学の総合教育科目のうち、選択科目に相当する科目を修得している場合には、申請に基づき、審査を受けることにより修得したものとみなす制度があります。

選択セミナー[全学年対象]
「医学をより深掘りしたい」学生の意欲に応えるセミナー

医学部は、国家試験を受けるために必要なカリキュラムが6年間にわたって組まれる中、学生の学習意欲に応えられるよう、選択セミナーを開講。基礎医学や臨床医学、一般教養など、数多くのセミナーが1年次から受講可能です。セミナーは自由選択ですが、定められた時間数を受講することで単位認定されます。

セミナー例

医学生のための創薬科学入門[対象学年:全学年]

臨床で使われる薬が、どのように評価され応用されているのか成功例を学びます。治療の対象となる分子から、臨床での評価までを学ぶことにより、薬物治療について理解を深めます。

電子顕微鏡学入門~初心者からの電顕技術取得を目指して~[対象学年:2学年]

電子顕微鏡の試作作製の基本的手技やその原理、あるいは最新の関連技術に関する理解を深め、医学の学習の上での一助となることをねらいとします。

CBT/OSCE(Computer Based Testing/Objective Structured Clinical Examination)
BSLに臨むための試験に向け3年間の学びを総復習

学生はBSLに進む前に、必要な医学知識を有しているかどうかを判定するCBTとOSCEと呼ばれる試験を受験します。自治医科大学ではBSLが4年次から始まるため、3年次にこれらの試験を受けることになり、授業や学生同士での勉強会などを通して試験対策を行っています。学生は3年間で学んだ分野を総復習し、4年次からのBSLに臨みます。

CBT(シービーティー):コンピューターを用いる客観試験
OSCE(オスキー):客観的臨床能力試験

4・5年次

授業風景

自治医科大学のカリキュラムは、臨床教育に重きを置く点を特徴とします。その象徴が、長期にわたり、数多くの診療科を経験するBSLです。本学のBSLは臨床現場に立ち合うだけの経験にとどまらず、患者さんへの診療行為を通して病気を深く理解する指導に力を入れています。BSLは海外も含めて院外でも実施され、さらに地域医療の現場に立つCBLも経験し、総合医療の総括と卒業後のキャリア設計を具体化します。

Point 1長期間に 多くの診療科で行うBSL

Point 2担当した症例に限定せず数多くの症候を吟味

Point 3総合医療教育の総まとめで 実践準備を院外で経験

カリキュラム

  • 4年次
  • 5年次

4年次

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5年次

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4・5年次のCloseup

BSL(Bed Side Learning)
病棟での臨床実習により病態への深い理解と自主性を促す

BSLとは臨床実習です。学生は各診療科で担当教員から指導を受けるだけでなく、実際に患者さんの傍らでお話を伺い、何が必要なのかを考えます。4年次から6年次の間の長い期間、各診療科において患者さんとより強い信頼関係を築くことができます。

BSL
BSL
選択必修BSL
学生が希望する診療科で特に興味を持った学問領域の理解を深める

1年次から積み上げてきた学習内容を含め、BSLで行った実習のうち、特に興味を持ち、より深く理解したい診療科において、5年次3学期から6年次1学期にかけて行う臨床実習です。本学附属病院34診療科および院外の諸施設から学生自身が選択することができます。学生は、それぞれが患者を受け持ち、実際の医療を主体的かつ責任を持って体験し、自立心を養います。この期間は、海外の医療機関などで実習することも可能となっています。

選択必修BSL
選択必修BSL
地域医療臨床実習(CBL:Community Based Learning)
CBLで地域医療への動機づけや自らの将来設計を図る

地域医療実践の準備であるCBLには、地域医療を現場で体験すること以外にも、特色ある地域医療の実践に触れて、地域医療への動機を明確にすることや、将来の職場となる地域で先輩たちの活動を見聞きし、自らの将来設計を考えることなども期待されます。

地域医療臨床実習
地域医療臨床実習

6年次

6年次

これまで医学部で学んだことの総決算の一年となるのが6年次です。まず、4 · 5年次にBSLで各診療科を回った際に興味を持った診療科を、再度訪れることができるのが、5年次の3学期から6年次の1学期にかけて行われる選択必修BSLです。ここで臨床実習の総まとめを行います。学生によっては、院外の地域医療の現場を希望する場合もあります。

この選択必修BSLが終了すると、国家試験に向けての総括講義が始まり、全員合格を目指します。授業以外にも6年生専用の勉強室が用意されており、サボートも万全。また5 年次までに優秀な成績を収めた学生は、この総括講義と卒業試験が免除され、約半年間の自主的な臨床実習期間が与えられるのも自治医科大学の大きな特徴です。

Point 1学生自身の関心が生きる 選択必修BSL

Point 2臨床系24科目の総括講義は症例提示での講義も実施

Point 3後輩学生のサポートで国家試験対策も万全

カリキュラム

6年次

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6年次のCloseup

フリーコース・スチューデントドクター( F C S D )制度

この制度は、5年次終了時において、既に医師国家試験合格レベルの知識を有し、かつ志の高い優秀な学生に対し、能力を最大限に研鑽する機会を与えることを目的としています。

制度の概要

5年次に受験する総合判定試験の結果および多面的な評価により選考された学生が対象です。6年次の4月から11月まで(5月を除く)の約半年間において、授業の出席および卒業試験が免除されます。また、希望する研修や実習プログラムを自主的に作成し、責任学内指導教員の指導のもとに受講します。

