医学部 School of Medicine

医学部

School of Medicine

インタビュー

(2017年4月 取材)

病院と無医村地区の出張診療所で医療を提供

伊藤千明

山梨県南巨摩郡身延町 身延町早川町組合立飯富病院

内科医長伊藤千明 山梨県

病院と無医村地区の出張診療所で医療を提供

勤務する飯富病院がある山梨県南巨摩郡は、静岡県との県境に位置し、大半は身延山地の山間地域。県下で最も過疎化が進む一帯で、高齢化も著しく、ひとり暮らしや老老介護の世帯が大半を占めています。病院は、周囲に銀行や郵便局、コンビニ、町立の文化会館などもある、富士川沿いの開けた地区にありますが、お年寄りの多くは病院まで足を運ぶこと自体が困難です。町でバスを運行したりもしていますが、それを利用して病院まで来られる人ばかりではありません。そのため、無医村地区の12カ所に出張診療所を設けており、病院から医師が赴き診療したり、そこからさらに往診したりと、地域住民との関わりを重要視しています。地域がら医療の提供だけでなく、病気や健康に関する勉強会も定期的に開き、医療に対するニーズを聞き取ることも大切な仕事です。学校健診や乳幼児健診などもあり、幅広い世代の方と触れ合えるのは地域医療の特徴といえます。

「ありがとう」のひと言に自分の居場所を実感

病院で内科の診療に当たりながら、私も週に2回、2カ所の出張診療所に出向きます。診療所までは、病院から車で片道40分ほどの距離。行くたびに患者さんから直接「こんなに遠くまで来てくれてありがとう。本当にいつも感謝している」と、労いの言葉をかけられます。すべき仕事をすることで、こんなにもたくさんの「ありがとう」をもらえる職業は、ほかにはないのではないかと思っています。そのひと言で遠い道のりを行き来する疲れが癒やされるだけでなく、私自身の居場所もつくってもらっているような気がしています。

一方で、この地域が人口当たりの医師数が県内最少である実状に変わりはありません。医師や看護師の不足は常に課題であり、出張診療所に医師が行き、飯富病院内の医師が少なくなる時間帯も出てきます。医療の提供においては病院の医師と看護師、事務はもちろん、他の職種との連携も不可欠です。地域の方々を含めたチームとして患者さんを支えるため、その核として地域医療に従事する医師が増えることを期待しています。

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