医学部 School of Medicine

医学部

School of Medicine

幹細胞制御研究部

Stem Cell Regulation

講座名

分子病態治療研究センター 幹細胞制御研究部

大学院医学研究科

博士課程地域医療学系血液・免疫疾患学造血発生学

講座・部門紹介

分子病態治療研究センターの1部門として、医療の進歩と健康の増進への貢献を目標に基礎〜展開研究を行っている。スタッフは4名で、非常勤講師・自科および他科の大学院生が研究に参加している。造血器腫瘍発症のメカニズムの解明と治療への応用を目的とし、造血幹細胞を中心とする組織幹細胞の増殖・分化・細胞死の制御機構をエピジェネティクスの視点から解析している。理化学研究所との共同研究にてエピジェネティク異常を標的とする治療薬の開発に取り組んでいる。

スタッフ

研究紹介

既存の治療では充分な効果が得られない難治性造血器腫瘍(多発性骨髄腫・急性Tリンパ芽球性白血病・マントル細胞リンパ腫)を対象として、エピジェネティク異常を標的とする治療戦略の開発を目標に研究を行っている。

1)多発性骨髄腫における抗癌剤抵抗性のエピジェネティク機序の解明と治療への応用
 VLA-4インテグリンを介する骨髄間質細胞との接着が多発性骨髄腫の抗癌剤抵抗性に重要な役割を果たしており、ヒストン脱アセチル化酵素(HDAC)阻害剤がVLA-4を抑制して接着耐性を解除することを示した(Oncogene 28: 231-242, 2009; Acta Haematol.132: 1-4, 2014)。またプロテアソーム阻害剤の作用機序の1つにHDAC転写抑制があり、HDAC阻害剤と同様に接着耐性を解除しうることを見いだした(Blood 116: 406-417, 2010; J Biol Chem. 288: 25593-25602, 2013)。接着に伴うヒストンメチル化酵素EZH2の不活化によるH3K27メチル化の抑制が骨髄腫細胞の抗癌剤抵抗性に関与することを明らかにした(J Clin Invest. 125: 4375-4390, 2015; Int J Hematol. 107: 383-385, 2018)。さらにEZH2の下流でnon-canonical TLR CD180とSLAMF7が制御されていることを見いだし、それぞれの生物学的意義について解析を行っている(Cancer Res. 78: 1766-1778, 2018; Leukemia 34: 180-195, 2020; Leukemia 34: 3088-3090, 2020)。とくにEZH2の不活化にヒストンメチル化酵素MMSETが関与していることに着目し、MMSETに対する特異的阻害剤の開発を進めている。

2)急性Tリンパ芽球性白血病(T-ALL)の発症機序の解明と治療への応用
 ヒストン脱メチル化酵素LSD1が急性白血病とくにT-ALLにおいて強発現していることを見いだし、ドライバー変異としてT-ALLの発症にprimaryな役割を果たしていることをトランスジェニック・マウスを用いて証明した(Blood 125: 3731-3746, 2015; Leukemia Res. 82: 29-32 2019; Sci Rep.10: 8521, 2020)。この知見に基づき、理化学研究所との共同研究でT-ALLに有効な新規LSD1阻害剤を開発した。開発したLSD1阻害剤は中枢神経移行が良好で、マウスCNS白血病モデルにおいて有意の治療効果を示した(Clin Cancer Res. 25: 1601-1611, 2019)。またiPS細胞からのテラトーマ形成を抑制することもわかり(Oncotarget 9: 6450-6462, 2018)、再生医療への応用も視野に入れて開発を進めている。

3)マントル細胞リンパ腫に対するエピジェネティク療法の可能性
 マントル細胞リンパ腫においてHDACが強発現しており、腫瘍特異的ヒストン修飾といわれるH3K18低アセチル化を誘導していることを見出した(Blood Cancer J. 3: e169, 2013)。さらにHDAC阻害剤とbendamustineによってH3K18低アセチル化ならびに薬剤抵抗性が解除されることを示した(PLoS One 9: e90675, 2014)。またマントル細胞リンパ腫においても間質細胞との接着が薬剤抵抗性を誘導しており、そのメカニズムとしてオートファジーが関与していることを明らかにした(Leukemia, published online on September 14, 2020; Leukemia Res. under revision)。オートファジーは悪性腫瘍においてcontext-dependentにoncogenicにもtumor suppressiveにも働いており、治療への応用を目標として研究を進めている(Cancer Sci. 112: 194-204, 2021; Haematologica, under revision)。

関連組織

  • 大学院医学研究科 博士課程地域医療学系血液・免疫疾患学造血発生学

教育担当分野

  • 基礎医学:「分子医学入門」
  • 基礎臨床系統講義:「血液」

連絡先

TEL: 0285-58-7400
FAX: 0285-44-7501
zoketsu@jichi.ac.jp

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