医学部 School of Medicine

医学部

School of Medicine

インタビュー

(2022年度 取材)

患者さんに必要とされ初めて価値がある医師としての役割

遠藤和洋

先端医療技術開発センター
医療技術トレーニングコア
附属病院 消化器センター・外科部門
外科学講座 消化器一般移植外科学部門

准教授遠藤和洋 

1996年、自治医科大学卒業。自治医科大学附属病院で初期研修後、出身地の福島県の県立宮下病院、都路診療所で地域医療に従事する。義務年限終了後は母校に戻り、附属病院や栃木県済生会宇都宮病院で消化器外科医として勤務。2015年から先端医療技術開発センターに所属し、2021年より現職。

在学中のゼミで芽生えた医学研究のマインド

 医療機器の研究開発は、義務年限中から取り組んでいます。始めたことの根底には、自治医科大学4年次に参加したゼミでの成功体験があります。仲間数人と出入りするようになったゼミでの実験で、マウスの心臓移植をしたときのこと。優秀な仲間たちと失敗を繰り返しながらの成功。そのときの喜びがきっかけになり、医学研究に興味を持ちました。入学してから自身の得意を探しあぐねていたこともあり、ようやく医学に居場所を見つけられた気がしたこの体験は、その後の学生生活にとっても重要な意味をもつものでした。

 また、ゼミでの経験を機に研究マインドが芽生え、解決しなければいけない課題はないかと、周囲にアンテナを張るようにもなりました。医学部で学ぶゴールは、医師国家試験の合格です。しかし試験対策だけに視野を狭めないため、医学以外の科学技術の分野、社会や人間についてなど、興味に任せ主に読書を通して幅広く知識を取り込むことを心がけていました。

自分用の教育教材を義務年限中に開発

 とはいえ卒業して義務年限が始まれば、目の前にいる患者さんのことで手一杯になります。しかも地域の病院や診療所では医療以外の仕事も多く、当初は自分のキャリアを考える余裕はありませんでした。

 それでも地域での生活や仕事に慣れてくると、自由に使える時間を捻出できるようになるものです。ふと手が空いたときに思い起こしたのは、学生時代は外科系に興味を持っていたことと、研究開発への意欲でした。山間部の診療所では内科系の診療が中心であり、外科手術をする機会は限られていました。自分に対して自発的に教育を施し続けなければ、義務年限明けに自分の居場所を探すことは困難になるのではないかと考えました。そのような思いから、CT検査で撮 影した臓器の2D画像からバーチャルな立体画像を作成し、その画像を3Dプリンタに取り込んでリアルな臓器を造形。それを自身の教育用に使ってみました。そうした義務年限中の試みが、今の仕事につながっています。

自分用の教育教材を義務年限中に開発

 現在は附属病院の消化器外科で診療に当たりながら、先端医療技術開発センターで医療技術を磨く教育法や医療機器の開発に取り組んでいます。臓器のモデリングも、本物の臓器に近い弾力性のある素材を企業と共同開発して精度を上げ、その一部は手術のトレーニング用に商品化されました。ゆくゆくは手術に際して患者さんの臓器をモデリングし、執刀前に手術をシミュレーションできるようにすること。そのためにはオーダーメイドの臓器モデルを短時間で作成できるようにすることが求められ、実現にはクリアしなければいけない課題がたくさんあります。

 医療技術は臨床に役立ってこそ価値を持ちます。同様に医師も、患者さんに喜ばれて初めて社会での役割を果たせると考えています。そうした謙虚な姿勢を地域医療で教えられたことが、現在力を注ぐ教育研究の基盤になっています。

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