研修先は、学内の臨床、基礎講座をはじめ、国内の卒業生の勤務先(へき地診療所、中核病院)や海外の病院等が対象となります。

当該研修に係る学資資金について、大学が補助しています。

勉強室
6年生専用の勉強室で 仲間とともに国家試験の合格を目指す
勉強室

学生寮内には、6年生が国家試験の勉強をするための専用の部屋が設置されています。5~6名の学生に1室が割り当てられ、6年生は毎日の授業が終わるとこの部屋に集まります。ともに勉強することで弱点を克服しつつ、常に励まし合い厳しい試験勉強を乗り越えていきます。

入学から地域医療従事期間明けまで

卒業時に「総合医」に求められる広範かつ高度な臨床医学の基礎的能力を修得するため、自治医科大学は6年間一貫教育のカリキュラムを組んでいます。本学が考える「全人的資質を備えた総合医」の育成は、国家試験の合格と卒業をもって終了するものではありません。

卒業後は、出身都道府県の公務員(医師)となり地域医療に貢献しますが、さらに地域のリーダーとして包括的医療を牽引する能力を養成すべく、医療人として向上するための意欲に応える多彩なサポートを継続的に行っています。卒業生の活躍は臨床現場に限らず、大学の研究室で教育・先端研究を続けたり、行政機関で医療行政の企画・立案に従事したりと多様です。

入学から地域医療従事期間明けまでの流れ
入学 2022年度の入学定員は100名。多くの志願者の中から、都道府県ごとに2~3名ずつ(栃木県は地域3名を含む、5名または6名)の学生が選抜されます。入学試験は第1次試験を各都道府県で実施し、1次合格者に対する2次試験を自治医科大学で実施します。
6年間
一貫教育
1~3年生 基礎知識の修得
4~6年生 BSLによる臨床技術の向上

※以下の流れは基本パターンであり、都道府県ごとに異なります。

医師国家試験・卒業後
1年 2年間
臨床研修
○地域のニーズに応える全人的・包括的医療の実践
○プライマリ・ケアを中心に幅広い総合医としての診療能力を身に付ける
2年
3年 3年間
へき地等
勤務

○地域全体の
 生活の質的向上に貢献

○総合医の素養
 +高度な専門性の修得

<女性医師支援>

子育て支援制度の
情報提供

卒業生からの
アドバイス

<生涯研修>

・短期実習研修
へき地医療に求められる
医療技術を1~2週間の
研修で修得する。

・研究生
地域に勤務しながら
メールや電話等により、
本学研究生としての
指導が受けられる。

4年
5年
6年 2年間
後期研修
○高度な医学知識・
 臨床技術の修得
7年
8年 再び
地域医療に
従事
○最新の医学知識・
 医療技術を
 地域住民に還元
9年
地域医療従事期間明け・返還免除
  • 出身都道府県で医師として勤務
  • 国・都道府県で行政医として勤務
  • 大学・病院で研究しながら医師として勤務
  • 留学し、最先端の医学知識・技術を修得

自治医科大学卒業生は、北は北海道の利尻島から、東は東京都小笠原諸島、南は沖縄県八重山諸島に至るまで全国各地のへき地、離島等を含む第一線の診療所、病院および保健所等に勤務し、それぞれの任地において、患者のみならず家族、地域をも対象として、健康の保持増進、疾病の予防から治療、リハビリテーションに至るまで一貫した全人的、包括的医療の実践に意欲的に取り組んでいるほか、臨床研修、後期研修等に就き、地域医療の確保と向上ならびに医学、医療の研鑽に努めています。

地域のニーズに応えながら、気概と熱意を持って地域医療に従事する卒業生への社会的評価は極めて高いものがあり、建学の精神は着実に実を結びつつあるということがいえます。

健康は、幸せな生活を送る基本です。へき地や離島にあっても国民は等しく最新の医療の恩恵を受けられるようにならなければなりません。その意味からも卒業生に対する期待、卒業生の果たす役割は今後とも大きなものがあります。

自治医科大学卒業生は、卒業後直ちに出身都道府県に戻り、在学中に自治医科大学修学資金の貸与を受けた期間の2分の3に相当する期間(一般的には9年間)、知事の指示に基づいて、出身都道府県内の病院、診療所や保健所等に勤務することになります。

地域医療の充実、質的向上を図るためには、医師としての資質の向上を図ることが重要であるため、卒業後5年目以降の適当な時期に2年間、臨床研修指定病院や自治医科大学附属病院および附属さいたま医療センター等において後期研修を受けることを推進しています。後期研修は、多様化、複雑化する疾病や保健、福祉等の問題に適切に対応しうる高度な医学知識、臨床的実力を身につけることを目的としています。後期研修終了後は、再び第一線の医療に従事し、修得した知識・技術を住民に還元することによって、地域医療の質的向上に寄与します。なお、知事の指示に基づく9年間の勤務期間のうち、原則として4~5年間はへき地等に勤務することになっています。

医師が、時代に即応した医療を適切に地域住民に提供していくためには生涯学習は不可欠です。特に、へき地等の医療機関に勤務する医師にとっては、幅広い疾病に対応するため常に自ら研鑽する努力が必要です。

そこで、自治医科大学はへき地等の第一線医療に従事する卒業生に対して求められる臨床能力の向上を図るため、先に述べた臨床研修、後期研修の他、次のとおり総合的、計画的、継続的な生涯学習の機会を用意しています。

  1. へき地等において必要と判断される医療技術(内視鏡、超音波等)を集中的に修得するための短期実習研修
  2. へき地等に勤務しながら教員の指導、助言が受けられる研究生としての受入れ
  3. へき地等から直接アクセスできるパソコン通信を利用した文献検索および文献複写サービス等の提供