分子病態治療研究センター ゲノム機能研究部
大学院医学研究科 博士課程 人間生物学系生体分子医学ゲノム医学
大学院医学研究科 博士課程 地域医療学系腫瘍医学分子腫瘍学
ゲノム機能研究部は最新のゲノミクス技術を持ちいて様々ながん種の発症原因を解明し、その知見に基づくがんの新しい分子診断法・分子標的療法の開発を目指しています。2005年に我々は微量のがん検体からでもそこで発現している遺伝子の機能アッセイを可能にする高感度cDNA発現ライブラリー作成法を開発し、本手法を用いてヒト肺腺がん外科切除検体から新しい肺がん原因遺伝子EML4-ALKを発見して2007年のNature誌に発表しました。機能アッセイ法によりがん検体から発がん原因を解明した例は我々の成果ががん研究史上初めての成功例と言えます。毎年Nature Medicine誌は年末号でその年の重要な医学の発見を10種類選定しますが、我々のこの発見も選ばれています。EML4-ALKに対する阻害剤は世界中で10種類ほどが臨床試験に入っており、既にその治療効果が報告されているものもあります。それによるとEML4-ALKが適切に診断された肺がん症例において奏功率が約9割に及ぶという驚くべき有効性が明らかになりました。また我々はALK阻害剤耐性になった症例から、薬剤耐性の原因となる二次変異を発見することにも成功しNew England Journal of Medicine誌に2010年に発表しました。こうして我々の発見に基づき今後世界中で何十万人もの肺がん患者の生命予後が大きく変わろうとしています。21世紀のがん医療は分子標的薬剤が中心的な役割を担うと考えられますが、我々の講座はその開発において真に世界をリードするごく僅かな研究グループの一つとして日夜努力しています。
| 准教授 山下義博 | 助教 上野敏秀 |
我々は発がん原因の解明に向けて以下の2種類の試みを行っています。一つは次世代シークエンサーを用いたがんの遺伝子配列異常スクリーニングであり、もう一つはEML4-ALKの発見にもつながった高感度機能アッセイです。前者においては、様々ながん種の細胞株・臨床検体のcDNA及びゲノムの配列を大規模に解析し、我々の研究室内に設置した大規模コンピューターサーバーシステムを利用して高精度にアミノ酸置換変異の同定を行っています。また機能アッセイにおいては、われわれはごく微量のがん臨床検体からでもcDNA発現ライブラリーを作成する手法を独自に開発し、線維芽細胞の形質転換フォーカススクリーニング手法等と組み合わせることで発がん原因の探索を行っています。
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